[CML 010074] 6・6最高裁判決に対する自由法曹団声明

maeda akira maeda at zokei.ac.jp
2011年 6月 8日 (水) 14:19:15 JST


前田 朗です。
6月8日

転送です。


   「君が代」斉唱時に起立を求める職務命令を合憲と判断した
    最高裁第1小法廷2011年6月6日判決に抗議するとともに
    都教委に対して「10・23通達」とこれに基づく処分の撤回を求める

1本日、最高裁第一小法廷(裁判長・白木勇裁判官)は、都立高校の教職員13
名が、いわゆる10.23通達の下、卒業式等の国歌斉唱時に校長の職務命令に
従わずに起立しなかったことのみを理由に、定年等退職後の再雇用職員としての
採用を拒否された事件(東京都君が代嘱託採用拒否事件)について、裁判官4対
1の賛成多数で、教職員らの上告を棄却する不当判決を言い渡した。憲法の番人
かつ少数者の人権保障の最後の砦たる最高裁が、教職員に君が代斉唱時の起立を
強制する職務命令を安易に合憲と判断したことに、私たちは強く抗議する。

2最高裁は、先月5月30日、第二小法廷において、起立斉唱行為が国旗・国歌
に対する敬意の表明の要素を含む行為であること、個人の思想良心の自由につい
ての間接的な制約となることを認めながらも、本件職務命令は、卒業式における
「慣例上の儀礼的な所作」として起立斉唱を求めるものに過ぎないとし、公務員
の地位の性質や職務の公共性を踏まえた上で、教育上の行事にふさわしい秩序の
確保と式典の円滑な進行を図るものであり、制約を許容し得る程度の「必要性・
合理性」が認められるとして、本件職務命令が憲法19条に違反しない、と判断
した。本日の第一小法廷の多数意見も、この第二小法廷判決と変わるところはない。

3しかし、本日の判決で、宮川光治裁判官の反対意見が付されたことは、東京都
の行き過ぎた教育行政に対する重大な警鐘であると評価できる。反対意見は、上
告人らが起立斉唱しないという行動は、上告人らの思想良心の核心の表出である
か、少なくともこれと密接に関連しているとした。そして、このような精神的自
由権に関わる問題を多数者の視点のみから考えることは相当ではなく、これを多
数者にとって一般的ではないからとして過小評価することは相当でないとした。
そして本件職務命令の合憲性の判断に関しては、いわゆる「厳格な基準」によっ
て審査する必要があり、その審査を尽くさせるため、原判決を破棄・差戻しする
のが相当であると判断したのである。また、この反対意見は、10.23通達は
式典の円滑な進行を図るという価値中立的な意図で発せられたものではなく、教
職員の歴史観や教育者としての信念に対する否定的評価を背景に、不利益処分を
もってその歴史観等に反する行為を強制しようとするところにあると明確に認め
ている。このことは、東京都が10.23通達を教職員を統制の手段として、こ
れに従えない教職員を教育現場から排除しようとしたことを正しく捉えたもので
あり、評価することができる。

 大阪府では、「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱
に関する条例」が成立したが、大阪府の条例もまた、教職員の統制及び排除を狙
うものとして到底認められるものではなく、直ちに廃止されなければならない。

4自由法曹団は、最高裁が、東京都の教育行政の暴走に警鐘を鳴らしつつも、結
論としてそれを追認する判断を示したことを強く批判するとともに、あらため
て、都教委に対して「10・23通達」とこれに基づく処分の撤回を強く求める
ものである。

       

          2011年6月6日
                              自由法曹団
                                  団長
菊池紘
                              自由法曹団東
京支部
                                  支部
長藤本齊



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