[CML 008703] 虚構の体制―国際的二重基準に目を向けよう

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 3月 31日 (木) 23:13:05 JST


みなさまへ  (BCC、長文失礼)松元
被災者のみなさま、救援、援助に尽力されている大勢のみなさま、こころからのお見舞いと声援の声をおくります。私も福島・茨城に身内がいますが、何も出来ずにおります。自分に出来るせめてものこととして、これからも少しずつパレスチナ、中東のことを報告させていただきたいと思います。日本の再生のためにも、外に目を向けることも大事と思います。長文ですが読んでください。

========転送転載歓迎========

《虚構の体制―国際的二重基準に目を向けよう》

パレスチナ連帯・札幌 松元保昭

はじめに
未曾有の災厄と不安をもたらしてもなお、原発存続を公言してはばからない人たちの背後では、人の命が失われても、故郷が失われても、水や空気や海や大地がどんなに汚され破壊されても、金の支配を追求してやまない巨悪の電力産業と大資本家連合が虎視眈々と原発推進、軍事産業拡大、日米「核」同盟のさらなる強化を狙っているようです。

それどころか最初から爆発や再臨界という事故の可能性については国民に周知せず、数値操作による目くらましを横行させてかえって不安を増大させています。高濃度の放射性物質をすでに海中に大量に放出しているにもかかわらず、「測ってない」「うすまる」などとたわけたことを言って小学生でも分かる食物連鎖のことさえ伏せて「健康には影響がない」などと会見する東電の卑劣な対応とそれに追随するだけの政府の愚かな対応をみると、彼らのようなものに日本列島と一億人民の生殺与奪の権を預けていると考えたら孫の将来も見えず愕然としてしまいます。

私たちは、人知を超えた核分裂反応や放射能汚染の恐ろしさを人間として感じています。しかし原発を許容し推進したい人々は、平和利用だ、安全だと今でも主張し信じていますが、IAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)が「しきい値」や「被曝許容量基準」などを設けて国際的に承認しているからにすぎません。原発はその「基準」によって、低線量放射線被曝を許容しさらに内部被曝の可能性を除外して被曝労働者や事故被曝者の甲状腺がんや白血病罹患の因果関係の立証責任も回避するという多くの隠蔽防護策によってはじめて「安全神話」をつくり操業ができるものです。

低線量被曝と内部被曝の危険性については、米国科学アカデミーやスターングラス博士、わが国でも肥田舜太郎はじめ少なからずの研究者がすでに主張してきたことです。このように「安全神話」も「高度な科学技術」も「原子力の平和利用」も、今回の事故のようにこれら「想定外」の現実が襲ってくるともろくも崩れ去ってしまう虚構の二重基準のうえで成り立っていることがわかります。虚構が暴かれないうちは、まっとうな「知性」にみえた科学者や企業人が、虚構が見えてくると「卑劣で愚かな知性でしかない」ことがはっきりします。私たち人間は、どんなに騙されても教育がなくとも虚構を見破る眼を生来もっているからではないでしょうか。

さて、私たちが地震と津波と原発に目を奪われているあいだに、米英仏軍はリビア攻撃の介入を始めました。そして呼応するようにイスラエルのガザ制裁と空爆が強化されています。そこには明らかに、チュニジア、エジプトの若者から始まった新しいアラブ革命の波及に楔を打ち込み鎮静化をはかり、従来どおりのイスラエル擁護の「欧米流民主主義」の中東管理体制存続を再建するという野望が見え透いています。そのイスラエルに目を転じてみると、やはり虚構の二重基準に守られていることが分かります。

先住民族パレスチナ人を虐殺・追放しその土地を奪い、さらに狭い占領地に囲い込んで牢獄のような生活を半世紀も強制しているイスラエルの不義不法は、幾度も国際的に指弾されながらも30数回におよぶ米国の拒否権に阻まれ正義が貫かれたことは一度もありません。民主主義とは根本的に相反する「ユダヤ人」国家を標榜する彼らが、どんなに被虐のユダヤ人を喧伝し「2000年前の故郷」を捏造しようとも、人種差別の戦争犯罪国家、アパルトヘイト国家である事実は変えられないでしょう。第二次大戦直後に確立された国際的人権規約をことごとく反故破綻させたその責任は、やはり「民主主義」を標榜しながらイスラエル国家をアラブ・イスラーム世界への前哨基地として支援し続けてきた米欧「国際社会」の二重基準にこそあるでしょう。いまこの虚構の体制が、世界を覆う「反テロ戦争」として各地の「紛争」をつくりだしています。

イスラエルが被災地救援などして日本に親近感を寄せるのは、広大なアジア大陸の西と東に侵略拠点として援助している米欧の同盟国だからということだけでなく、第二次大戦後きわだって強引に虚構の人工国家をつくりあげてきた相似性があるからではないでしょうか。共通する一国一民族幻想。自分たちを排外主義だとも人種差別だとも何とも思わない心情、過去も現在も自分たちがやってきたことを絶対反省しようとはせず相手が悪い回りが悪いという心性、ようするに典型的な自民族中心主義の国づくり。とうぜん軍事的な共謀をも企んでいるでしょう。いまに至っては、両国国民の虚構を直視できない「欺瞞的な知性」の蔓延も特徴としてあげられるでしょう。

今回の原発事故で暴露された深刻な二重基準からわが国を振り返ると―安全神話の裏に人知を越えた危険、政府・東電の二枚舌の裏に隠された事故の現実と放射能実数、日米和平の裏に沖縄の希求を踏みにじる基地拡張、隣国の核保有を指弾する裏に世界三位のプルトニウム保有国、民主主義と平和を標榜する裏に弱者切捨て棄民の体制と排外主義の根、自国の歴史を隠蔽する裏に自国の責任を葬り去る悪意、ガス抜きベントの天皇制の裏に国民懐柔と先住民族抑圧の長い歴史―等々のダブルスタンダードが日本の虚構の「民主主義」の根幹にあるとすれば、欧米支配の体制にも抗したアラブの若者たちの新しい気運は、けっして遠い中東のことでは無いはずです。

なぜなら、彼らは独裁政権打倒の要求の一方で、口先で民主主義を宣伝しながらこの体制を利用、援助してきた欧米の二重基準にも抗して「外国勢力はいらない」と宣言したのですから。彼ら若者たちが怒ったのは、自国政権と外国勢力に自分たちが欺かれ尊厳を奪われ虚構に生きることを許せなかったからです。

イスラエルのパレスチナ占領が国際的二重基準にまもられた構造的暴力の体制であるなら、日本国は、隠蔽と欺瞞の二重基準による構造的責任回避の体制といってもいいのではないでしょうか。その責任回避こそが体制の暴力となって日々人々の生存に襲いかかっています。その究極の姿が何十万、何百万もの人々への被曝の可能性を野放しにし隠蔽する政府と免責される東電・大企業ではないでしょうか。

原発存続を軸に体制を維持再生したい大資本家連合(政府などただの出先機関にすぎない)と、私たちの原発のない「新しい日本の再生」とは、必ずや真っ向からぶつかるでしょう。原発という原子力「平和利用」問題も「中東和平」というパレスチナ問題も、ともに国際的二重基準による虚構の体制がつくりあげてきたものです。共通の根と共通の出先機関(諸国際組織)をもっているこの欺瞞の「国際体制」の克服なしに、人類の夜明けはやってきそうにありません。虚構の犠牲になるのはいつも膨大な民衆です。

2、ガザ侵攻以降のパレスチナ
「イスラエルの人権団体ブツェレム(B’Tselem)の発表によれば、ガザ、ヨルダン川西岸、東エルサレムは44年間にわたるイスラエルによる占領支配という背景に加えて、キャスト・レッド作戦終了直後からこの2年間(2009年1月31日から2011年1月 31日)、家屋破壊によって1000人を超えるパレスチナ人が 
ホームレスとなり、また何百人ものパレスチナ人が非合法に拘留され、150人以上の男性、女性、さらに子供たちがIDF(イスラエル国防軍)や入植者たちによって殺害された。武装した入植者たちはパレスチナ人に帰属する膨大な広さの土地を奪い、数多くのオリーブを根から引き抜いた。パレスチナ人が病院や仕事や通学へアクセスしようと試みる一方で、しばしばそれらは実を結ばないことが多いのだが、その間、チェックポイントでは膨大な不毛の時間が浪費されてきた。150万のガザ市民は、乏しい食糧供給、電気の不足、危険で有毒な汚水に囲まれながら生きている。」

「これが占領というものである。国家の軍務としてなされ日々繰り返される構造的暴力の諸行為。パレスチナ人に正当に帰属する土地を不法なイスラエル人入植者たちが絶えず拡張し続けているすべて、これが占領である。」
Jewish Voice for Peace3月26日号よりhttp://jewishvoiceforpeace.org/

3、この2週間の出来事
Jewish Voice for PeaceおよびJPMAメルマガ(日本パレスチナ医療協会)から拾い上げてみると、

【3月12日(土)】イタマール(Itamar)入植地で子ども3名を含む入植者一家5人が刺殺される。
【3月15日(火)】パレスチナ陣営内の分裂終止と統一を求めガザ地区で10万人の大デモ。チュニジア、エジプトの「中東インティファーダ」に刺激された若者グループがフェイスブックで呼びかけた。【3月16日(水)】アッバース大統領「分裂に終止符打つためガザ入りの用意」
【3月16日(水)】イスラエル軍のガザ地区空爆で2人死亡。
【3月19日(土)】ガザ地区境界線付近でパレスチナ人2人を射殺。
【3月19日(土)】イスラエル軍、ガザ地区数カ所を空爆、子供を含むパレスチナ人5人が負傷。【3月20日(日)】米英仏軍他リビア攻撃、軍事介入開始。
【3月21日(月)】ガザ地区への空爆で少なくとも19人負傷。
【3月22日(火)】「ユダヤ人国家」の疑問視許さず、「ナクバ法案」可決。
【3月22日(火)】ガザ地区、イスラエル軍の攻撃でパレスチナ人9人殺害、多数負傷。●この日のビデオ:
http://feedproxy.google.com/~r/IntifadaPalestine/~3/XtZid529-sQ/?utm_source=feedburner&utm_medium=email
【3月23日(水)】西エルサレムのバス停で爆発。女性1人が死亡、少なくとも30人が重軽傷。目撃者によると、バス停近くの歩道上に置かれた小型のバッグが爆発したという。イスラエル警察はパレスチナ武闘派によるものとしたが、実行声明は出ていない。エルサレムで、このような爆弾事件は04年以来7年ぶり。
【3月23日(水)】ガザ地区からロケット攻撃。イスラーム聖戦機構が実行声明を出した。前日、イスラエルのガザ地区空爆で、4人の住民が殺されたことへの報復。
【3月24日(木)】イスラエル軍、ガザ地区数カ所を空爆。前日、同地区からイスラエルへ向けられたロケット攻撃への報復。

4、しかし実態は
まずイタマールの一家刺殺事件では、イスラエル在住の日本人Mさんの知らせによると、「事件発生後、イスラエル警察は独断と偏見により、加害者は付近の村に住むパレスチナ人であると決め付けた。テレビニュース・チャンネル2では、『この痛ましい最後を遂げた家族一家の葬儀に25万人が集った。こうなったからには国際的に認められていないこの入植地の新しい入居建築数を当初予定の2倍に増やす。』と発表し、葬儀に集まった人々がパレスチナ人に対する復讐を誓っているといったようなことまで知らせた。ナブルス近郊の村・アワルタでは、金曜日の朝にイタマル入植地で起こった殺人事件に伴い、外出禁止令が出されて2日目に入った。アワルタ村の男性ほぼ全員が軍警察による調べを受けており、現在その数は100人に及んでいる。入植者達はパレスチナの村に無断侵入し、数々の民家に危害を加えているのみならず、民間人を殴るなどの暴力行為を行っている。村の電源は切断され、飲料水の貯蔵タンクには泥が流し込まれ、30件の民家が軍により占領されている。進入された民家ではコンピューター及び電話が破壊され、家の中にあったお金や高価な物品は兵士により盗まれているばかりでなく、民家の敷地内外には音響爆弾が投げ込まれ、兵士達は威嚇を目的としてか空中射撃を連続して行っている。」

Mさんはこう語る。「入植地の敷地の周囲は電圧の高い電流の流れる網状のフェンスを含め、合計3本のフェンスで囲まれている。フェンスの周囲はライトアップされており、テレビカメラが常時起動、万が一飛び越えたとしても、其の時点で警戒装置が即座に起動し、見張りの兵士に緊急連絡が入る仕組みになっている。どう考えても、外部から進入した人間が5人の人間を殺してそのまま捕まることなく外側に脱出することは無理である。」

ついにその後、「警察は事件発生後から3日たった今日、この家で使用人として働いていたタイ人の男性を指名手配した。」

西エルサレムのバス停爆破についてもMさんは、「分離壁が完成されてから、まったく起こっていなかった爆発事件だ。一般にはテロと呼ばれているが、私の目から見るとイスラエルが軍を使って行っている空爆や、西岸地区でユダヤの信仰高き人々が行っている残虐な行為の方がよっぽどテロである。以前は西岸地区で作った爆発物をイスラエル側に運び、爆破させることは可能であったが、分離壁ができてから、物理的に爆発物を運び込むことは不可能である。」と語る。

そして「仮に犯人がパレスチナ人であるとするのであれば、イスラエル側に住むパレスチナ人が作ってこの大通りまで持ってきたことになるが、数メートルおきに軍警察がパレスチナ人の尋問を行っているエルサレムの中心地に爆発物を持っていくことは無理である。不可能に近い。」

『このところ、連続してガザに空爆をしていることから、(昨日の空爆による死者は7名)ガザに空爆をしていることの理由付けをする為に、ユダヤ人の関係者が爆破事件を企んだのではないか。爆発物を持ってエルサレムの中心地にパレスチナ人がたどり着くことなど考えられない。こんなことが出来るのはシンベートだけだ。』と地元のパレスチナ人は訴えている。とMさんは伝えてきた。

さきに引用したJewish Voice for Peaceの報告からは、このような結果も背景も伝えられずもっぱら「報復の連鎖」を印象付け、ビリーンやニリーンやイスラエルボイコット(BDS)に目を向けようとしている。パレスチナの分裂回避を求める10万人デモのことには触れられていない。

5、アラブの地鳴りを恐れるイスラエルと米欧
エジプト革命がはじまって間もなく、米欧が民衆支持の声をあげるやいなやネタニヤフがあわててしかもこわばった表情でムバラク支持と「平和」条約不変の会見をしていたのを思い出します。上のダイアリーをみると、アラブの若者に呼応した分裂終結を求めるガザの10万人デモ以降に、とくにガザ空爆が激しくなっているのがわかります。
またナクバを祈念してユダヤ国家のアイデンティティに異議をとなえるような一切の活動を禁じる「ナクバ法案」はイスラエル世論を二分しているといいますから、これまで繰り返してきたイスラエルの「急場しのぎのやり方」としてMさんの推測は十分ありうることです。

しかも米英仏軍のリビア軍事介入に呼応しているのはたんなる火事場泥棒ではないでしょう。イスラエルがレバノンを侵攻しようが、ガザで無辜の民たちがどんなに虐殺されようと、そうした戦争犯罪とともに占領下の日常でどんなにひどい人権侵害を続けようと、米英仏からは軍事介入どころか飛行禁止制限も経済制裁も何のハナシも出ませんでした。そのように、欧米の歴史的な傷を隠蔽し国際的二重基準の魔の鍵をにぎっているイスラエルは、国連でも安保理でも(核兵器を保有しているイスラエルに手も足も出せない)IAEAでもICCでも、いつでもどこでも特別扱いが許されているらしいのです。人道の名の下の米英仏の軍事介入はまぎれもない侵略ですが、シリアやイラン、そして北朝鮮への予行演習でないことを望みます。彼らが何よりも恐れているのは、アラブの地鳴りに脅かされているイスラエルを中心とした虚構の二重基準体制の崩壊ではないでしょうか?

●これがイスラエルだ:I am Israel=Video made by Jihane Al Quds 
on Sept.4.2009.
http://www.intifada-palestine.com/2011/03/i-am-israel-documentary-film-video/?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+IntifadaPalestine+%28Intifada+Palestine%29

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