[CML 010418] 保安院の説明は破綻!

河内謙策 kenkawauchi at nifty.com
2011年 6月 26日 (日) 17:15:52 JST


 河内謙策と申します。(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許し下さ
い。転送・転載は自由です。)

 佐賀県の玄海原発2号機・3号機の運転再開に反対して、佐賀のたたかいに対する
支援・連帯を呼びかけています。

 既に多くの方がご存知と思いますが、国と九州電力は、玄海原発2号機・3号機の
運転再開を計画し、そのために県民に対する「説明会」を行い、それをステップとし
て県知事に運転再開につき同意させようと企んできました。しかし、玄海原発プル
サーマル裁判の会等の県民の粘り強いたたかいの中で、その企みは簡単に実現するも
のとはなっていません。

 26日(日)には、経産省が主催する「説明番組」が行われました。
「説明番組」というのは、当初予定していた「説明会」への県民の参加が少ないこ
と・閉鎖的であることに対する批判が高まり、その結果「名前」が変更になったもの
です。以下、ユーストリームで私が見た記録に基づき「説明番組」の実際の状況を再
現してみます。

 「説明番組」は、佐賀市内のケーブルテレビのスタジオで撮影、ネットなどで中継
されました。時間は、午前10時から11時半まで、
国のほうからは黒木慎一氏ら保安院から合計3名、資源エネルギー庁から1名、オブ
ザーバーとして高村昇長崎大学教授が参加しました。
 国が選出し、同番組に参加した県民は7名、商工会議所の企業経営者(男)1名、
農民(男)1名、玄海町民(男)1名、パートタイマー(女)1名、映画評論家
(男)1名、大学生(女)1名、主婦(女)1名、でした。運転再開反対派の市民に
参加を呼びかけたが断られた、という説明がなされました。
 同番組にたいしインターネットでアクセスした人は、9時57分には256人でしたが、
番組が開始されてから増加し、11時18分には1490名、累計4055名という数字がウェブ
サイト上で表示されました。また、メールで意見を寄せた人473名、FAXで意見を寄せ
た人116名、ユーストリームに意見を寄せてきた人は1152名という数字が司会者より
紹介されました。

 まず保安院から説明が行われ、その後、玄海原発で3月11日以降に行われた緊急安
全対策について(前半部)、その他(後半部)、と分けて質疑がおこなわれました。
 保安院は、緊急安全対策につき、福島原発の事故の原因は、あくまでも15メートル
の津波にあったと説明、その上にたって、3月30日に保安院が指示した短期的な安全
対策、中・長期的な安全対策のうち、短期的な安全対策の終了を確認したとして、運
転再開に理解をもとめました。
 また、県が提起した「福島原発の事故の原因は地震にも関係があるのではないか」
という点にたいしては「地震後非常用電源はすべて作動していたから津波が原因であ
ることは間違いない」、「浜岡と同じようになぜ玄海原発を運転停止にしなくてよい
のか」という点にたいしては「浜岡と異なり、付近にプレートの境界がない、大規模
な断層等ない」、「福島原発はプルサーマルの影響はなかったのか」という点にたい
しては「プルトニウムは発見されたが、通常の環境と同程度であった」と答えまし
た。

 県民の方からの質疑に対する主な応答を書いてみます。
 「玄海は大規模地震の確率がゼロパーセントといわれている。福島だって大規模地
震の確率がゼロパーセントだというのに、ああいうことになった。だから保安院の説
明は説明になっていない」という質問に対しては、「耐震設計は十分に行われていま
す」という回答でした。
 「福島第一原発でプルトニウムは出たのか、どう処理したのか」という質問に対し
ては、「プルトニウムは検出されたが、環境に影響はなかった」と答えています。
 「1号機は、こわれる可能性はないのか」という質問に対し、「壊れないようにす
るのが私たちの使命です」と答えています。
 「玄海町長も、1号機については廃炉の議論を始めなければならないと言ってい
る。廃炉にむけて議論をする気があるのかどうか」という質問に対し、「劣化が深刻
化したことはない。必要な事項があれば、点検に加えていきたい」と答えています。
 「これまで、玄海原発は2メートルの津波しか想定していなかった。今回は安全対
策でどうしたのか」という質問に対し、「13メートルの対策をした」と答えていま
す。
 「風評被害についての対策は」という質問に対し、「正確なデータの提供に努めて
います」と答えています。
 「福島が収束してから考えればよいではないか」「1号機はもろくなっているので
はないか」という質問に対し、「九州電力がした試験で、脆性遷移温度(ぜいせいせ
んいおんど)が98℃になったのは、試験片を炉心の中に入れたからだ。炉心の壁では
80℃ぐらいだ。こわれる状況になっているわけではない」と答えています。
 「いつかは廃炉の問題がおきる。そのときには地元は切り捨てられるのではない
か」という質問に対し、「電気事業者は準備しており、しっかり対応していくことに
なる」と答えています。
 「佐賀で万が一類似の事故が起きたら、政府の対応は福島原発と同じように問題の
ある対応になるのではないか」という質問に対し、「炉心溶融の問題は調べるのに時
間がかかった。対応にむずかしい問題があったのは事実だ。」という答えがありまし
た。
 「九州電力は電力ユーザーの立場にたっていないのではないか」という質問に対
し、「電力の地域独占の問題は残っている」と言う答えがありました。
 「国民の不安を解消できるメッセージを発信できないか」と言う質問に対し、「そ
れをめざして一つ一つ積み上げている」という答えがありました。
 「本当に電力が不足なのか」という質問に対し、「3%の余裕が必要なので、この
ままではぎりぎりの状態だ。万が一のことがあれば、供給力不足になる」という答え
がありました。

 少し長いメールになって恐縮ですが、全国各地でも、運転停止中の原発の運転再開
をめぐって、同じような「説明会」をすると保安院が言っているので、各地の参考に
と思い、詳しく書きました。

 今日の説明番組について、私は二つの感想を持ちました。
 一つは、保安員の説明は破綻している、ということです。それは、上記の応答に明
らかなとおり、質問に誠実に答えない回答や、それがなぜ正しいのか説明せず、実質
的に「私たちがやったことを認めてください」というだけの回答が多いことにあらわ
れています。また、7人の県民のうちで正面から運転再開を認めた人が一人もいな
かったこと、番組に寄せられたメールやFAXのうち11通のメール等が番組の中で紹介
されましたが、そのうち運転再開を支持したのは私の記録では2通だけであったこと
に現れています。
 二つは、保安院は、佐賀県民を馬鹿にしている、ということです。質問者がよく勉
強し、その質問の水準が高かったことに比較して、保安院の説明は従来の繰り返しが
多かったことにそれは現れていると思います。質問者の質問→保安院の回答、だけ
で、質問者の質問→保安院の回答→質問者の再質問、ということは認められていませ
んでした。この「議事進行の一方的ルール」により保安院は「助けられた」のです。

 今日の「説明番組」を踏まえた今後の佐賀の闘いについては、別のメールで意見を
述べさせていただきます。

 弁護士 河内謙策(Email: kenkawauchi at nifty.com)



 



 

 



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