[CML 009763] 震災の陰で進行する改憲への危険な動き    京都 岩佐英夫

Hideo Iwasa iwasa at minami-lo.jp
2011年 5月 21日 (土) 20:55:14 JST


震災の陰で進行している改憲の動きに大きな危惧を覚えております。最近の動きをま
とめてみましたので

御意見をいただければ幸いです。





憲法をめぐる情勢と比例削減反対運動の重要性 京都 岩佐 英夫



1、いま、マスコミは東日本大震災をめぐるニュース一色のごとき様相であり、私た
ちの関心も震災救援・原発問題に集中しています。

  しかるに、東日本大震災のどさくさに紛れて、というよりも震災を逆用した形
で、被災者にも重くのしかかり経済復興にも逆行する消費税増税、TPP参加、普天
間基地の沖縄県内移転、参院改革を契機とした比例削減、さらには非常事態規定の導
入、憲法96条の憲法改正要件の緩和等、改憲の動きすら強めている重大な動きに警
戒しなければなりません。



2、これを象徴的に示すのが5月18日の参議院憲法審査会規程案強行採決です。民
主党、自民党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本、国民新党は、日本共産党及び
社民党の反対を押し切って強行採決しました。そもそも2009年6月に当時の与党
(自民・公明)が提案した参議院憲法審査会規程案の採決について民主党は反対しま
した。しかるに今回、民主党が変節して参議院憲法審査会規程案の採決を強行したの
は、「ねじれ解消」のための自民党等との大連立への危険、財界要求への屈服という
特徴を示しています。

 

3、最近の改憲論の特徴を象徴的に示すのは5月3日の「読売」での前原誠司・石破
茂・高見勝利(上智大学教授)・中西寛(京都大学教授)の4人の対談です。この対
談で、「非常事態規定の必要」・「国民保護法の強化」・「有事には個人や地方にと
にかく従ってもらう必要があり『お願いベース』ではうまくいかない」など震災を口
実とした強権的な体制整備の考えの表明、自衛権の明記、その「コインの裏」として
「国を守る責務」、まずは憲法96条の「改正」で改憲のハードルを下げること等々
がこもごも語られています。



4、東日本大震災後、「憲法に危機管理条項の規定が存在しないのは問題だ」との声
が改憲派から声高に出されています。しかしながら、震災・津波・原発事故という未
曾有の事態のもとで、日本が今なすべき最重要課題は被災者救援・生活再建と復興・
原発事故の収束に全力をあげることです。

大震災を経験した今、いのち・自由・幸福追求権を保障した憲法13条、生存権を保
障した憲法25条、憲法92条(地方自治の本旨)等、憲法を最大限生かした政治こ
そ求められています。

原発事故問題については、最近の東電の「情報公開」の例でも明らかになったように
現行法(「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」等)のもとでも
政府が東電に対してきちんと行政指導・必要に応じて機敏な命令を発することにより
十分対応できたはずです。政府の対応のまずさは憲法に「危機管理条項」がないから
ではありません。



5、下記に示すように一時停滞していた改憲団体の活動が再開・活発化しています。

【改憲関係団体の動き等】

4月27日 自民党「憲法改正推進本部」役員会:2005年自民党・改憲草案の見
直し作業中で「非常事態条項」を盛り込むことを決定。

4月28日 「衆参対等統合一院制国会実現議員連盟」

(会長:衛藤征士郎・自民党・衆院副議長)

4月28日 「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相):改憲推進大会 

・桜井よしこ 講演 :「憲法96条の一点に絞って」

      ・鳩山前首相 復帰挨拶、 ・自民党 大島

5月03日 「新しき憲法をつくる国民会議」:下村博文元内閣官房副長官 講演

       96条改正 → 総定数500の一院制 → 憲法9条改正

5月04日 「憲法96条改定をめざす憲法改正議連」(仮称):自民党、民主党な
どの改憲推進派の有志議員で5月中に旗揚げ。中核メンバーは自民党の政策集団「の
ぞみ」(山本有二元金融担当相ら)と超党派グループ「創生日本」(会長・安倍晋三
元首相)に所属する衆参両院議員。「靖国派」といわれる9条改憲を主張する日本会
議国会議員懇談会に加わる議員が多くを占める。今通常国会に96条「改正案」を提
出し今年中の成立をめざすとしている。

5月10日  民主党常任幹事会「党憲法調査会」の設置決定(会長は、改憲・タカ
派で知られる前原誠司前外相)、2005年に一度設置された民主党「憲法調査会」
は05年10月31日に「憲法提言」を発表した後、2007年にいったん解散して
おり、今回新たに設置。

        ・改憲原案の発案及び審査権(閉会中審査も可能)を持つ衆参両院
の憲法審査会の始動をにらみ、政権与党として改憲論議を行う正規の機関を改めて整
備するもの。

        ・自民党との大連立への布石という指摘もあります。

        ・これは、民主・自民の「二大政党」が中心となり、国会で正式に
改憲論議を始める態勢を整えようという重大な動きです。

【比例削減】の動き

4月15日   参院改革西岡試案(第2次)(0509東京新聞朝刊)

        ・242→200 ・比例代表を廃止

        ・全国9ブロックの大選挙区(定数8〜36)

5月05日   イギリスの国民投票:AV否決 

5月18日   「大阪維新の会」:府議会定数109→88へ。5月府議会に提出
予定

         ⇒ 62選挙区中48選挙区が定数1に!



6、ところで、主要財界団体の中で、経済同友会が2011年1月11日に発表した
「2020年の日本創生―若者が輝き、世界が期待する国へー」は、財界の「未来
像」(私たちにとっては「地獄絵」)をわかりやすく示したものとして注目に値しま
す。それは、々餡髪娠弔虜胴獣曄米蚕制の導入・定数削減・内閣主導体制の確立・
国民総背番号制)、∈眄健全化と社会保障の再構築(消費税の17%までの段階的
増税・社会保障改革)、9餾歇匆颪諒刃造犯鳳匹悗旅弩ァ塀乎津自衛権の解釈変更
・武器輸出三原則の“弾力的運用”・海外派兵恒久法の制定・新安保共同宣言・TP
P参加)の3部構成で、それぞれ目標年度を明確に示して、その実現をせまっていま
す。

  3月11日の震災以前の提言とはいえ、震災後の財界や民主党政権の動きを見て
いると、震災を逆用して、むしろこの目標実現に向けて執拗に動いているように見え
ます。私たちは、これに対抗する大きな対抗軸を原発問題を含めて打ち出していく必
要があるのではないでしょうか。



7、厳しいマスコミ情勢のもとでの草の根の努力

21世紀臨調に70数名もの全国マスコミの政治部長クラスが参加していること、逆
にマスコミの経営陣の中に原子力産業関係者が参加している等、厳しいマスコミ状況
のもとで私たちは、たゆみない草の根の努力が求められています。

  こうした中で、5月3日の各地の憲法集会でも東京2800、京都2400、名
古屋2000等、各地で大きな成功をおさめています。また、5月3日報道の「朝
日」世論調査では、憲法9条を「変えない方がよい」が59%で、「変える方がよ
い」は30%にすぎません。



8、新たな改憲の動きが、まず96条改憲という迂回作戦をとろうとしています。
「9条改憲」の正面突破攻撃に比べて、反対の声を大きく起こすことに困難さを伴い
ます。しかし上記のさまざまな改憲の動きが最終的に9条改悪を狙っていることは明
らかです。

こうした状況下で、国会議員の比例定数削減の動きは、「1票の格差是正」に関する
最高裁判決に伴う「参議院改革」を契機に着々と進む危険があり、最近は国会のみな
らず、「大阪維新の会」の府議会定数の大幅削減の策動に象徴的にみられるように地
方議会の定数削減の動きも顕著であり外堀を埋める重大な動きとして警戒が必要で
す。

震災・原発問題への取組みと同時に、震災の陰で進行するこうした危険な動きにス
トップをかけるために、各地の「9条の会」や労働組合・政党・市民団体等に改めて
学習会を呼びかける等の粘り強い努力がいま極めて重要ではないでしょうか。

                                      
                  以上



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