[CML 010434] ふくしま集団疎開裁判―低線量被曝訴訟の突破口なるか?

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 6月 27日 (月) 19:27:03 JST


みなさまへ    (BCCにて)松元
児童疎開を求める仮処分請求がこの24日(金)に郡山市の福島地裁に提訴されました。この訴訟準備にもかかわっている森田玄さんからのお知らせを転送します。

下記「記者会見要旨」をぜひお読みください。ICRPや文科省の「基準」を正面から批判し、子どもたちのいのちと健康を低線量被曝・内部被曝から守ろうという福島事故後初の本格的訴訟が開始されました。

訴状には、ECRR(欧州放射線リスク委員会)議長クリス・バズビー博士、ピッツバーグ医科大学放射線科の放射線物理学名誉教授アーネスト・スターングラス博士の「本裁判に対する科学者の声明」も添えられています。(和訳付)

======以下転送=======

みなさまにご報告です。

ご存知のことと思いますが、すでに福島の多くの小中学校では311以来の積算放射線被曝量が文科省が定めた1mSv/yを越えています。

子どもたちの健康被害に危機感を抱く福島の親たちが原告になって、児童疎開を求める仮処分請求がこの24日(金)に郡山市の福島地裁に提訴されました。弁護団は、GMOコメ訴訟の主任弁護士の柳原敏夫弁護士と2006年志賀原発運転止し止め判決を下した裁判長の井戸謙一弁護士を含む8名です。

放射線懸念 「学校疎開」求め申し立て(TBS News)
http://news.tbs.co.jp/20110624/newseye/tbs_newseye4759733.html

仮処分申立書
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/110624application.pdf

記者会見要旨
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/110624PressRelease.pdf

当日、郡山市の記者会見では、海外の科学者たちからのメッセージも発表されました。

《本裁判に対する科学者の声明》

1、ECRR(欧州放射線リスク委員会)議長クリス・バズビー博士 

和訳
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/110623Statement-BusbyJ.pdf

原文
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/110623Statement-BusbyE.pdf

2、ピッツバーグ医科大学放射線科の放射線物理学名誉教授アーネスト・ス
ターングラス博士
(核実験の死の灰〔放射性降下物質〕による被曝で世界の子供たちの白血病・
ガン急増の事実を議会で報告し、これがきっかけで米ソ核実験停止条約が締結)
和訳
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/110623Messag-SternglassJ.pdf

原文
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/110623Messag-SternglassE.pdf


これは実際的には1mSv/yの健康被害をめぐる科学裁判になると弁護団は考えています。したがって、申立書にもあるように、日本政府が依拠するICRP/IAEA勧告と真っ向から対立するECRR勧告が極めて重要な位置を占めると考えられます。

玄

========記者会見要旨=======
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/110624PressRelease.pdf

《記者会見用(子供の人格権に対する妨害排除としての差止請求裁判の要旨)》
2011 年 6 月 24 日

1 本日、福島県郡山市内に居住する小学生、中学生14名の親の皆さんが、子供たちの法定代理人として、郡山市を相手取り、福島地裁郡山支部に対し、民事仮処分を申し立てた。申立ての趣旨は、次のとおりである。

記
1 債務者は債権者らに対し、別紙環境放射線モニタリング一覧表で測定高さが50cmまたは1mのいずれかにおいて空間線量率測定値の平均値が0.2μSv/h以上の地点の学校施設において教育活動を実施してはならない。

2 債務者は債権者らに対し、別紙環境放射線モニタリング一覧表で測定高さが50cmまたは1mのいずれかにおいて空間線量率測定値の平均値が0.2μSv/h以上の地点以外の学校施設において教育活動を実施しなければならない。

3 申立費用は債務者の負担とする。
との裁判を求める。



2 郡山市をはじめとする福島県内の子供たちの多くは、福島原発事故によって、すでに外部被曝だけでも1ミリシーベルトを超える被曝をしている(私たちの計算では、郡山市だけでも地域によっては、すでに6ミリシーベルトを超える)か、このままでは確実に1年に1ミリシーベルトを超える環境下で生活している。年間1ミリシーベルトというのは、国際放射線防護委員会(ICRP)が一般公衆の線量限度として定めるところであり、我が国においても、原子炉等規制法、同法施行令、実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則、同規則に基づく線量当量限度を定める告示等によって、原子力発電所が一般公衆に対し、年間1ミリシーベルト以上を超える被曝をさせないことを求めてきた。


私たちは、ICRP自体が、もともと核を積極的に利用しることを目的として作られた組織であること、欧州放射線リスク委員会(ECRR)では、ICRPよりもはるかに厳しい基準(一般公衆では10倍厳しい)を設けていること等から、ICRPの基準に無批判に依拠することは相当でないと考えるが、少なくとも、この基準は最低限守られるべきものであると考える。

ところで、人は、呼吸及び飲食によって放射性物質を体内に取り込み、内部被曝にも晒される。しかし、最も危険な内部被曝であるアルファ線とベータ線の線量を外部から測定するのは不可能である。また、成長期にあって細胞分裂が活発な子供は、大人よりもはるかに放射能に対する感受性が高い。そうだとすると、福島の子供たちについて、外部被曝だけでも年間1ミリシーベルトを超えるような環境に晒すことは断じてならない。

この点について、文科省は、このICRPが定めた基準や、我が国における従来の基準すら大幅に上回り、子どもについて年間20ミリシーベルト、1時間あたり3.8マイクロシーベルトの被曝まで許容するとしたが、この判断にはただ戦慄を覚えざるを得ない。

文科省は、その後、学校での被曝量について年1ミリシーベルトを目指すと修正したが、20ミリシーベルトの基準を撤回したわけではない。電離放射線障害防止規則(昭和47年9月30日労働省令41号)によれば、実効線量が3か月に1.3ミリシーベルト、すなわち年間5.2ミリシーベルトを超えるおそれのある区域は、「管理区域」とされ、事業者は、必要のある者以外の者を管理区域に立ち入らせてはならないと定めている(3条1項、4項)。


年間20ミリシーベルトという環境は、管理区域よりもはるかに危険なのである。過去に、原発で働いた労働者について、5.2ミリシーベルトの被曝によって労災認定がなされた事例がある。これは、年間20ミリシーベルトの環境下であれば、わずか3か月で到達する数値である。チェルノブイリ原発事故の際は、1平方メートルあたり55万5000ベクレルの放射能が検出された地域は一時移住地域とされたが、これは空間線量1.968マイクロシーベルトに相当するとされている。文科省の基準は、チェルノブイリ事故の一時移住地域の基準を大きく上回るのである。


ICRPは、事故収束時の基準として、1〜20ミリシーベルトを提示しているが、事故収束時だからといって人が放射能に強くなるわけではない。特別な異常時だからリスクがあっても我慢させようという考え方であるが、福島原発事故の収束の見通しは全くたっておらず、今後、多量の放射能に囲まれて生活するのは福島の子供たちの日常なのであって、特別な日々ではないのである。


3 福島県では、すでに、かなりの数の子供たちが、自主避難して福島の地を離れた。しかし、依然、大多数の子供たちと親とは、行政が実施している安全宣伝と危険性を伝える情報、先生や友だちと別れたくないという思い、自主避難する場合の経済的負担等で思い悩み、不安な日々を送っている。メディアでは、子供たちの間に体調不安が広まっていると報道されている。

すでに1ミリシーベルトを超える被曝をしてしまった子供たちを、そしてこのままではやがて1ミリシーベルトに達する子供たちを守るためには、校庭や通学路の除染だけではもはや不十分であって、今後の外部被曝及び内部被曝を抜本的に改善した新たな環境を子供たちに提供するしか方法がない。自主避難をしたくてもできない家庭も多い。避難するか否かを各家庭の判断に任せるべきではない。子供と避難民を粗末にするような国には未来はない。いま、行政は、速やかに学校ごと疎開するという決断をすべきである。

  なお、子供たちが親と離れて暮らすことに不安を感じられる親もおられると思う。しかし、今は未来を見すえ、放射能の迫害から子供たちの生命・健康を守ることを最優先の課題とすべき緊急事態なのであり、この点をご理解頂きたい。


4 今回、郡山市内の子供と親たちが提起した仮処分は、端的にいえば、郡山市を相手に、郡山市が子供たちに対して負っている安全配慮義務の履行として、あるいは子供たちの生命、身体、健康を守るために、学校ごと疎開する措置をとることを求めるものである。


学校が疎開するとなれば、疎開先の選定、学校設備や宿泊先の確保、教員の労働条件の確保、そのための予算措置等、多くの困難な課題があることは承知しており、実質的には、国や他の地方自治体の強力な支援がなければ郡山市単独では、実現できないであろう。しかし、郡山市内の子供たちに対して直接に教育の義務を負担している郡山市が、まず、危険な地域の学校ごと疎開させるという決断をし、そのための支援を国や他の地方自治体に求め、費用は東京電力に負担させる等、叡智を働かせて子供たちを守る決意と行動に出ることを念願するものである。これは千年にいっぺんあるかないかの試練である。
以 上

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