[CML 010458] 「被災者に手を差し伸べる自治体に」保坂展人世田谷区長が抱負を語る

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2011年 6月 28日 (火) 23:19:46 JST


保坂展人・世田谷区長の就任2か月目の6月25日に開催された集会「たがやそう、世田谷?保坂のぶと区長就任報告会」で、「世田谷電力」構想が打ち上げられた。脱原発を訴えて区長選挙を制した保坂氏であったが、原発立地自治体でない世田谷区長に何ができるのかというシニカルな見方も少なくなかった。石原慎太郎・東京都知事からは「できっこない」と酷評された脱原発であるが、具体的なイメージが見えてきた。
集会は「保坂展人と元気印の会」及び「たがやせ世田谷区民の会」の主催で、会場は世田谷区成城の砧区民会館・成城ホールである。収容キャパシティ400人の会場で立ち見が出るほどの参加者が集まった。
保坂区長からは区長就任2か月間の報告と新しい世田谷区政への抱負が語られた。就任2か月間の報告はスライドを交えての報告である。就任後二ヶ月はあっという間に過ぎた。区長選挙は有力な支持団体など後ろ盾がない中でのゼロからの出発であったが、それが逆に世田谷区政の地殻変動を起こす原動力になった。熊本哲之前区長からは「前例に拘らず、大胆にやっていただきたい」と言われた。
福島第一原発事故は自治体が住民を守る最後の砦であることを再確認した。その最終責任を負う立場が首長である。これを言うと叱られるかもしれないが、原発事故の避難マニュアルは存在しない。重大事故は起こる筈がないという前提であった。
世田谷区は区独自の放射線量測定を早期に打ち出したものの、測定器の到着が遅れていると説明した。大気の測定だけでなく、プールの測定や学校給食の産地表示も検討中とする。区立小中学校の学校給食は太子堂調理場で調理する学校と、自校で調理する学校に分かれる。そのための産地表示も複雑になるが、給食便りへの記載を考えている。牛乳については区内の学校は一括で購入しているため、検査する予定とした。
http://npn.co.jp/article/detail/98903754/
東京電力に対しては節電に対応するために区内の電力使用量のデータ開示を要請中である。東京電力は23区全体の前日分のデータ開示は可能と回答したが、当日のデータ公開を引き続き求める。リアルタイムのデータ開示により、過度の自粛を避けられる上、区民に警報を流して需要を抑制する効果も期待できるとする。
浜岡原発は停止したが、それで終わりにすべきではない。老朽化した原発から停止して欲しい。しかも、原発は運転停止すれば安全ではなく、使用済み核燃料の問題が残る。もう一回考え直そうと発言していきたい。想像力が大事である。福島第一原発事故は国難であると共に民難である。国民が苦しんでいる。体を動かし、被災者に手をさしのべる自治体にしたいと述べた。
区長選時の推薦人であった早稲田大学建築学科教授の石山修武氏、国際医療福祉大学大学院教授氏の大熊由紀子氏、社会学者の宮台真司氏が登壇し、保坂区政に提言した。大熊氏は高齢者を寝たきりにしてしまいがちな日本の医療・福祉制度の問題点を指摘した。半身不随になっても、残った右半身で社会的な活動が可能である。年をとっても、障害をもっても、温もりのある世田谷区政の先頭に立っていただきたいと述べた。
会場からの質問では二子玉川再開発や下北沢の道路建設、京王線の高架化、外環道など大型開発の見直しを求める声が目立った。保坂区長は住民参加の街づくりになるような方策を考えていると応じた。ユニークな質問として「電気の購入先を他の電力会社に変更できないか」というものがあった。
この問題意識には保坂区長の立候補時の推薦人である社会学者の宮台氏が応じた。遅れて到着した宮台氏はエネルギー政策の転換について本質的な指摘をした。統一地方選挙は脱原発を前面に出して当選した首長や議員は少なく、保坂氏はレアケースである。これはヨーロッパとは全く異なる。ドイツでは反原発を掲げる緑の党が選挙で躍進し、イタリアは国民投票で原発反対が圧倒した。
日欧の落差を説明するキーワードはスローフード運動である。スローフードの定着がヨーロッパで脱原発が進行した要因である。日本ではスローフードにオーガニックなどのイメージがあるが、本質は全く異なる。
スローフードは顔の見える範囲で食料品を販売し、購入する運動である。顔の見える相手との取引だからこそ、生産者は安全性に気を付け、消費者は高くても買う。その結果、自立的な経済圏が保たれる。ところが日本ではスローフードが大企業のマーケティング戦略に悪用され、ロハスと混同されている。ここに日本人の勘違いがある。
エネルギー政策の転換も同じである。エネルギー政策の転換は共同体自治の問題であって、電源の種類の問題ではない。官僚も太陽光発電など自然エネルギーを供給する独占企業や天下り法人を作ることを考えているだろう。それでは、これまでの電力供給独占体制と変わらない。上からの統制ではなく、消費者が電力会社や発電所、発電方式を選択できるようにすることが必要である。世田谷で電力会社を立ち上げるようなことがあっていい。
日本人の政治意識は統制と依存である。これに対して世界は自治と参加の方向で動いている。統制と依存の社会でも便利さや快適さは享受できるが、自分で自分をコントロールできず、絆も生じない。自治と参加には、ぬくもりや幸福、尊厳がある。
世田谷には可能性がある。世田谷区では他の区に比べて3月に子どもを疎開させた家庭が目立った。子どもを疎開させたということは、預け先があることを意味する。金持ちであっても、人的なつながりがなければ疎開させられない。つまり世田谷区民は人的資本が豊かであることを意味する。最後に宮台氏は保坂区長に「来期も務めて、成功モデルを作ってほしい」とエールを送った。
http://www.pjnews.net/news/794/20110626_1
世田谷区で電力会社を立ち上げるとの提言に保坂区長は「世田谷電力ができると面白い」と応じた。新しい仕組みを待っているのではなく、区民各々が様々な形で行動することを期待した。また、人口80万人の世田谷区は電力の消費地であるが、ソーラーパネルを乗せられる屋根の数は多いとして、発電地帯としての可能性をアピールした。
最後に主催者挨拶として、「たがやせ世田谷区民の会」副代表の金子秀人氏が保坂区政誕生による変化を紹介した。成城では緑豊かな邸宅「山縣邸」で開発問題が起きている。緑地の保全を求める運動の住民が区長室にアポイントを取ったところ、保坂区長との区長室での面会と現地視察が実現した。これまでの世田谷区の行政では考えられなかった動きである。
区長のレスポンスに発奮した住民運動は成城学園前の駅頭で署名運動を開始した。その署名を受けて今度は区長が開発業者と面会する予定である。このように区民と区長が互いに影響し合う変化が出てきていると述べた。(林田力)
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『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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