[CML 009672] 保坂展人・新世田谷区長に二子玉川問題を期待

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2011年 5月 18日 (水) 07:39:16 JST


【PJニュース 2011年5月17日】「大型開発優先の区政から転換」を掲げて世田谷区長選挙に当選した保坂展人氏は、大型開発による環境破壊に心を痛める市民にとって大きな希望である。記者は二子玉川ライズ取消訴訟原告として再開発問題に関係してきた立場から、保坂区政に政策を提言する。これは記者個人の見解である。

第一に第1期事業(二子玉川東地区第一種市街地再開発事業)の住環境被害に対する、住民の立場に立った事業者・二子玉川東地区第一種市街地再開発組合との調整である。既に周辺地域では振動や風害、照り返し光害が大きな問題になっている。二子玉川ライズ・ショッピングセンターなどの開業による交通渋滞対策も大きな課題である。

これは本来ならば事業者が住民の声に誠実に向き合えば問題にならないが、残念ながら事業者の自発的な対応を期待することはできない。「住民の福祉の増進を図ること」が地方公共団体(地方自治体)の基本である(地方自治法第1条の2)。住民の生活を守るために行政が積極的に調整する必要がある。

これは記者の経験からも思い当たる。記者は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りされた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。業者が話し合いに応じた時は記者が国土交通省や東京都都市整備局に申し出た後だけであった。これが日本の実態である。

第二に今後進められる第2期事業(二子玉川東第二地区第一種市街地再開発事業)に対し、住民の立場に立った事業者・二子玉川東第二地区市街地再開発組合との調整である。第2期事業は認可過程で199通もの意見書が提出され、そのうち191通が計画の見直しを求めるなど反対意見が圧倒的であった(林田力「二子玉川第二地区再開発への意見書採択結果通知」PJニュース2010年6月23日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20100622_8/

世田谷区には住民と事業者の話し合いの場を作り、住民の意見を反映するように調整することを期待する。過去にも同趣旨の陳情「二子玉川東地区第一種市街地再開発事業第2期事業基本計画等について、住民、行政、事業者で協議する場を設ける事に関する陳情」が約1000筆の署名と共に世田谷区議会に提出されている(林田力『二子玉川ライズ反対運動』マイブックル、2010年、86頁)。

第2期事業の工事についても、事業者に工事スケジュールの事前提示を徹底させ、夜間工事をさせないなど住民の負担を少なくするような調整を期待する。これは1期事業の工事では全くできていなかった。1期事業では工事の都合で道路が突然、通行止めになり、住民は毎週のようにルートを変えなくてはならない。夜間、自転車で走っていて通行止めのバーに衝突した人が存在したほどである(『二子玉川ライズ反対運動』68頁)。

第一の点と第二の点は行政による調整という点で同じ問題であるが、事業者が東地区再開発組合と東第二地区再開発組合という別団体であるために形式的には分けた。しかし、両者は同一人(川邉義高氏)が理事長であり、ウェブサイトも共通する(林田力「100人以上の市民が二子玉川ライズ行政訴訟提訴(下)」PJニュース2011年1月8日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20101230_4/

事業者自身も両事業が「一体となった事業」であると主張している(東第二地区再開発組合「二子玉川東第二地区第一種市街地再開発事業説明会資料」1頁)。そして東急電鉄・東急不動産が大規模地権者である点も共通である。それ故に行政が第一の点と第二の点を進めるに際しては、第1期事業の問題・第2期事業の問題と形式的な分類をせず、必要ならば再開発組合の背後にいる東急グループを住民との話し合いのテーブルにつかせることも期待する。
第三に二子玉川の都市計画の見直しである。高層ビルの建築が風致地区であった二子玉川の街に本当に相応しいか再検討する。国分寺崖線と多摩川に挟まれた緑豊かな二子玉川が景勝地・行楽地として発展してきたことは事業者も認める事実である(林田力「二子玉川再開発説明会で住民の懸念続出=東京・世田谷」PJニュース2011年5月16日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20110513_1

既に超高層マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」など第1期事業の建物は竣工している。しかし、これは再開発問題が過去の問題になったことを意味しない。現状の都市計画では二子玉川に超高層ビルを建築することは許容されている。それ故に「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」などが建設できた訳である。この高層ビル建築を許容する都市計画が適切であるのか検討し、不適切ならば改めることは現在及び将来の世田谷区政の問題である。

第四に都市計画公園・二子玉川公園の見直しである。元々の計画では公園は駅から近い場所に世田谷区と東急グループの間の協定に沿った形で駅から離れた場所に移動された。これによって周辺住民や遠方からの訪問者が利用しにくい場所になってしまった。さらに新たに立ち退かなければならない住民も生じている。

さらに現行計画は約10メートルもの盛り土をするため、街を分断し、近隣住民に圧迫感を与える。これは災害対策の点で問題である。盛り土が水の流れを塞き止め、洪水被害を激化させる危険がある。また、盛り土が絶壁となってパレスチナの分離壁のように周辺地域から隔絶された公園は災害時の避難所としても不適当である。

故に住民に役立ち、自然災害を減少し、災害時に住民の役に立つ公園に改めることを期待する。これは「災害対策の総点検」を掲げた保坂区長の公約にも合致する。

第五に玉川地域の洪水対策の見直しである。玉川地域は世田谷区のハザードマップで洪水被害の危険性の高い地域とされている。そのような地域の中心部にあった広大な緑地が再開発によってコンクリートで覆われた。約7メートルの人工地盤でかさあげされ、超高層ビルが建設された。玉川地域の環境が激変した以上、シミュレーションをし直し、必要な対策を講じることが期待される。再開発地域が原因ならば、事業者に対処させるべきである。これも「災害対策の総点検」を掲げた保坂区長の公約に合致する。
http://www.pjnews.net/news/794/20110517_1

第六に超高層ビルの震災対策である。東日本大震災のマグニチュード9という規模は従来の想定を不十分とさせるものであった。震源から遠く離れた東京でも震度5強を観測し、超高層ビルにとって大地震の初経験となった。長周期地震動による長時間の揺れやエレベータ停止による高層難民化など以前から指摘されていた超高層ビルの弱点が机上の空論でないことが確認された。

ビルのオーナーやマンションの区分所有者は資産価値低下を恐れて隠す傾向があるが、損壊状況は安全性を検証する上で貴重なデータになる。行政が積極的に調査し、対策に役立てることを期待する。特に多摩川の川べりに位置する二子玉川ライズは超高層ビルの地盤としては懸念があり、入念な検証が求められる。これも「災害対策の総点検」を掲げた保坂区長の公約に合致する。

第七に二子玉川東地区再開発の認可過程の精査である。再開発の目的は「公共の福祉に寄与する」ことである(都市再開発法第1条)。世田谷区の全ての情報を開示して、二子玉川東地区再開発が公共の福祉に寄与することを目的として進められてきたのか検証する。

二子玉川東地区再開発は多数の住民の反対意見がありながらも進められてきた。これを反対住民はマンション分譲やオフィス賃貸など東急電鉄・東急不動産の営利事業のための再開発であると批判する。何のための再開発であったかを検証することは、「情報公開」を掲げる保坂区長の公約に合致するものである。【了】


CML メーリングリストの案内