[CML 010193] 玉川1丁目の住環境を守る会が運動を総括=東京・世田谷

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2011年 6月 14日 (火) 20:58:31 JST


【PJニュース 2011年6月13日】東京都世田谷区玉川1丁目の住民を中心とした住民団体「玉川1丁目の住環境を守る会」が2011年6月発行の「守る会ニュース」第25号で1年8か月に及ぶ活動を総括した。守る会はパイオニア研修場跡地のマンション建設計画の見直しを求めて活動していたが、2011年2月にマンションが竣工した。

問題のマンションは三菱地所分譲、浅沼組施工の「パークハウス二子玉川プレイス」(玉川1丁目計画)で8階建てである。建設地周辺は4階建てのマンションを除くと2階建ての住居が大半であり、8階建ての威圧感は大きい。

現地周辺は世田谷区の「水と緑の風景軸」の重点地域である。江戸時代には二子の渡しがあり、近代になると多摩川の景観を楽しめる料亭で賑わった。大正時代に川岸から離れた場所に堤防を築くなど景観の保全に気を配ってきた地域であった(林田力「ブラタモリで見た失われるニコタマの魅力」PJニュース2010年11月7日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20101106_5/

「玉川1丁目計画」とほぼ並行して建設地の北側には二子玉川東地区再開発の一環として「二子玉川ライズ・ショッピングセンター」「二子玉川ライズ オフィス」が入居する16階建てのビルが建設された。このため、建設地の北側の住宅は2つのビルに挟まれる。その圧迫感の中での生活を強いられることになる。

このために周辺住民は「玉川1丁目の住環境を守る会」を結成して、抗議活動を展開した。建設地周辺には反対運動の幟や看板が林立し、反対運動の根強さを示した。赤字で「三菱地所・浅沼組 地域住民無視 怒 怒 やめろ」と書かれた激烈な看板が掲示された。世田谷区から騒音計や振動計を借用して、基準値オーバーであることを計測し、改善させたこともあった。

建設地には「二子の渡し」の目印となっていた樹齢150〜300年の松の木が5本生えていた。住民側は松の保全を要求していたが、2009年11月19日に4本の松を住民に予告せずに突然伐採した。住民の抗議によって最後に残った1本の赤松だけが保全されることになった。

マンション建設反対運動はマンション建設で被害を受ける建設地周辺の住民主体の運動になるが、「玉川1丁目の住環境を守る会」には以下の特徴がある。

第一に三菱地所に対する抗議要求運動と位置付けたことである。具体的には三菱地所の執行役員に面会しての要請や三菱地所本社近辺でのビラまき、株主総会での質問など三菱地所に対する抗議などが行われた。地域で閉ざされた運動に陥りやすいマンション建設反対運動の弱点を克服する活動である。
http://www.pjnews.net/news/794/20110612_1
第二に広範な地域的連携である。「玉川1丁目の住環境を守る会」は二子玉川ライズの見直しを求める「二子玉川の環境を守る会」(旧にこたまの環境を守る会)など他の問題に取り組む住民団体と連携した。その成果の一つが2010年3月27日に開催した「二子玉川の環境を守ろう お花見交流会」である。ここでは様々な地域の問題に取り組む住民団体のメンバーに「玉川1丁目計画」の建設現場を案内し、住環境破壊の実態を紹介した。
お花見交流会での建設現場視察時には参加者の要望で工事責任者である浅沼組の沢田氏が説明したが、住民感覚との乖離を印象付けた。「8階建てにする根拠は?」と聞くと、「(近隣対策業者の)メイズプランに聞いてください」と答える。問い合わせ先が建築主の三菱地所ではなく、メイズプランである根拠を聞くと、最初は「看板に連絡先として書いてあるから」と答えたが、その後で「三菱地所に直接尋ねてもいい」となった。

住民の抗議に対する意見を尋ねると「ノーコメント」を貫いた。住民から失笑が起きたが、発注者の要望通りに施工するのが施工者の役割であり、コメントする立場にないとの主張である。これに対して、住民は「内部では役割分担があっても全体が一体として工事をしており、人間の住む環境を破壊している。それに対して私はコメントする立場にない」で済ませるのかと反発した。

「たとえ住民が不幸になっても発注者の計画に従って建設するのが淺沼組のスタンスですね」と確認すると、「それが請負者の立場だ」と回答した。ここからはハンナ・アーレントの言葉「服従は支持と同じ」を想起する。発注者の指示があるとしても、それを支持しているから浅沼組は工事を請け負っている。「コメントする立場にない」は卑怯な回答である。三菱地所マンション問題での住民の一番の不満は、住民の意見に耳を傾ける姿勢が事業者に根本的に欠けていることである。それが実感された交流会であった。

「守る会」の運動には一定の具体的成果が見られた。解体時のアスベスト除去の安全管理や機械式3段駐車場の台数削減、目隠しの設置、祭日の工事中止、生活道路上での待機車両の駐車禁止、工事終了後の近隣家屋清掃などである。

しかし、運動の限界もあった。住民の根本的な要望である階数の削減は完全に無視され、建物全体の高さが50センチメートル下げられただけであった。世田谷区の担当者は相談に乗ってくれたものの、業者への指導の段階では業者の言いなりになってしまったとする。住民ではなく業者側の利益に偏重した行政が行われている実態があり、これを改善しなければ住環境は一層悪化してしまうと結論付けた。

パークハウス二子玉川プレイスに対する運動は終了したものの、玉川1丁目住民は北側の二子玉川ライズの高層ビルの風害にも苦しめられている。ビル風で女性が転倒して骨折する事故も起きた(林田力「二子玉川再開発説明会で住民の懸念続出=東京・世田谷」PJニュース2011年5月16日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20110513_1
玉川1丁目住民らは「守る会」の経験を活かして風害問題にも取り組んでいる。【了】
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『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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