[CML 010421] アメリカでも放射能汚染の心配が止まらない(TUP速報)

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 6月 26日 (日) 19:10:50 JST


みなさまへ   (BCCにて)松元
表題の[TUP-Bulletin:0062] 速報919号を転送いたします。

=====以下全文転送======

「正しい放射能の怖がり方」を考える

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コロラド州ボルダー在住の日本人寿司シェフ、TUP 
OBの笛吹氏からのメールをお届けする。かれ自身が寿司を握りながらボルダーの人々と交わした会話から始まり、福島産の放射性物質に対するアメリカ人の心配を具体的に報告してくれている。

笛吹氏と同様に日本国外(イギリス)に在住するわたしから見ると、かれの報告にあるアメリカ人の心配は少しも奇異ではない。イギリスのメディアでは、福島第一原発に関するニュースはひところよりはさすがに少なくなったが、時々報じられるニュースの内容はいまでも十分に心配なものだ。

震災後に起きた原発での水素爆発を受けてのアメリカやイギリス(やその他の国々)の対応について、日本では、事故を大きく見積もり過ぎだとか自国民の避難範囲を広げ過ぎだとか、ずいぶん批判されていた(「チェルノブイリとは違う」という意見も多かった)。しかし、各国の過剰とも見える反応が実は「正しい放射能の怖がり方」だったことが、爆発時周辺の原発の状況が次々に開示されるにつれて、日本の人の目にも明らかになってきているのではないだろうか。

この態度の違いは、ひとつにはチェルノブイリをどう経験したかの差ではないかと思う。25年前のチェルノブイリ原発4号炉の大爆発によって北半球のほとんどの場所が放射能に汚染されたが、その「汚され方」は地域によって差がある。最もひどく汚染された(いまも汚染されている)ベラルーシとウクライナ、ロシアのヨーロッパ側はもちろん、スカンジナビアを始めとするヨーロッパ全域、北アメリカの一部やトルコや北アフリカの一部での汚染のひどさからすると、日本のそれは比較的軽微なものだった。

チェルノブイリの経験は各国のその後のエネルギー政策にも大きく影響し、つい数年前までは、フランスを除くヨーロッパのほとんどの国は原発を新設しない方向でほぼ足並みが揃っていたぐらいだ。チェルノブイリ後にも次々に新しい原発を建設したばかりでなく、ほとんどの国が手を引いた高速増殖炉の夢をあきらめずにいた日本とは対照的だ。

フクシマ後の世界のエネルギー政策は、チェルノブイリ後以上に大きく変わるだろう。そのなかで文字通りの震源地の日本がどうするかに当然のことながら注目が集まる。かつて日本は、自然エネルギーの利用で世界の技術をリードしていたことがある。チェルノブイリ前の80年代初め、日本の太陽熱発電は技術において世界の最先端にあり、太陽光発電もまた、2000年ごろまでは生産量と普及率の双方で長らく世界一だった。しかし、エネルギー政策が原子力中心になったことで、世界からすっかり置いてきぼりにされてしまった経緯がある。

放射能を正しく怖がることで、もう原子力には頼らないと社会の意志をシフトすれば、世界の人が目を見張るようなアイディアがまた出てくるのではないだろうか。広島と長崎に核爆弾を投下された経験を持つ日本人の遺伝子には、「正しい放射能の怖がり方」の記憶が共有されているはずだから。 (前書き:藤澤みどり/TUP)

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TUPエッセイ:アメリカでも「放射能汚染」の心配が止まらないパンタ笛吹著コロラド州ボルダー市は環境保護に熱心な街だ。ボルダーの中心部でオーガニックのスーパーマーケットが開店し、その中の寿司コーナーで数週間働いた。醤油からみりん、玄米までオーガニックを使うという、徹底した健康志向の寿司屋だ。そこで毎日のようにお客さんから「放射能汚染」に関しての質問を受けた。「日本の海草から高濃度の放射線セシウムが検出されたと聞いたけど、巻き寿司の海苔はだいじょうぶ?」「放射性物質を4000兆ベクレルも海に流したと新聞で読んだが、ここの寿司の魚は日本から来てるの?」などなど。そのたびに、「海苔は原子力発電所事故の前に製造したものだから大丈夫」「マグロは大西洋から、シャケはノルウェー産だから心配ありません」と説明するが、私自身、これから先どこまで汚染が広がるのか危惧している。米国人が心配するのは日本から輸入する水産物だけではない。米国各州で水道水や牛乳から放射性ヨウ素が検出されている。また、米国内の大気も放射性物質で汚染されているので、「靴やコートは放射性微粒子が付着している恐れがあるから家の中に持ち込まないように」と警鐘を鳴らす科学者もいる。マサチューセッツ州ウースター工科大学の放射線化学者、マルコ・カルタフィン教授は、フェアーウィンド誌[註/文末参照]のインタビューにこう答えた。「私たちは普通のガイガーカウンターでは測定できない10億分の1レベルの高濃度放射性微粒子を計測しています。それらの微粒子は極めて小さいので、風に吹かれて世界中に運ばれます。日本で検出されるアメリシウムやウラニウムのような放射性微粒子が、今では米国の大気中でも検出されています」「レントゲンでの被曝はほんの一瞬ですが、放射性微粒子を吸い込むと体内に留まり、一生被曝し続けることもあります。一つの微粒子でも膨大な放射能を発生させるので、細胞を破壊するか腫瘍を発症させる可能性があります。これらの放射性微粒子を食べたり吸いこんだりしないよう、どうしたら避けられるか知る必要があります」「日本全体の放射能汚染レベルは今、1950年代や60年代に数多く行われた核爆弾実験の最悪時よりもはるかに高くなっています。それらの一部が米国の大気や土壌を汚染するので、放射性物質を吸収しやすい野菜などに気をつけなくてはなりません」「米国でももっと放射線の測定を徹底させ、花粉予報のように、例えば『明日は放射性微粒子が大気中に多いので屋外での運動を控えるように』とか、放射線注意報を出せるようなシステムが必要です」‥‥‥太平洋をはさんで日本から1万キロも離れているというのに、アメリカ人の心配は止まらない。TUP速報913号でも紹介したハーベイ・ワッサーマンは5月20日のコラムでこう世界に呼びかけた。「水素爆発で構造が弱体化し、たまった汚染水で地盤が弱まったせいか、4号機の土台の一部が地盤沈下し、原子炉建屋が傾いている。おそらく倒壊の寸前まできているだろう。比較的弱い余震でも大惨事を招きかねない」「福島原子力発電所の災害はチェルノブイリの何倍も悪化する可能性がある。この災害を無事に治めるには、東京電力や日本政府の能力ではたぶん無理だろう。これ以上の不必要な危険を背負い込むことはない。すべての必要な手段を駆使するため、世界中の最良の科学者と技術者に任せる時が来た」‥‥‥日本を憂う声は米国からだけではない。フランス放射線防護原子力安全委員会(IRSN)は5月23日、福島原子力発電所の20キロ避難区域の外側に住む7万人もまた避難すべきだと発表した。「このエリアの放射線レベルは1平方メートルあたり数百ベクレルから数万、数十万ベクレルあり、また一部では数百万ベクレルの場所もある。14歳以下の子ども9,500人を含む7万人が、『避難区域の外側でも、最も汚染されている場所に住んでいる』とIRSNは月曜夜、報告した」「IRSNによると、住民がこのエリアに留まるということは、事故の後、1年間に10ミリシーベルト以上の放射線に被曝することを意味するという。この年間10ミリシーベルトという値は、フランスで原子力発電所事故が起きた場合に使われる、住民を守るために決められた安全基準だ」(5月24日 AFP)‥‥‥アメリカ人の友人からもよく聞くのは、「日本の安全基準はゆる過ぎるのではないか。これでは数年後にガン患者が急激に増える気がする」という言葉だ。そんな心配からか、いま米国でも話題になっているのが You Tube に掲載された「福島原発事故後に生まれた耳無し子うさぎ」だ。原子力発電所から30キロ離れた浪江町で生まれたというが、もちろんこれを短絡的に放射能汚染のせいだと結論づけるわけではない。エネルギーニュースのサイトは、「放射能汚染が思ったよりもひどく、耳無しうさぎの次は人間の奇形児ではないかとの恐怖が日本で高まっている」とのキャプション付きで映像を掲載している。この記事には多くのコメントも寄せられ、チェルノブイリの奇形と比較する意見も少なからずある。ボルダーのわが家の外では、ライラックの花が香り、新緑のグリーンがまぶしい。こんな美しい季節に暗い話ばかりを書くのは本意ではない。安全と安心の日々が遠からず訪れることを、ただただ願うばかりだ。http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110421/dst11042112340015-n1.htmhttp://www.fairewinds.com/http://www.commondreams.org/view/2011/05/20-1http://www.commondreams.org/headline/2011/05/24-2http://enenews.com/ibt-japan-nuclear-radiation-leak-gives-birth-to-earless-bunny-video [註] フェアーウィンドは原子力発電所の批評を長年続けているウェブマガジン。主宰のアーニー・ガンダーソンは39年間、原子力エンジニアとして働く専門家で、福島原発事故が起きた後もひんぱんにTVニュースのインタビューを受けている。フェアーウィンドのサイトでは、アーニーが毎週、福島原発の現状についてビデオレポートしている。文中で言及したのは、アーニーの奥さんのマーガレット・ガンダーソンによるマルコ・カルタフィン教授への20分近いビデオインタビューから要点をまとめて引用したもの。(パンタ笛吹)http://www.fairewinds.com/───────────────────────────────

<結びにかえて>

山崎久隆、藤澤みどり/TUPこの原稿をめぐってTUP内で起きた議論の一端を書き記して結びにかえたい。議論の発端はこんな一言だった。「アメリカ人が放射能を心配しているのはわかった。でも、アメリカ人じゃなくてもみんな心配しているし、速報するほどの情報だろうか」では、アメリカ人だけじゃなく、いまや世界中の人々がフクシマ発の放射能について心配しているという、その心配の中身について考えてみたい。日本政府が発表した放射性物質の量は77京ベクレル、7.7×10の17乗。ちょっと前までは63京ベクレル、6.3×10の17乗だったのにいつのまにか増えている。増えた理由は、セシウム137をそのまま加算せずにヨウ素131等価量に換算したから。しかし、一般にはそんなロジックは理解されず、またデータが変更されて状態がもっと悪くなったと考えられている。しかし、実は福島第一の放射能には別のデータが存在する。それが本原稿で引用したIRSNが3月下旬に発表した数値で、放出放射能量2×10の18乗ベクレル、すなわち200京ベクレルだ。これだけでも、フランスが公表するデータと保安院のデータのどっちを信じればいいのか混乱するところに、さらに問題を複雑化させるデータが公表された。日本政府がIAEA閣僚会議に向けて発表した政府報告書で、この報告書のなかの表には1.1×10の19乗ベクレルという数字が希ガスの値として書いてある。これは1100京ベクレルに相当する。福島第一原発が大気放出した放射能量について、こんなにも異なるデータが次々に出てきて、いったいどれが本当のデータなのか報道でも一切触れられていない。報道されている放射性物質の放出量は77京ベクレルだけだ。しかし、この値は希ガスを含んでいないためにたいへんな問題を引き起こしている。最初の放射性物質の放出によって被曝した線量の評価ができなくなってしまっているのだ。小佐古敏荘東大教授の内閣官房参与辞任に伴う文書には以下のような記述がある。希ガスの「初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである」上記引用のなかで使われている「プリューム」とは放射性ガスの雲のこと、また、「サブマージョン」とは放射性物質を蓄積した場合よりも、体外から、または吸入した肺からの被曝をいう。甲状腺はその臓器としての特性から体外被曝の影響を受けやすいうえ、気道に近く、放射性物質に囲まれるような状態になるため、甲状腺がんになりやすい。そこで、サブマージョンが大きい放射性核種であるクリプトン、キセノンについて、これが甲状腺に与える等価線量を評価せよというのが上記引用の主旨である。しかも、福島に限らず関東一円に地域を広げて調査を求めたことで、専門家ほど事態の深刻さを認めないわけにはいかなくなった。そして結局、文科省が学校での被曝を「実行可能な限り1mSvに近づける」努力を、国の予算を使って行って良いと言いだし、20mSvについても引き下げることを約束しだした。小佐古教授が内閣官房参与を辞任するにあたって、その存在を明かした報告書「福島第一発電所事故に対する対策について」は当時は公開されず、6月10日になってやっとその要旨のみが公開された。読めば日本政府の犯罪性は明白である。http://takopunch.blog27.fc2.com/blog-entry-105.htmlアメリカだろうとフランスだろうと、日本政府を信用しないのは当然のことだ。それを国民が感じ取り、心配し、恐怖するのも当然だ。住民の初期放射線被曝量はいったいどれだけだったのか。数シーベルトに達する人がいる可能性もある。これは心配と恐怖の中身のほんの一部である。 本速報は、TUPウェブサイト上の以下のURIに掲載されています。http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=951━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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