[CML 008700] 沢田工業(豊田市)、またも団体交渉拒絶

酒井徹 sakaitooru1983 at excite.co.jp
2011年 3月 31日 (木) 20:25:11 JST


沢田工業(豊田市)、またも団体交渉拒絶
――労組「『労災逃げ得』は許さない!」――
http://imadegawa.exblog.jp/15738844/

■派遣先社員が「誤って起動スイッチを押し」被災
トヨタ自動車に
自動車内装部品などを供給する林テレンプの
下請け会社である豊田市の沢田工業が、
違法派遣の状態で働かされていた労働者を
社内の労災事故で被災させ、
後遺症を残したにもかかわらず、
労災補償に関する労働組合との交渉を
2度にわたって拒絶している。

事故は、
派遣会社側が作成した労働基準監督署への報告でも、
「派遣先の
 (株)沢田工業本社工場(豊田市御船町島田52番地)
 において、
 100tプレス機にて
 自動車シートバック用のカーペットの原反の裁断中に、
 上盤下に落ちた布くずを手で取ろうとした際、
 別の作業者が誤って起動スイッチを押したために、
 スライドテーブルがスライドし
 当該テーブルとプレス土台との間に
 左手親指が挟まれてしまった」という
痛ましいものであり、
しかも
「誤って起動スイッチを押し」てしまった
「別の作業者」とは、
沢田工業の製造担当である
S氏だというのである。
被災した日系ペルー人労働者のPさんは
親指を骨折し、
今も障害等級10級の後遺症に苦しんでいる。

愛知県の個人加盟制労働組合・
名古屋ふれあいユニオン
(「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟)は、
「『労災逃げ得』を断じて許すわけにはいかない」
などとして
3月30日に実に3回目となる
団体交渉の申し入れを沢田工業に対して行なった。

■成り立たない沢田工業の「論理」
名古屋ふれあいユニオンは3月19日に送付した
2回目の団体交渉申し入れの中で、
労災補償の問題が、
労働組合法が義務的団交事項として認める
「労働条件」に他ならないことを、
昭和63年3月14日に出された
労働省通達の文言を引用して具体的に論証した。
労働省(現厚生労働省)は、
労働基準法第3条の
「使用者は、
 労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、
 賃金、労働時間その他の労働条件について、
 差別的取扱をしてはならない」という条文について、
「『その他の労働条件』には
 解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も
 含む」と明確に規定している(昭和63年3月14日基発150)。

ところが沢田工業は
3月26日の「回答書」の中で、
こうした名古屋ふれあいユニオンの具体的主張に対しては
何ら反論することなく、
「被災労働者本人を含め
 他の労働者の安全確保及び
 労災事故の再発防止等の観点により,
 機械設備の安全基準や作業要領の見直し,
 作業量に見合った人員の適正配置等
 職場環境の改善等は,
 『労働条件その他待遇』に含まれると
 考えられます」という
実に当たり前の事実に対置する形で、
「しかし,
 労災事故の損害賠償請求は,
 具体的な民事賠償事件であって,
 『労働条件』『労働条件等』『労働条件その他待遇』に
 該当しません。/
 したがって,
 当社は,
 貴組合との団体交渉に
 応じる義務はありません」などというのである。

問題は本件労災補償問題が、
労働組合法が義務的団交事項とするところの
「労働条件その他待遇」に
当たるかどうかということであり、
それが「具体的な民事賠償事件であ」るのかどうかなどは
実は何の関係もない。
(「不当解雇にともなうバックペイの支払い」などは、
 「労働条件その他待遇」として
 団体交渉事項であると同時に、
 「具体的な民事賠償事件」でもあるので、
 労働者個人として裁判所に提訴することもできる)。
沢田工業は話をはぐらかすのを
いい加減にやめるべきである。

名古屋ふれあいユニオンは、
前回第2回目の団体交渉申し入れ書において、
実に7ページにわたる詳細な根拠を挙げて、
労災補償の問題が「労働条件」の問題に他ならないこと、
まして、
労働組合法が団体交渉の対象とする
「労働条件その他待遇」に該当しないはずがないことを
情理を尽くして説明している。

ところが沢田工業のこれに対する「回答書」は、
「労災事故の損害賠償請求は,
 具体的な民事賠償事件であ」るという、
それはそれで事実ではあっても、
義務的団交事項には当たらないということを
論証する上では
何の理由にもならないことを
たった1つ挙げただけで、
「したがって,当社は,
 貴組合との団体交渉に応じる義務はありません」と
結論付けているのである。
こんなむちゃくちゃな理屈が
いったいどこで通用するというのだろうか。

■沢田工業、示談交渉への誘い込み画策
さらに沢田工業は、
被災労働者・Pさんが結集する
名古屋ふれあいユニオンとの交渉を拒絶しておきながら、
あろうことか3月26日の回答書の中で、
「本件に関して,
 ポーランコさん本人またはその代理人弁護士から
 示談の申入れがある場合,
 当社は協議に応じる意向です」などと
臆面もなく記述し、
Pさんを労組と切り離して個別交渉に誘い込もうという
卑劣な画策を
堂々と公言して恥じる様子がない。
沢田工業には
労働者の団結権に関する基本的な理解が
欠如しているとしか思えない。

たとえば、
林テレンプをはじめとするトヨタ系の各社には
全トヨタ労働組合連合会に結集する
立派な労働組合がある(例:林テレンプ労組)。
この事実は、
林テレンプのような
資本金10億円の大企業に勤める
直接雇用の正社員ですら、
労働組合を結成し、
徒党を組んで集団でモノを申さなければ、
使用者側と対等な形で労働条件を決定することは
不可能であることを示している。
まして、
立場の弱い非正規・外国人労働者が
自らの生活を防衛し、
使用者側と対等な交渉を行なうためには、
労働者自身が使用者側と対抗できる力量を
職場の内外で確立すること、
すなわち、
団結権・団体交渉権・団体行動権を持つ
労働組合を組織し、
職場内外の仲間とともに使用者側と対峙し、
相手と対等な交渉力を築いた上で
成果を勝ち取る以外にはない。
だからこそ、
組織労働者の労使紛争は
会社と労組との集団的労使関係の中で
解決させなくてはならず、
個人的な個別労働紛争に切り縮めることは
望ましくないのである。

そもそも一介の非正規・外国人労働者である
Pさん「本人」が、
労災事故について
会社と対等の立場で示談交渉をすることなど
到底考えられない。
労災事故に関する目撃者・生産設備なども
全て会社側の手の中にある。
言葉の壁もあり、
個人のままで対等の立場で主張することは
困難を極める。
だからこそ、
働く者の民主的団結体=労働組合が
必要とされているのである。

沢田工業は、
Pさんの「代理人弁護士から示談の申入れがある場合」も
「当社は協議に応じる意向」だと言う。
しかし、
弁護士を通じての「示談交渉」は、
労組が働く者の団結の力を背景に、
会社と対等の立場で行なう「団体交渉」とは
全く別物であると言わざるを得ない。

沢田工業は「示談」交渉において、
労組との団体交渉におけるように、
必要な資料などを提出して説明義務を尽くすつもりが
あるのだろうか。
団体交渉では、
会社側に必要な資料等を提出して
説明義務を尽くす義務が課せられる上、
働く者の団結の力を背景に、
代理人による単なる示談交渉では
不可能な弾力的解決も可能にする。
したがって労働者にとって、
団体交渉のもつ機能を
代理人弁護士による「示談」交渉などによって
代替することはできないのである。

そもそも代理人弁護士を選任するとなれば、
多額の手付金が必要だ。
これは沢田工業の責任において負担してもらうことが
できるのだろうか。
示談交渉で話がつかず、
民事訴訟にもつれ込んだ場合、
弁護費用・裁判費用などを
全て負担する覚悟が沢田工業にはあるのだろうか。
情報へのアクセスも困難で、
法的主張をなすこと自体が難しい
一介のペルー人労働者であるPさんに、
裁判にあたって必要となる
膨大な打ち合わせなどについては、
沢田工業の責任で
優秀な通訳を雇ってもらえるというのだろうか。

結局において、
カネ・時間・情報において企業側が圧倒的に優位に立ち、
カネも時間も情報も持たない個別の労働者が
これに対抗しようとすると
大きな負担を強いられるのが
今の資本主義社会の実情である。
そして、
労働者側がそれに対抗する事実上唯一の手段が、
団結権・団体交渉権・団体行動権を憲法で保障された
労働組合、
働く者の団結を通じた問題解決なのだ。

■沢田工業はまず、謝るべき
Pさんは、
違法派遣で就労中に沢田工業において
労働災害に被災した。
偽装請負や違法派遣の状態の下では、
指揮命令系統や責任の所在があいまいになり、
労災事故が起こりやすいことが知られている。
ましてこの事故は、
沢田工業の製造担当であるS氏が
「誤って起動スイッチを押し」たことに
起因するのである。
沢田工業は何よりもまず、
このことについてPさんに
謝るべきではないのか。

名古屋ふれあいユニオンは沢田工業に対し、
Pさんの労災事故の原因究明や
再発防止も求めている。
そのために、
労組や関係者の立会いの下での現場検証を
要求している。
また、
Pさんへの適正な補償額を検討するためにも、
派遣会社からはいまだ開示されていない
指揮命令者や派遣先責任者についての情報や
100tプレス機の機種名、
「誤って起動スイッチを押した」という「別の作業者」・
S氏の会社における具体的な権限・立場や
事故時の行動の詳細、
作業要領の開示や
事故当日の人員配置状況なども
説明するよう求めている。
また、
事故を防止するために
Pさん及び「別の作業者」・S氏に行なってきた
安全衛生教育の内容やその回数・様態についても
説明するよう要求している。

名古屋ふれあいユニオンは
3回目となる団体交渉申し入れ書の最後を、
「Pの置かれた状況にかんがみ、
 迅速かつ誠実な対応を
 よろしくお願いいたします」と締めくくっている。
名古屋ふれあいユニオンは
申し入れから1週間後の4月6日を
回答指定日に指定している。
(JanJan Blog 3月30日から加筆転載)




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