[CML 009852] 福島第一原発事故メルトダウン発表遅れの問題性

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2011年 5月 26日 (木) 23:15:53 JST


【PJニュース 2011年5月25日】福島第一原発事故で東京電力は2011年5月24日、2号機と3号機で核燃料が溶け落ちるメルトダウンが起きていたと発表した。1号機でも東日本大震災翌日の3月12日に福島第一原発1号機でメルトダウンが起きていたと認めている。共に2か月経過後の発表であり、情報公開姿勢が問われている。

1号機のメルトダウンについて菅直人首相は5月20日の参院予算委員会で「国民に言った内容が根本的に違っていた。政府が隠したことはないが、東電の推測の間違いに政府が対応できず、大変申し訳ない」と陳謝した。2号機と3号機のメルトダウンでも、細野豪志首相補佐官は5月24日の記者会見で、「政府の事故に対する見込みの甘さがあったと反省している」と述べた。

メルトダウンの発表遅れが故意による情報隠しか、分析の誤りかは議論がある。故意にしても誤りにしても問題である。故意ならば悪質であることは言うまでもない。誤りであるならば事態を正確に把握する能力に欠けていることになる。原子力発電所を扱う資格はないという結論になる。

しかも、この誤りには単にメルトダウンの発表が遅れたという以上の悪質さがある。従前はメルトダウンを明確に否定し、事故を過小評価して安全性を強調していたためである。メルトダウンの可能性を指摘する研究者もいたが、全く耳を傾けなかった。正しい根拠に基づかずに声高に安全性を強調した点は、故意の情報隠しに限りなく近い。

問題は発表遅れで政府が利益を得ていることである。震災翌週の3月14日の週は首都圏でも放射線量が高まるなど原発事故への不安が高まっていた。放射線量が高まった3月15日の日経平均株価終値は8605円で、震災後最大の落ち込みになった。このタイミングでメルトダウンを発表していたなら、社会に事態の深刻さを認識させることができたであろう。
http://www.pjnews.net/news/794/20110524_4
当時に比べると5月は日本社会の危機意識が乏しくなっている。日経平均株価も9千円台後半にまで回復している。原発事故が収束しておらず、放射性物質の排出を封じ込められていないため、依然として深刻な事態には変わりない。しかし、社会の大半は事故報道慣れで感覚が鈍化している。

もし国民に正確な情報を迅速に提供することよりも、パニックを起こさず、批判の声を大きくしないことを優先させるならば、絶好のタイミングでメルトダウンが発表されたことになる。発表遅れが故意としても誤りとしても、「この時期に発表して結果オーライ」と笑っているかもしれない。

このような発表遅れに対し、ペナルティーを与えられないことが大きな問題である。少なくとも当初は「メルトダウンは起きていない」と事実の反する発表をしたこと、それを2か月後になって訂正したという事実を記憶し、記録することがジャーナリズムの務めである。【了】


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