[CML 012389] 日本軍「慰安婦」問題の早期解決を求める要請書

Maeda Akira maeda at zokei.ac.jp
2011年 10月 6日 (木) 10:46:36 JST


前田 朗です。

10月6日


内閣総理大臣 野田佳彦 様     
                        2011年9月27日

日本軍「慰安婦」問題に関して、韓国から
提起された政府間協議に真摯に対応し、この問題の早期解決を求める


要   請  書
                      

 本年8月30日、韓国の憲法裁判所は、日本軍「慰安婦」被害者の日本国に対す
る賠償請求 権について、日韓請求権協定第2条第1項によって「消滅した」か
「否 か」に関する日韓両国間の解釈に明確な相違があること、にもかかわら
ず、韓国政府がその紛争を第3条に定める手続きによって解決する努力を行わな
いこ とは、被害者 の無慈悲に持続的に侵害された人間としての尊厳と価値、及
び身体の自由を回復する賠償請求権の実現を遮ることであり、被害者の人間とし
て の根 源的 な尊厳と価値の侵害に及ぶとして、韓国政府の不作為を「違憲」
とする決定を下した。この決定を受けて、韓国政府は9月15日、正式に日 本政府
に対し政 府間協議の開催を申し入れ、日本政府は「日韓国交正常化交渉の中で
解決済 み」として応じない方針を伝えたと報じられている。

日本政府は、日本軍「慰安婦」問題について従前から二国間条約によって解決
済みという立場を固守している。一方、韓国では日韓会談関連文書が全面公開さ
れ た結 果、2005年に韓国政府は、日本軍「慰安婦」問題のような「反人道 的
不法行為」については日韓請求権協定の対象外で、解決していないという立場を
明 らか にした。したがって、このような日韓両国政府の解釈の相違は、同協定
第3条第1項にいう「解釈および実施に関する両締約国の紛争」にまさ しく該
当する とい える。

私たちは、まず、日本政府に、直ちに韓国政府の申し入れに「正心誠意」応
じ、第3条に従って両国間の外交交渉を行ない、それでも解決が困難な場合は仲
裁委員会を設置することによって解釈上の紛争を解決するよう 強く要請する。

次に、私たちは以下の理由により、日本政府が自ら主体的に被害者の正義の回
復を早急に行なうよう、強く要請する。

1、そもそも日本政府は1993年に河野洋平内閣官房長官談話を発表して、こうし
た被害者を生み出した「慰 安所」制度について、当時の軍の関与と強制性を 認
め、「数多の苦痛を経験し、心身にわたり癒しがたい傷 を負われた」被害者に
対し、その名誉と尊厳を深く傷つけたことを日本国として深く反省、謝罪し、謝
罪の 気持ちをあらわす措置をとること等を約束した。しかし、その後1995年に
設立され た女性のためのアジア平和国民基金は、国の責任による補償ではな
く、むしろ国の責任をあいまいにする民間拠出の償い金支 給事業を行ったた
め、韓国でも多くの被害者の反発を受けて受領拒否が相次ぎ、事業は失敗に終
わっ た。 また多くの被害国が対象から外されている。2007年に解散した この
基金自身が認めているように、この問題は未解決のまま残されているのである。

2、また、日本の最高裁も2007年4月27日、中国人「慰安婦」第2次訴訟と、西松
建設に対する中国人強制連行・強制労働被害者の賠償請求事件 につい て、「日
中共同声明」で請求権が相互に放棄されたといっても、それは訴求す る(注:
裁判に訴える)権能が消滅しただけで、「請求権そのものが失われたわけ では
ない」との判決を出している。この前提に立って、西松判決では被害者の「個別
具体的な請求権について債務者側において任意の自発的な対応 をすることは 妨
げ られない」のであって、関係者において、被害者の被害の救済に向けた努力
をすることが期待されると付言している。

  つまり、最高裁はサンフランシスコ条約や二国間条約では、個人の実体的
請求権は消滅していないと結論付けている。司法以外の解決が可能であり追求さ
れるべきである。

3、10件の「慰安 婦」賠償請求裁判はすべて敗訴が確定したが、唯一、国の
「立法不作為」を理由に勝訴を導いた下関判決(1998)以後、立法による解決
を目指して 「戦時性的強制被害者問題の解決促進法案」が作られ、民主党自身
が中心になって超党派で8回上程されてきたが、政権について一度も上程されて
い ない。一日も 早く提案することを要請する。

4、一方、解決済みとする日本政府に対して、国際社会からも厳しく解決が勧
告されている。国連人権委員会・理事会、社会権規約委員会、拷問禁止委員会、
自 由権 規約委員会、女性差別撤廃委員会及びILOなどの国連機 関から、またア
メリカ・オランダ・カナダ・EU議会等から、 被害者に対する謝罪と補償を行う
よ う勧 告や決議が繰り返し出されていることを、人権国家を標榜する日本とし
て重く受け止めるべきである。

5、すでに戦後66年が過ぎ、被 害者が名乗り出てからでも20年が経過し た。
「オール連帯」では、被害者の現状(生存者数・要求・生活・各国政府の姿勢等
々)を調査したが、80、90歳代になり、 病に倒れ、無念の思いで亡くなる人が
相次いでいる。例えば、韓国では 234 名の申告者のうち生存者は67名、
「日本政府の心からの謝罪を聞いて死にたい」とベッドに臥す人びとや、持病を
押して厳寒・酷暑の日々 も、今年12 月14日で1000回になる (20年間!)
水曜デモの先頭に立ち、日本大使館に向かって拳をあげ続ける年老いた被害者た
ちの声に耳を傾けてほしい。 

そして、いずれの国の被害者も同様な状況で、正義の回復―自らの名誉と尊厳の
回復、日本政府の心からの謝罪と補償を今もなお強く要求 し、待ち望んでいる。

日本政府にとって、日本軍「慰安婦」問題を歴史の汚点として残すのではな
く、被害者と国際社会が納得する形で解決することは日本の名誉であり、被害者
が生きている「今」しかできないことである。

この機会に、すべての被害者について最終的で永続的な解決を図ることが、
「今こそ」求められている。野田総理の英断を強く要請する。

             「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク



CML メーリングリストの案内