[CML 009453] 福島第一原発事故以後 〈反原発〉の国民的怒りの波に便乗しようとする「研究者」なる者と著名人なる者の正味の正体(2) トンデモ学者武田邦彦の正味の正体

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2011年 5月 8日 (日) 19:57:36 JST


〈反原発〉の国民的怒りの波に便乗しようとする「研究者」としてはじめにトンデモ学者の武田邦彦をとり
あげます。

私にとっては武田邦彦なる人物はまったく取るに足りない、歯牙にもかけたくない人物以外のなにもの
でもないのですが、いわゆる「小沢信者」の間ではそのトンデモ学者の武田邦彦がいま大人気らしく、
その「小沢信者」系ブログ記事に影響されて武田のブログ記事が「かつての原発推進学者が反原発学
者に転向した」というたぐいの一種の〈貴種流離譚〉記事として市民の間に「拡散」されていくという現象
も生じているようです(注)。そういうことはさもありなんということでさておくこともできるのですが、問題
は自ら市民メディアを自称し、事実としてもいわゆる革新的市民にも一定の影響力を保持していると思
われるNPJ(News for The People in Japan)紙が同紙の「NPJ お勧め 論評」欄に最近連日のように
武田邦彦のブログ記事を無批判に受容し重用掲載していることです。その悪影響は少なくないものが
あるように思います。はじめに武田邦彦批判をするゆえんです。

注:下記の<増委員会「武田教授 緊急提言!!」2011/03/19 >という動画(現在は非公開)の冒頭
で武田邦彦は自らを「僕は『安全な原子力』なら推進、原子力は危険だから反対という人たちとまった
く同じなんです」と自己規定しています。つまり武田の自らの自己規定によれば武田は決して〈反原発〉
論者に転向したのではなく、いまでも「安全な原子力」推進論者ということになります。この点からも武
田の〈貴種流離譚〉説は誤りということにもなります。
http://ceron.jp/url/www.youtube.com/watch?v=z_426NjGEjs

さて、武田邦彦なる人物はウィキペディアによれば次のような経歴を持つ人物です。東京大学教養学部
基礎科学科卒業。工学博士(東京大学)。専門は資源材料工学。名古屋大学大学院教授を経て、現在
は中部大学教授。これまで内閣府原子力委員会や内閣府原子力安全委員会などの専門委員を歴任。

そのウィキペディアには武田邦彦に関して次のような記述もあります。

「科学的に不正確な点や誤謬、根拠としているデータが捏造であるとの批判がある。批判に対しては主
張を微妙に変えることもあり、結果として矛盾した主張になることもある。また、最新データがある場合
でも持論に都合良く古いデータを引用したり、孫引き、原典の存在しない『引用』をおこなうなど、引用に
関しても多くの問題が指摘されている。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E9%82%A6%E5%BD%A6

「中立的な観点を守ること 」を編集方針とするウィキペディアにおいてもこのような批判が紹介されてし
まう武田邦彦という人物の実像はどういうものでしょうか? くだんのNPJに紹介されている記事を参
照しながら検証してみます。NPJに紹介されている武田邦彦の最近の記事は「社会を混乱させる放射
線医学・防御の専門家」と「原発論点4 東電に責任はない?」というものでともに5月7日付けです。

「社会を混乱させる放射線医学・防御の専門家」という記事では次のような武田の記述が見られます。

「もしも放射線の専門家が20年間にわたってわたくしに(「1年に1ミリシーベルト以上は危ない」と)教え
てくれたことをそのまま社会に発信していたならば、政府は「1年に1ミリ以上は危険である」という国際
基準と国内法を守る政策を採ったでしょう。」そして「多くの人は一つの基準を守って安全な生活をする
ことができたと思う・・・」
http://takedanet.com/2011/05/post_308e.html

上記の武田の記述には武田が「放射線医学の専門家」ではないにせよ「原子力関係の専門家」のひ
とりとして長い間内閣府原子力委員会や同原子力安全委員会などの専門委員を歴任してきたという
事実に対する自身の責任の自覚は皆無です。「放射線医学の専門家」ではないにせよ「1年に1ミリシ
ーベルト以上は危ない」と放射線医学の専門家に「20年間にわたって」教えられてきたというわけです
から、その教えられてきたことを原子力安全委員会専門委員の名において自身の手で「社会に発信」
することは十分可能だったはずです。その自覚が武田にはまったくすっぽりと抜けているのです。よく
ぬけぬけとこういうことを言うよ、というたぐいの発言です。

武田はまた同日付けの「原発論点4 東電に責任はない?」という記事では次のような発言もしてい
ます。

「水俣病を起こした会社は、『正しく』工場を設計し、認可を受け、全く違反なく工場の運転をしていた
が、毒性物質とは思っていなかった水銀が海に流れそれによって、大量の健康の障害者を出したの
である。(略)つまり水俣病起こした会社は、当時の知識において正しく設計し、運転したのだから、
どこから見ても過失はない。」

しかし、上記の記述もよく言って誤謬に満ちています。はっきりといえばウソです。水俣病は「(チッソ
が)毒性物質とは思っていなかった水銀が海に流れ」たから起きたのではありません。当初はそうい
う側面もあったかもしれませんが、1956年5月1日(水俣病公式発見の日とされている)。当時、新
日本窒素肥料水俣工場附属病院長だった細川一は新奇な疾患が多発していることに気付き、「原
因不明の中枢神経疾患」として5例の患者を水俣保健所に報告しています。チッソはこの時点で水
銀の排水と水俣病との因果関係を知りうる立場にありました。

また、それから3年後の1959年10月には上記の細川医師が廃液を投与され続けた「猫400号」が
運動失調の症状を示すことを確認。水俣病の原因は工場廃液と確信し、そのことをチッソに報告す
るのですが会社側の説得によってこのことを一般に公表することができなかったという事実もありま
す(ウィキペディア『細川一』)。細川は会社への思いとおそらく医師としての自責の念もあり1962年
にチッソを退社し、故郷の愛媛県に帰郷します(同上)。この時点ではチッソは明確に水銀の排水と
水俣病との因果関係を知りうる立場にあったのです。武田の言うように「(チッソが)毒性物質とは思
っていなかった水銀が海に流れ」出た結果として水俣病が起こったのではありません。

同記事にはこのほかにもさまざま問題とすべき箇所がありますが、NPJに重用されている武田記事
の検証は一応これでおしまいにしようと思いますが、もう一点、武田の「ああ!日本のお役人!」(20
11年3月19日付)について次のような批判記事がありますのでご紹介させていただこうと思います。

■もうお前は黙ってろ!(「きまぐれな日々」ブログ 2011年4月1日付コメント)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1171.html

「武田邦彦氏、例によって正義面して吼えています。/どうも行政とか学者とかの「権威」に噛みつく
と受けが良いということを察知しているようです(世渡り上手とも言います)。なんだか橋下や河村の
学者版といった感じ。/武田氏が言うには下のような放射性物質の拡散シミュレーションを日本の
お役人は出さない、けしからん、ということのようです。
http://www.dwd.de/
(ドイツ気象局)

流体シミュレーションをかじった者のはしくれとして言いましょう。こんなものは当たりません。/流
体内の拡散予測というのは非常に複雑で、ちょっとした初期値の変化でまったく違ってしまいます。
「しかし火山灰の予測はできているではないか?」/これは実際に気象庁ホームページを見て確
認してください。噴火して噴煙の高さまで設定できている時にしか予測は出していません。今回の
原発事故では、現場からどの程度の物質が放出されていることすら分かっていないのに、予測が
可能なはずはありません。/日本ですら初期値が設定できないのに、遠く離れたヨーロッパなど
で予測は絶対不可能です。おそらくこれは仮想の初期値を入力したのだと思われます。コンピュ
ータはとりあえずは計算しますので「もっともらしい」図を出力してくる。それだけのことです。/困
ったことに、リベラル系のブログなどでも、こうしたシミュレーションを万能なものと思い込んでいる
人が多いことです。(略)/武田氏、自分の専門以外のことにやたら口を出して知識人ぶるからこ
ういう間の抜けたことを書くのですよ。」

なお、武田邦彦という大学教授のこれまでのトンデモぶりについては下記のブログ記事に詳しい
です。ご参照ください。

■地球温暖化懐疑論者「武田邦彦」教授の呆れたトンデモぶり(きまぐれな日々 2009年10月1日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1002.html

私もこれまでに名古屋市長選挙に関連し次のようなて武田邦彦批判の記事を書いています。こ
れもご参照いただければさらに武田邦彦という人物のトンでもぶりがおわかりになっていただけ
るはずです。

それにしてもこのようなトンデモな人物を重用するNPJには強い反省を求めたいと思います。

■(1)名古屋市長選、愛知県知事選。そして東京都知事選―ポピュリズム政治にサヨナラする
ために―(弊ブログ 2011年2月8日)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-12.html 
■(2止)名古屋市長選、愛知県知事選。そして東京都知事選―ポピュリズム政治にサヨナラす
るために― (弊ブログ 2011年2月8日)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-11.html


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/



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