[CML 008486] 『暫定基準値』に関する基礎資料

T. kazu hamasa7491 at hotmail.com
2011年 3月 24日 (木) 01:40:43 JST


ni0615です
『暫定基準値』に関する重要資料を指摘させていただきます。


東京の水道水や福島や茨城の野菜についての出荷制限、摂取制限については、大騒動と
なっている。

視聴者の不安を煽りながら、"菅内閣が勝手に安全基準を2桁も3桁もかってに切上げた
恣意的なものだ”という感情的宣伝が、昨日から今日に掛けて新聞、テレビで踊ってい
た。この点に関して、NHKは比較的冷静だったが民放は感情的なものだった。

私が見たテレ朝は、
朝のスーパーモーニングには、「人体は放射線に強い!」を教義とする東工大原子炉セ
ンターの松本義久を登場させ、現在の汚染程度だったら850kgのホウレンソウを食べて
もいいと主張させた。

夜の古館一郎の報道ステーションには、東大の、といっても経歴をみれば東芝の核燃料
サイクル部門というべき、諸葛宗男を登場させ、90kgのホウレンソウを食べてもいいと
主張させた。

両者とも、100mSVまでは人体に何の影響も無いを確固たる公理として、それを規準とし
て計算しているらしかった。

とはいえ、『暫定基準値』は、菅内閣がドサクサで決めたものではない。菅内閣には、
そんなものをドサクサで決められる能力はない。こんかいの原発対策は総て、原子力災
害対策特別措置法 第20条 にもとづいて原子力災害対策本部が執行しているものだが、
執行マニュアルは自民党政権時代から原子力安全委員会が策定している。マニュアルの
名は『原子力施設等の防災対策について』だ。

おそらくNHKとテレ朝の違いは、NHKの記者はそうした経緯を知っていたが、感情的に暴走
したテレ朝のニューススタッフは、そこいら辺を何も知らなかったのだろう。

私もそのことを知らなかったが、Googleで検索して後から初めて知った。
出発点は厚生労働省の次の文章だった。
>
平成23年3月11日に発生した東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故により、
周辺環境から放射能が検出されています。このため、飲食に起因する衛生上の危害の発
生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とする食品衛生法の観点から、
当分の間、原子力安全委員会により示された「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定規
制値とし、これを上回る食品については食品衛生法第6条第2号に当たるものとして食
用に供されることないよう対応することとし、別紙のとおり各自治体に通知しました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e.html より
<

「飲食物摂取制限に関する指標」を検索して、『原子力施設等の防災対策について』が
得られた。

『原子力施設等の防災対策について』は大部のもので、「室内退避」「避難命令」規準、
「SPEEDIを用いた予測線量の算定」など、重要事項の総てがここに定められてい
るらしいが(菅内閣の原発対策への批判は大元の「原子力安全委員会」批判となる)、
ここでは「飲食物摂取制限」に関する部分のみを抜粋する。

===============
原子力施設等の防災対策について
===============
http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/history/59-15.pdf

昭和55 年6月
(平成元年3月一部改訂)
(平成4年6月一部改訂)
(平成10 年11 月一部改訂)
(平成11 年9 月一部改訂)
(平成12 年5月一部改訂)
(平成13 年3月一部改訂)
(平成13 年6月一部改訂)
(平成14 年4月一部改訂)
(平成14 年11 月一部改訂)
(平成15 年7月一部改訂)
(平成19 年5月一部改訂)
(平成20 年3月一部改訂)
(平成20 年10 月一部改訂)
(平成22 年8月一部改訂)

原子力安全委員会


5−2 防護対策(抜粋)
放射性物質又は放射線の異常な放出が発生した場合に、心理的負担や経済的負担も考慮
しつつ、周辺住民等の被ばくをできるだけ低減するために講ずる措置を防護対策という。

防護対策には、屋内退避、コンクリート屋内退避、避難、安定ヨウ素剤予防服用、食物
摂取制限等が考えられるが、ここでは、主な防護対策についての基本的な考え方を示す。
防護対策の指標について参考とした資料を、付属資料7に示す。

(中略)

 飲食物摂取制限について
汚染された飲食物を摂取するまでには時間がかかり、通常、対策までに時間的余裕があ
ると考えられるので、緊急時モニタリングの結果を参照して、摂取制限を決定する。
なお、摂取制限措置を実施する際には、代替飲食物の供給等について対策を講じておく
必要がある。

(中略)

5−3 防護対策のための指標(抜粋)
防護対策をとるための指標は、なんらかの対策を講じなければ個人が受けると予想され
る線量(予測線量)又は実測値としての飲食物中の放射性物質の濃度として表される。

予測線量は、異常事態の態様、放射性物質又は放射線の予想される又は実際の放出状況、
緊急時モニタリング情報、気象情報、SPEEDIネットワークシステム等から推定さ
れることとなる。※4なお、SPEEDIネットワークシステムを用いた予測線量の算
定についての参考資料を、付属資料10に示す。

(中略)

(3) 飲食物の摂取制限に関する指標
飲食物摂取制限に関する放射性元素として、放射性プルームに起因するヨウ素、ウラン
及びプルトニウムを選定するとともに、旧ソ連チェルノブイル事故時の経験を踏まえて
セシウムを選定した。そして、これらの核種による被ばくを低減するとの観点から実測
による放射性物質の濃度として表3のとおり飲食物摂取制限に関する指標を提案する。

なお、この指標は災害対策本部等が飲食物の摂取制限措置を講ずることが適切であるか
否かの検討を開始するめやすを示すものである。

-------------------------------
表3 飲食物摂取制限に関する指標
-------------------------------

■対 象:放 射 性 ヨ ウ 素
(混合核種の代表核種:131 I)

飲 料 水
牛乳・乳製品
3×10の2乗Bq/kg 以上

野 菜 類
(根菜、芋類を除く。)
2×10の3乗Bq/kg 以上


■対 象:放 射 性 セ シ ウ ム

飲 料 水
牛乳・乳製品
2×10の2乗Bq/kg 以上

野 菜 類
穀 類
肉・卵・魚・その他
5×10の2乗Bq/kg 以上


■対 象:ウ ラ ン

飲 料 水
牛乳・乳製品
20Bq/kg 以上

野 菜 類
穀 類
肉・卵・魚・その他
1×10の2乗Bq/kg 以上


■対 象:プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種
( 238Pu、239Pu、240Pu、242Pu、241Am、242Cm、
243Cm、244Cmの放射能濃度の合計)

飲 料 水
牛乳・乳製品
1Bq/kg 以上

野 菜 類
穀 類
肉・卵・魚・その他
10Bq/kg 以上

(注) 乳児用として市販される食品の摂取制限の指標としては、ウランについては20
Bq/kgを、プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種については1Bq/kg
を適用するものとする。
ただしこの基準は、調理され食事に供される形のものに適用されるものとする。

なお、上記の対象物中の放射能濃度の定量に当たっては、以下の文部科学省放射能測定
法シリーズを参照することを提案する。
・放射性ヨウ素 :15「緊急時における放射性ヨウ素測定法」
・放射性セシウム: 7「ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー」
24「緊急時におけるガンマ線スペクトロメトリーのための試料前処理法」
29「緊急時におけるガンマ線スペクトル解析法」
・ウラン :14「ウラン分析法」
・プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種:
12「プルトニウム分析法」
21「アメリシウム分析法」
22「プルトニウム・アメリシウム逐次分析法」
28「環境試料中プルトニウム迅速分析法」
30「環境試料中アメリシウム241、キュリウム迅速分析法」

また、上記濃度の算出についての考え方を付属資料14に示す。


(付属資料1214)
第39回原子力発電所等周辺防災対策専門部会(平成12年4月14日)
資料39−3
----------------------------------
飲食物摂取制限に関する指標について
----------------------------------
「5−3 防護のための指標」の表3に示した値の算出についての考え方を以下に示す。

(1) 放射性ヨウ素について
ICRP Publication 63 等の国際的動向を踏まえ、甲状腺(等価)線量50mSv/年
を基礎として、飲料水、牛乳・乳製品及び野菜類(根菜、芋類を除く。)の3つの食品
カテゴリーについて指標を策定した。なお、3つの食品カテゴリー以外の穀類、肉類等
を除いたのは、放射性ヨウ素は半減期が短く、これらの食品においては、食品中への蓄
積や人体への移行の程度が小さいからである。

3つの食品カテゴリーに関する摂取制限指標を算定するに当たっては、まず、3つの食
品カテゴリー以外の食品の摂取を考慮して、50mSv/年の2/3を基準とし、これ
を3つの食品カテゴリーに均等に1/3ずつ割り当てた。次に我が国における食品の摂
取量を考慮して、それぞれの甲状腺(等価)線量に相当する各食品カテゴリー毎の摂取
制限指標(単位摂取量当たりの放射能)を算出した。

(2) 放射性セシウムについて
放射性セシウム及びストロンチウムについても飲食物摂取制限の指標導入の必要性が認
識されたことを踏まえ、全食品を飲料水、牛乳・乳製品、野菜類、穀類及び肉・卵・魚・
その他の5つのカテゴリーに分けて指標を算定した。

指標を算定するに当たっては、セシウムの環境への放出には89Sr及び90Sr
(137Csと90Srの放射能比を0.1と仮定)が伴うことから、これら放射性セ
シウム及びストロンチウムからの寄与の合計の線量をもとに算定するが、指標値として
は放射能分析の迅速性の観点から134Cs及び137Csの合計放射能値を用いた。

具体的には、実効線量5mSv/年を各食品カテゴリーに均等に1/5ずつ割り当て、
さらに我が国におけるこれら食品の摂取量及び放射性セシウム及びストロンチウムの寄
与を考慮して、各食品カテゴリー毎に134Cs及び137Csについての摂取制限指
標を算出した。

(3) ウラン元素について
核燃料施設の防災対策をより実効性あるものとするため、ウランについて我が国の食生
活等を考慮して指標を定めるとの方針のもとに、実効線量5mSv/年を基礎に、全食
品を飲料水、牛乳・乳製品、野菜類、穀類及び肉・卵・魚・その他の5つのカテゴリー
に分けて指標を算定した。

指標を算定するに当たっては、5%濃縮度の235Uが全食品に含まれ、これが5mSv
/年に相当すると仮定し、さらに我が国における食品の摂取量を考慮して、各食品カテ
ゴリー毎に飲食物摂取制限に関する指標を算出した。

(4) プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種について
再処理施設の防災対策をより実効性あるものとするため、IAEAの「電離放射線に対
する防護及び放射線源の安全に関する国際基本」(BSS)に記載されているアルファ
核種(アメリシウム、プルトニウム等)について我が国の食生活等を考慮して指標を定
めるとの方針のもとに、実効線量5mSv/年を基礎に、全食品を飲料水、牛乳・乳製品、
野菜類、穀類及び肉・卵・魚・その他の5つのカテゴリーに分けて指標を算定した。

指標を算定するに当たっては、多種類のアルファ核種が共存して放出される可能性があ
るので、核種毎に指標を作成することはせず、アルファ核種が全食品に含まれ、これが
5mSv/年に相当すると仮定し、さらに我が国における食品の摂取量を考慮して、各
食品カテゴリー毎に飲食物摂取制限に関する指標を算出した。


以上
ni0615拝
http://ni0615.iza.ne.jp/

 		 	   		  


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