[CML 010471] Re: 福島第一原発の問題の本質 ジャーナリズムの2つの禁忌

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2011年 6月 29日 (水) 21:32:58 JST


田島さん

原発問題に関する311以来の本質的な情報発信のご努力に敬意を表します。

が、政府と東電の情報隠蔽に加担して、無知のゆえか、あるいはその非倫理体質のゆえか、そのどちら
でもあろうと私は思っていますが、そのことについて恥じることをまったく知らないメディアの反ジャーナリ
ズム性(逆説的な言い方ですが、いまやそう呼ぶよりほかありません)、あるいは似非と言ってもよいの
ですが、その根腐れした非ジャーナリズム性を批判することはきわめて当然なことだとしても、「福島第
一原発の問題の本質」を論じようとして、その「問題の本質」は、「東京電力の不作為でも菅内閣の実行
力のなさでも」ない。「情報の隠蔽とメディアによるその加担につき」る、というのは、それこそ「本質」を見
誤らせる俗の俗なる評価といわなければならないだろう、と私は思います。

田島さんの標記の論に関連していまからご紹介しようと思っています金平茂紀さん(放送メディア・ジャ
ーナリスト、TBSテレビ執行役員(報道局担当))の論、「【放送】原発とテレビの危険な関係を直視しな
ければならない」でも引用されている言葉ですが、今回の「福島第一原発の問題の本質」は、「情報の
隠蔽とメディアによるその加担」というよりも、それ以前の問題として、「『官―政―業―学―報』(元NH
Kの科学ジャーナリスト小出五郎の言う『原子力ファミリー・ペンタゴン』)」がこれまで一体として構築し
てきた原子力推進体制の虚構が一挙に白日の下に晒されたことにある。メディアの情報隠蔽への加担
は、あくまでもその一端としての「報」の部分の綻びというものでしかない。そのように見るべきものであ
ろう、と私は思います。

そのように見なければ事の本質を見誤つだけでなく、「本質」の背後にある巨大な悪(端的に言ってか
つての自民党政権時代の政治とそれを継承するいまの民主党政治に表象されるもの。したがって、
それは、私たちの意志次第で変えられるものでもあります)を取り逃がしてしまうことにもなるだろう。
そう私は思います。

さて、以下にご紹介する金平茂紀さんの論はさすがあの「筑紫哲也NEWS23」の番組編集長(デスク)
を8年間務めあげた秀腕の記者だけあって反ジャーナリズム・メディアの虚報の弊を衝いて鋭いものが
あります。田島さんの指摘するメディアの「2つの聖域、タブー」についても触れています。

以下、金平記者の論の抜粋です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「科学ジャーナリストの塩谷喜雄は原発事故後にあらわになった「権威への帰依」=「思考停止の風潮」
を次のように激しく批判した。《メディアの解説に登場する「専門家」に求められているのは、見識や先見
性ではない。あえて言えば、専門性ですらない。大学教授、研究部長などの「肩書き」である。肩書きは
何の安全も保障しない。しかし、読者や視聴者を「権威」に帰依させることで、吟味や評価という面倒な
プロセスは省ける》(月刊「みすず」2011年5月号)。/メディア側が出演交渉の際に参考にしたであろ
う、或いは作成したであろう原子力の「専門家リスト」は、そのような人物たちで占められていた。(2)に
あるように反原発派、原発批判派の学者や研究者、識者らはすでに出演者リストから外されていたとみ
るべきだろう。」

「その意味で、NHK報道局が3月21日付で出した内部文書「放射線量についての考え方」は興味深い
文書だ。/福島放送局長、仙台放送局長、水戸放送局長、本部関係各部局長あてに出されたこの文
書には、民放各局の同種文書にはない次のような文言がある。《(政府は)今のところ、原発から半径
20キロに出している避難指示と、20キロから30キロまでに出している屋内退避の指示を変更する予定
はありません。我々の取材も政府の指示に従うことが原則です》《(NHKの原子力災害取材マニュアル
は)……ひとつの参考データと考え、取材を続けるかどうかは政府の指示に則して判断することにしま
す》。/ここでは、報道機関としてのNHKが「政府の指示」を相対化する視点を完全に放棄している点
に着目しなければならない。」

「最後に(7)専門記者の育成はきわめて重要な課題だ。中途半端な、あるいは不正確な知識に基づく
コメントや解説は取り返しがつかない影響を視聴者、読者に与える。幸い僕が勤務する局には、地震
や火山噴火、気象、原発事故に関して基本的な知識を提供できる専門記者たちがごく少数ながらいた。
だが、多くのテレビ局のなかにはそのような人材が全くいない局もある。/本誌と同じ朝日新聞社から、
僕がテレビ報道の仕事を始めた1977年に、ある本が発行された。『核燃料 探査から廃棄物処理ま
で』という本で、著者は朝日新聞科学部記者(当時)の大熊由紀子氏だ。先輩記者から「これはまあ教
科書のような本だから一応目を通せ」と言われるほど影響力があった本だが、今、読み返すと、推進
側に偏した内容がきわ立つ。/《原子力発電所が、どれほど安全かという大づかみの感触には変わり
はない。あすにでも大爆発を起こして、地元の人たちが死んでしまう、などとクヨクヨしたり、おどしたり
するのは、大きな間違いである》《私は、原発廃絶を唱える多くの人たちが書いたものを読み、実際に
会ってみて、彼らが核燃料のことや、放射線の人体への影響などについて、正確な知識を持ちあわせ
ていないことに驚いた。多くの人たちが、アメリカの反原発のパンフレットや、その孫引きを読んだ程度
の知識で原発廃絶を主張していた》。/同じく元朝日新聞論説主幹の岸田純之助氏は、日本原子力
文化振興財団の監事をされていらっしゃる。これらの人々に今、聞いてみたい。今回の福島原発の事
故をどのように思っているのか、と。自分たちのかつての言説に対する責任をどのように感じているの
か、と。」

「その作業は、戦後まもなくの頃、吉本隆明らが行った知識人の「転向」研究と性格が似ているのかも
しれない。だが、誰かがやらなければならない作業だと思う。なぜならば前項で記したように原発推進
に異を唱えた人々は、ことごとく迫害され排除されてきた歴史があるからだ。/私たちの国の歴史で、
「戦争責任」がついにうやむやにされてきたように、「原発推進責任」についても同様の道筋をたどる
のか。歴史はやはり繰り返すのだろうか。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

全文は下記をご覧ください。

■【放送】原発とテレビの危険な関係を直視しなければならない(金平茂紀 朝日新聞  「メディアリポ
ート」 2011年6月10日)
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY201106090286.html


 東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

----- Original Message ----- 
From: "T. kazu" <hamasa7491 at hotmail.com>
To: "「平和への結集」市民の風" <uniting-peace at yahoogroups.jp>; "CML" <cml at list.jca.apc.org>; "脱原発" <datugen at freeml.com>
Sent: Wednesday, June 29, 2011 5:16 PM
Subject: [CML 010469] 福島第一原発の問題の本質 ジャーナリズムの2つの禁忌


>
> ni0615田島です
>
> いろいろといただいた情報をもとに
> 思うところを述べます。
>
> 福島第一原発の問題の本質は、
> 東京電力の不作為でも菅内閣の実行力のなさでもありません。
> 情報の隠蔽とメディアによるその加担につきます。
> メディアによるその加担が払拭されれば、
> 他の問題には必要なメスが、自ずと適切に入れられるでしょう。
>
> 2つの聖域、タブーが未だにあります。
> 1つは原発敷地内の取材の禁忌であり、
> もう1つは、200万福島県民の人体内部への言及です。
> ジャーナリストが、自らの不勉強によって情報の隠蔽に協力しています。
>
> それでも、1つめの原発プラントの施設ハードについては、
> プラント自身が自らの惨状を見せ付け、ラッキーにも、御用学者の嘘が押し通せなくなりました。
> (――――ジャーナリズムの努力が嘘を暴いたわけではありません。)
> もう一つの情報、
> 放射能による住民への健康影響については、
> 今も、福島県アドバイザーや放医研発表の垂れ流し。
> 大本営発表のままです。
>
> つい最近はじまった、県民健康「先行調査」の報道をみれば証明できます。
> 例えば、
> 「実効線量」と「甲状腺の等価線量」の区別を曖昧にして発表するのが、
> 「緊急被ばく医療」の総本山である放医研や、福島県放射線健康アドバイザーの常套手段ですが、
> 今回も新聞全社が完全に丸め込まれています。大本営発表のままです。
> この3日分の記事をWEBですべて参照しましたが、
> 「甲状腺の等価線量」という言葉を使った記事は1つもありませんでした。
>
> ※「等価線量」はICRP流儀の放射線防護学の基本概念でありながら
> ※初期に安定ヨウ素剤を投与して、放射性ヨウ素131の甲状腺沈着を予防する規準も、
> 「乳児の甲状腺の預託等価線量100mSvが予想される」です。
> しかし、これは、「空間線量率」の数字や「実効線量」の数字をつかったゴマカシで、
> 行政の意図的不作為におわりました。
>
> (Ex)「環境放射能が人体に及ぼす影響等について」(福島県災害対策本部)3月20日
> http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/3006.html
>
> 「実効線量」とは、全身の体重1kgあたりの平均線量(シーベルト)です。
> 「等価線量」とは臓器ごとの重量1kgあたりの平均線量(シーベルト)です。
> 同じ内部被ばく量(ベクレル)であれば、
> 「実効線量」「等価線量」ともに、成人、幼児、乳児によって平均体重が異なりますから、
> シーベルト値は異なります。
>
> ICRPの勧告にもとづいた国の「防災指針」の規定では、
> 「実効線量」が『1mSv』なら、「甲状腺の等価線量」は『20mSv』です。
> ヨウ素131の場合は、甲状腺に特異的に沈積しますから、「甲状腺の等価線量」で健康評価をするのが、
> ICRPや政府の「防災指針」でのきまりです。
>
> ※国の「防災指針」
> http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2961.html
> ※ ヨウ素131における「線量係数」一覧
> http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2989.html
> 素人の拙論ですが問題提起としてお読みくだされば幸いです。
>
> 自ら決めた決まり自身を破って記者会見をしているのが、県アドバイザーの長崎大山下俊一氏と
> 千葉放医研の緊急被ばく医療責任者、先行調査の指揮者でもある、明石「真言」氏です。
> 何の質問もせずに鵜呑みにして大本営発表しているのが、残念ながら各社記者の皆さんです。
>
>
>
>
> webで話題になっている、2つの参考資料へのリンクを添付しておきます。
> 1つは、日本のジャーナリズム内部の問題です。
> 過去に朝日新聞社内で行われた、報道機関内部での「意思統一」の実態です。
> 今回の福島第一事件においても、
> すでに知られてしまった「NHK内部文書」や
> その他報道機関で同様の「内部統制」がおこなわれたであろうことを、
> 彷彿とさせます。
>
> 1、《ある元朝日新聞原発担当記者の回想》 Tiny Message
> http://htn.to/DYPry1
> http://tinymsg.appspot.com/31p1
>
> 2つは、欧州の放射線防護委員会からの日本国民へのメッセージです。
> 市民レベルでのNGO健康調査機関を立ち上げよ、と提唱しています。
> と同時に、わたしのようにICRPを根拠に考えることの危険性を指摘しています。
>
> 2、欧州委員会は市民の側が独自の調査体制を立ち上げることを勧告します」
> http://www.akita-kenmin.jp/kankura/110604ecrr.pdf
>
>
> ni0615田島拝
> 長崎大・山下俊一教授の『語録』
> http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2997.html
> 「安禅不必須山水」
> http://ni0615.iza.ne.jp/blog/list
>
> 



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