[CML 009504] Re: 原発問題についての国民投票案に反対する

maeda akira maeda at zokei.ac.jp
2011年 5月 10日 (火) 17:29:01 JST


前田 朗です。
5月10日

国民投票を巡る議論が盛り上がっていますね。論点がたくさんあって、議論が交
錯しています。

1)日本における国民投票

日本国憲法には憲法改正に関連する国民投票の規定があります(憲法96条)。
それ以外に国民投票は予定されていません。

これは、憲法制定権力の淵源が国民(憲法1条の主権原理の意味での国民)にあ
ることを意味すると同時に、権力行使の形態としては「間接民主主義」を」採用
して、国民は「選挙」による意思表明を通じて政治に影響を及ぼすが、<国民投
票という直接的方法は否定するという意味です>。

(地方自治については別の論理が働くので割愛します)。

2)運動としての国民投票

これに対して、運動として国民投票を掲げてきた人たちもいます。間接民主主義
の弊害があまりにも大きいことを理由に、より直接的な民主的統制を働かせるた
めに国民投票を提唱しています。

ジャーナリストの今井さんでしたか、以前かなり強く主張していましたし、「週
刊金曜日」も一時期やけに肩を入れていました。

また、1999年の国旗国歌法のときに「六月声明」と称する一部の「文化人」
が、日の丸君が代国民投票を提案しました。某有名出版社の編集者たちが推進し
ていたようです。すぐに消えてなくなりましたが。

3)国民投票の発議

憲法96条は両議院の3分の2以上による発議です。かなりハードルが高いです
が、日本の政治状況は案外危機にあることは言うまでもありません。だからこそ
の安倍晋三政権だったわけですが。

9条の会の小森さんも、一時期、9条の会は憲法改正国民投票で勝つためにつ
くったと説明していました。

スイスの国民投票はよく知られていますが、国民からの発議は国民による10万
人署名運動です。

4)国民投票の主題設定

何を、どのように問題設定して国民投票にかけるのかは、ひじょうに重大です。
質問項目によって結果が見えてくる場合が少なくないからです。いろんなパター
ンがありえますが。

A 緊急の重大事案だから当面の課題を問う方法−−原発政策の維持か、それと
も稼働中の原発の停止かの二者択一。その上で国民的議論をしましょう、という
タイプ。

B 原発政策に関する基本方針を国民に問う方法−−脱原発か、原発維持か。全
面撤退か、いったん停止にとどめるか。

C 代替エネルギーの議論も含める方法−−今後の日本のエネルギーは何に重点
を置くべきでしょうか(ひとつだけ、あるいは二つだけ選ぶ)−−1太陽エネル
ギー、2風力、3地熱、4火力、5水力、6原発・・・といった方法。

主題設定自体が闘いになります。

5)投票権者は誰か

国民投票ですから「国民」となりますが、日本の選挙権は20歳以上であるの
に、憲法改正論議で18歳以上が登場しました。

在日外国人選挙権運動をしている立場からは、場合によっては、定住外国人にも
投票権を、と言う主張もありえます。通常、外国人選挙権論は地方自治について
のものですが、国政についての主張もありますから。

「六月声明・文化人」の主張は「16歳以上の日本社会定住者(朝鮮・韓国人な
ど外国人も含む)」だったと記憶しています。きわめて無責任な提案です。








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