[CML 009356] 問題提起として岩佐英夫さんメールに応答させていただこうと思います〜Re: 日本共産党の原発政策の転換について  京都 岩佐英夫

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2011年 5月 3日 (火) 20:38:15 JST


岩佐さん

今回の日本共産党の原発政策の転換は同党の「従来の方針から大きく踏み出したもので」あり、かつ
同党の「原発政策にとって大きな転換である」と見る岩佐さんのご見解、あるいはお見立てに私も賛成
します。この点について私は昨日のCML 009327で次のような私の見立てを述べておきました。

「先に発表された(2011年3月31日付)共産党委員長の志位提言では『脱原発』は明確に述べられてい
ませんでしたが、今回の吉田さんの『脱原発』宣言はこの志位提言を凌いで『脱原発』が明確に述べら
れています。もしかしたら共産党本部もやっとのことで『脱原発』に舵を切ったのかもしれません。いず
れにしても吉田さんの『脱原発』宣言が共産党の主流の見解になることを共産党自身のためにも私は
強く望むものです」
http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-May/009200.html

しかし、同時に私は昨日のメールでは次のような私の見立てもあわせて述べておきました。

第1。共産党のこれまでの「原子力の平和利用推進」という原発政策が「『原発がないと電力不足とな
る』という行き渡ったプロパガンダに貢献する結果となっている」というある人の指摘は重要な指摘だ
と思われること。

第2。この点について共産党及び共産党員はあれやこれやと自己正当化したり、弁解したりするので
はなく、これまでの上記の共産党の主張がある人の指摘のとおり原発推進派のプロパガンダに実際
に利用されてきたという重たい事実が存在する以上、これまでの共産党の原発政策の(結果としての)
誤り、あるいはいたらなさを率直に認めるべきだろうということ。

第3。共産党の「原子力の平和利用推進」というこれまでの原発政策は1963年の第9回原水爆禁止
世界大会当時の「いかなる国」問題と同根の理論的問題を含んでいるように思われること。この「いか
なる国」問題に伏在している共産党サイドの理論的問題の危うさについては浅井基文さんの重要な指
摘があること。

上記にいう浅井さんの指摘とは次のようなものです。

■日本共産党への辛口提言−ふたたび埋没することがないように−(2010年6月13日記)
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/331.html
■「いかなる国」問題についての今日的視点(2010年6月20日記) 
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/332.html
■日本共産党への辛口提言−2−(2010年7月19日記)
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/336.html
■「いかなる国」問題再考
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/339.html
■第9回原水禁世界大会での「いかなる国」問題(2010年8月13日記)
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/342.html
■「いかなる国」問題と1973年当時の日本共産党の立場(2010年8月22日記)
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/345.html
■「原水禁第9回世界大会を回顧する」(北西允・広島大学名誉教授) 
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/348.html

そして、上記の論攷で浅井さんが指摘していることを浅井さん自身の言葉を援用してひとことで言
うとすれば次のようなものになるでしょう。

「私は、このコラム(「日本共産党への辛口提言―ふたたび埋没することがないように−」)で、こう
いう認識(東本注:日本の原水爆禁止運動において社会党・総評指導部は日本原水協から脱落し
ていったが、日本原水協及び共産党は核兵器廃絶の大義を守りつづけてきたという共産党・志位
委員長の認識)からは『今なお分裂し、このままではじり貧を免れない(としか私には思われない)
日本の原水爆禁止運動の深刻な状況を直視する真摯な姿勢を窺えないことを非常に残念に思う』、
『日本の平和運動の今日における沈滞は1963年の原水爆禁止運動における社共分裂に大きな
直接的な原因があると言っても過言ではない。日本の平和運動が日本の世論を引っ張り、世界の
平和を引っ張る力を発揮することを強く願うだけに、上記の志位委員長の発言は、正直言って理
解に苦しむ。そして、このような自己正当化の主張を公然と行う共産党の姿勢は、やはり多くの国
民・人々の共感を遠ざける方向に働かざるを得ないことを、私は恐れる。」と指摘したのですが、
今回の演説が同じ認識を繰り返しているということは、私の辛口提言が共産党指導部の目に止ま
っていないか、冒頭に書きましたように、単純に無視されているかのどちらかでしょう。」(「『政党の
値打ち』(志位共産党委員長の発言について) 」(浅井基文 2010年11月11日記)。
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2010/361.html

上記のような浅井さんの真摯な指摘に応えない共産党の姿勢を見ると、今回の共産党の「脱原発」
宣言をほんとうの「脱原発」宣言とみなしてよいのかどうか。私としていささかの疑問なしとしません。
このことについて昨日の弊メールの意味合いについてある人に問われて別のメーリングリストで次
のように応えました。該当部分を少しばかり引用しておきます。

………………………………………………………………………………
いろいろ詳しいわけではありませんが、下記の朝日新聞記事の言うとおり共産党中央委員会が
原発政策として「脱原発」に舵を切ったということだけは確かだと思います。昨日お伝えした吉田
万三さんの「脱原発」宣言は吉田さんひとりのお考えではなく、やはりこうした伏線があった上で
出てきた宣言であった、ということだろうと思います。

ただし、共産党がほんとうの意味で「脱原発」路線に転換したとは私は思っていません。ほんとう
の意味で共産党が「脱原発」路線に転換したのであれば、当然これまでの同党の「原子力の平
和利用推進」という原発政策への反省が必要ですが、下記の中央メーデーにおける志位委員長
のあいさつを見てもその反省はありません。昨日のメール記事にも少しだけ触れておいたことで
すが、1960年代の「いかなる国」問題を発端にして原水禁、原水協は分裂してしまったという現
実もあり、そうした問題を含めて共産党が真に根本的な反省にいたるまでは時間がかかるだろ
うと私は思っています。  

しかし、今回の共産党の「脱原発」宣言は、共産党にとってのそうした根底的な反省にいたる重
要な一里塚ということだけはいえるだろうとも私は思っています。
………………………………………………………………………………

もちろん、岩佐さんにこのような応答文を認めましたのは、私も日本共産党の「脱原発」宣言に
期待するがゆえです。どうかその宣言がほんまもの(真の反省をともなうもの)であってほしい、
という願いからです。その私の願いにウソはありません。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

----- Original Message ----- 
From: "Hideo Iwasa" <iwasa at minami-lo.jp>
To: "市民のML" <cml at list.jca.apc.org>
Sent: Monday, May 02, 2011 9:26 PM
Subject: [CML 009340] 日本共産党の原発政策の転換について  京都 岩佐英夫


>  日本共産党の原発政策の転換について  京都 岩佐英夫
>
>
>
> 皆さん、2011年5月1日の第82回中央メーデーでの日本共産党の志位委員長の
> 挨拶で、原発問題について極めて重要な発言がなされたことに気づかれたでしょうか
>>
> 5月2日付け「しんぶん赤旗」4面に全文が掲載された同委員長発言では、大震災を
> ふまえて、三つの国民運動が提起されている。即ち、第1は「被災者支援と復興のた
> めの国民的運動」であり、第2は「原発政策の根本的転換」であり、第3は「ルール
> ある経済社会をめざす」たたかいをあらゆる分野で発展させることである。
>
> 第1、第3は、震災後、同党が一貫して提起してきたことであるが、第2は、従来の方
> 針から大きく踏み出したものである。
>
> 即ち、第2において志位委員長は、福島原発事故が明らかにした点としては,い泙
> 原発の技術は本質的に未完成で危険をはらんだものであること、△海Δ靴浸楡澆鮴
> 界有数の地震国で世界1、2の津波国である日本に集中立地することはとりわけ危険
> きわまること、しかるに歴代政府が「安全神話」にしがみつき、繰り返してなされ
> た警告を無視して安全対策をとらなかったことが大事故につながったこと、との三点
> を指摘したうえで、
>
>  
>
> 「この大事故をふまえ、私は政府に対して、原発からの撤退を決断すること、原発を
> ゼロにする期限をきめたプログラムを策定することを強く求めるものです」と明確に
> 原発ゼロ政策をよびかけた。
>
>
>
>  これは、実は日本共産党の原発政策にとって大きな転換である。従来の共産党の原
> 発政策は、あらゆる原発に反対というものではなく、「(核兵器開発につながらな
> い)平和で安全な原子力研究開発」は認めていると理解されてきたからである。
>
>  共産党内部(中央委員会あるいは幹部会等)で、どのような議論がなされて、こう
> した志位委員長発言になったのかはつまびらかではない。しかしながら、こうした提
> 起は、原発廃棄を求める運動の統一に大きな影響を与えることは間違いないであろ
> う。既に、東京都足立区長選挙に立候補された吉田万三氏(もと、都知事選候補)は
> 脱原発を明確に打ち出している。
>
>
>
> ☆日本共産党の原発政策の経緯をふりかえると次のとおりである。
>
>
>
> 1、綱領の四、民主主義革命と民主連合政府(一二)【経済的民主主義の分野で】3
> 項では、
>
>  「食料自給率の向上、安全優先のエネルギー体制と自給率の引き上げを重視し、農
> 林水産政策、エネルギー政策の根本的な転換をはかる。」となっている。
>
>
>
> 2、2011年3月31日の「被災者救援・復興、原子力・エネルギー政策の転換を
>
>   ―東日本大震災にあたっての提言 」の
>
>  3項、「原子力行政、エネルギー政策の抜本的転換を」では、
>
> (1)「安全最優先の原子力行政への転換を」では
>
> ・正直で科学的な原子力行政へと転換することを強く求める。
>
>   ・原発総点検、原発新増設とプルトニウム利用の燃料政策の中止の基本的立場に
> 立って、原子力行政の思い切った転換をはかる必要がある。
>
>   ・新しい安全基準をつくり、それに基づいて全国の原発の総点検を
>
>   ・14基以上の原発を新増設する計画はきっぱり中止すべき。
>
>   ・想定震源域の真上に位置する浜岡原発の停止、老朽化した原発の「延命」の中
> 止、危険きわまりない高速増殖炉「もんじゅ」、ウランより危険性の高いプルトニウ
> ムが入った燃料を一般の原子炉で燃やすプルサーマルなど、プルトニウム利用の核燃
> 料サイクル政策の中止。福島原発は廃炉にすべき。
>
> (2)「自然エネルギー、低エネルギー社会への戦略的転換を」では、
>
>    ・原発依存のエネルギー政策から、自然エネルギー(再生可能エネルギー)へ
> の戦略的転換を決断すべき。
>
>    ・「24時間型社会」という社会のありかたを、根本的に見直し、低エネル
> ギー社会への転換をはかるべき。
>
>  となっている。
>
>
>
> 3、共産党の公式見解を反映していると思われる「前衛」2011年5月号の柳町秀
> 一氏論文(29頁〜40頁)の
>
>   最後に、五、「核兵器のない世界」と「平和で安全な原子力研究開発」との項目
> があり、「トリウム溶融鉛炉」は、非軍事的体系であること、原理的に過酷事故のお
> それがないこと、現在の原子力政策の「負の遺産」であるプルトニウムと放射性廃液
> の消滅に有効として、肯定的に紹介されている。
>
>
>
> ☆但し、この点について、4月28日に開催された自由法曹団京都支部主催の学習会
> で安斎郁郎氏(東大原子力工学科第1期生、放射線防護学の専門家。立命館大学名誉
> 教授、国際平和ミュージアム名誉館長)は、この論文についての質問に対して、「今
> の原発はウラン235や、プルトニウム239のモックス燃料を使っている。トリウムを使
> うと核兵器への転用はしにくいが、いずれにしても核分裂反応を使うので、放射性廃
> 棄物を発生させる。トリウム炉はあまり信用していない。」と回答されている(要
> 旨)。
>
>   同氏は、4月28日に「かもがわ出版」から「福島原発事故をどうする?」を発
> 売され、従来からあった「原発 そこが知りたい」「放射能 そこが知りたい」等の
> ブックレットの最新改定版を出しておられ、いずれも正確でわかりやすい基礎概念解
> 説をふまえた貴重な文献である。
>
>                                     以上



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