[CML 008210] Re: 福島原発事故の幼稚な質問

YAMASAKI Hisataka vfa01742 at nifty.com
2011年 3月 16日 (水) 18:47:05 JST


 石垣様こんにちは山崎久隆です。
 主蒸気隔離弁を開けば解決できるというのはこういうことです。

 もともと原発の蒸気はタービンを回してから真下の復水器に導かれ、そこで
海水によって冷やされて水に戻り、給水配管を通って原子炉に戻ります。
原子炉を止めた場合、発電も止まります。タービンも止まるのですが、通常は
蒸気はタービンバイパス弁を通過しバイパス系統を通って復水器に流れていき
ます。つまりこの「バイパス」というのはタービンを経由しないで冷却を継続
するためのルートで常用系です。

これに対して大きな地震が発生した場合、原子炉建屋よりも造りの弱いタービ
ン建屋の倒壊や、4本ある主蒸気配管の破損などで原子炉内の冷却材が急激に
失われるのを防ぐため、自動で主蒸気隔離弁が落ちるように設計されています。
これは格納容器の内外に一台ずつ全部で8台あります。これが全部閉まると原
子炉は「隔離された」状態になるということになります。
しかし冷却は出来なくなるため、このようなときに原子炉を冷却する装置が
「原子炉隔離時冷却系統」それでも不足をする場合は主蒸気逃がし安全弁で蒸
気を圧力抑制室に放出し、緊急炉心冷却装置から冷却水を入れることになって
います。最終的には原子炉を冷やし続けるのは、地下の圧力抑制室と原子炉を、
緊急炉心冷却装置と主蒸気逃がし安全弁とを使ってループを作り水を循環させ
ます。

今回の場合隔離弁全閉状態後の冷却能力が停電等で無くなってしまい、蒸気が
逃がし弁から文字通り逃げてしまい、圧力容器の水位が下がっていったのです
が、こういう場合は運転員は極力冷却水を逃がさないようにする教育を受けて
いるはずなので、主蒸気隔離弁を開くという発想そのものはありませんし、そ
のようなマニュアルはありません。

その後事態はマニュアルの想定外にいってしまいましたので、相当時間が経過
した後ならばそういうことも検討したのかもしれませんが、通常は水を入れる
ことがメインで蒸気を抜くという発想にはならないだろうと思います。
なお、隔離弁を開く手順はかなり難しく、いったん閉まってしまうと冷温停止
段階になるまで開くことが出来ないと思います。また電動駆動弁なので電気が
無いと開くことが出来ないと思います。現場作業で手で開ける方法が在るかど
うか、までは知りませんが、あったとしても高線量下での作業となるため、難
しいでしょう。

ちなみに隔離弁を開く手順は、いったん原子炉を十分冷やし、隔離弁の前後の
圧力を均圧にしてから行います。さらに復水器が真空で無ければなりません。
ということは、ポンプが動かない段階では、まず出来ない相談、といえるかも
しれませんが、Tさんは緊急事態だからそれら手順を一切飛ばして行えば良い
ということで、それが可能かどうかまでは技術的に深すぎる議論になりますの
で、わかりません。

|山崎久隆様
|昨日タンポポ舎でお世話になった石垣です。
|質問です。
|Tさんが「主蒸気隔離弁を開けば解決できる」と言われたのですが、良く分かりませ
|ん。 
|
|ご説明願いたいのですが。もし正解なら東電も試みたのではないかと思いますが。
|時間がなく、質問ができなかったものでお願いします。
|
|


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