[CML 009977] 曖昧な汚染地図の指摘―チェルノブイリ以上の汚染地域にまだ7万人も…!?

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 6月 2日 (木) 17:32:58 JST


みなさまへ   (BCCにて)松元
フランスIRSN報告と米エネルギー省や文科省の提示する汚染地図との比較から、被曝状況と避難の実際について矛盾が指摘され警告が発せられています。

すでに福島市や郡山市などの人口密集地帯も高濃度の汚染であり、チェルノブイリの強制避難区域以上の汚染地域に0〜14歳の年少者約1万人をふくむ7万人もの人々がいる可能性がある、ということです。

「Peace Philosophy Centre」の乗松聡子さんのリポートですが、汚染地図を対照することによる指摘ですので、ぜひ下記サイトをご覧になってその「曖昧な地図」を確かめていただきたいと思います。

ここでは●印4ヵ所だけ一部抜粋のかたちで紹介させていただきます。(文章の順序と段落を変えています)

======以下部分転載=======

《フランスIRSN報告が明らかにする福島の汚染・被曝状況と、さらなる避難の示唆》
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/06/irsn-irsn-new-report-revealing.html

●「全般的に見て、このISRNの報告は、上に述べたように文科省や米エネルギー省の調査結果を使いながらこの二つの機関が曖昧にしてきた危険地域を明るみにしたという意味で大変重要なものと言えます。と同時に、何カ月、何年という被曝予測にICRPの緊急時の許容範囲20−100mSVを応用し、年間20ミリシーベルトの避難基準を「最も防護的」と呼ぶなど、非常に甘い基準を使っています。しかしそうかと思えばチェルノブイリの基準を使って7万人のさらなる避難を示唆するようなことも言っております。このように価値観的には矛盾しているように見えますが、異なる基準やシナリオを仮定して、避け得る被曝量を分析したという側面においては、評価できるでしょう。

今強制避難となっていない地域で自主避難を迷っている人たちにとっては、日本政府はこういう情報こそ提供すべきであり、自分たちの避難政策の矛盾を隠すために境界線のわかりにくい濃い青と薄い青を使ってごまかすということをしているとしたら言語道断としか言えません。また、米エネルギー省の報告を見ても、同じく曖昧な地図を使い、在日米軍の安全しか気にしていないような報告をしています。このフランスの防護協会の報告は福島の人たち、県、自治体に見てもらいたいものであり、政府はもとよりメディアも重要視するべきものです。また、ここで触れたのは一部に過ぎないのでぜひ日本語版全部を、また、図表だけでも、フランス語版を見てください。」

●「この報告書の一番の注目点は地図だと思います。IRSN報告がもとにしている、日本と米エネルギー省は航空調査の結果の地図(右上)では、意図的としか思えないのですが、セシウム134,137合計が平方メートルあたり30万−60ベクレルを薄めの青でしめし、30万以下を濃い青で示し、30万ベクレルの境界線がわかりにくいようになっています。IRSNの地図(右)ではそれがはっきりわかるように示されていますので比べて見てください。文科省とDOEの地図では、画面上ならまだぼんやりとわかりますが、印刷したらほとんどわかりません。薄い青の地域は30−60万ベクレル/m2で、チェルノブイリだったら強制避難になっていた55.5万レベルの地域がある可能性があること、そして、80キロ圏ギリギリまで、人口密集している福島市、郡山市に帯のように降りかかっているような汚染地域をはっきり示したくなかったのではないかと思われます。

よく見ると、30キロ圏内、「緊急時避難準備区域」になっている地域にはこの30−60万レべルを下回る地域(IRSNの地図では白い部分)もあるのです。文科省の地図はわざわざそこがわからないように「川内村」という字を乗せているように見えます。

つまり、20−30キロ圏内ではかなりの地域が30−60万ベクレルの範囲か30万以下なのに「緊急避難準備区域」と指定しているにも関わらず、同じく30万ー60万ベクレルの汚染の帯が(下のISRN地図では濃い青)、伊達、福島、二本松、本宮、郡山、須賀川といった人口密集地帯にまで伸びているにも関わらず、何も方策を取らず放置しているのです。

また、 この30−60万レベルの地域は、中日新聞によると農林水産省が稲作を制限するのは33万ベクレル/m2以上なので、それ以上の汚染の地域が大半であることが予想されます。そうなると、現在作付制限されているのが20キロ圏、「計画・・」区域と「緊急・・」区域だけということなので、この広大な青い帯の部分の大半は作付制限という意味でも放置されているということになります。」

『図7.ISRN報告図7文科省によるセシウム137と134の蓄積量
の0.3−30MBq/m2のデータを用い、ISRNが6MBq/m2
のレベルを追加して作成した地図(注意:文科省地図の赤の部分
がもう2区分に分けられているので、ISRNの赤とオレンジを足した
範囲が文科省地図の赤の部分に該当する。』

●「IRSNは、これらの異なる汚染・被曝度合いの地域とそれぞれの地域の人口を照合して、このような分析結果を出しています。ここでは既に避難になっている地域についての分析は割愛し、避難になっていない地域についての言及で重要と思われる部分を引用します。

『福島原発から20km圏内の避難区域以外で、最も汚染された地域(セシウム137+134が55万Bq/m2を超える874km2)に住んでいる住民の数は7万人前後と多い可能性があり、うち9,500人が0〜14歳の年少者である。』

これは重要な指摘です。冒頭でも述べたようにこの7万人の中にはすでに避難している人たちも含まれる可能性があります。と同時に指摘したいのが、日本政府の避難区域の定義で避難した人たちの中には福島市や郡山市に避難した人たちがかなりいるということです。30キロ圏内の汚染の軽い地域からの場合、場所によっては福島市や郡山市に避難することで逆に汚染の高い地域に行ってしまった人たちがいることが考えられます。たとえば、汚染の軽い地域もある「川内村」は役場ごと郡山に移動したとのことです。場所によってはこの移動は賢明だったのかどうか疑わしいと思います。ISRNの上の指摘では、地図の青い部分の中で約7万が55万ベクレル/m2レベル以上の高汚染地域に住んでいるとのこと。

これはチェルノブイリの強制避難レベルであり、外部被曝の程度だと年5ミリシーベルトであることが上の地図からもわかります。IRSNはこの人たちを「避難すべき」とは言っていません。IRSNも日本政府と同じように、あくまでもICRPの基準を使って議論しており、現在を「緊急時」と理解し、現在日本政府が避難基準としている年20mSVを、ICRPの緊急時の基準20−100mSVの中で「一番防護的な基準」としています。緊急時の前提で年単位の被曝の計算をするということはおかしいと思いますが、ISRNはそう理解しているのです。そして、

『仮に日本政府がこれよりも防護的な基準レベル(たとえば最初の1年間の最大被曝線量10mSv)の採用を決定した場合、対象住民(約7万人)が回避できる外部被曝線量は、避難実施の遅れが短いほど大きくなる。たとえば事故から1年後に避難した場合、これらの住民が回避できると予測される外部被曝線量は59%なのに対して、事故から3ヵ月後の避難で82%を回避することができる。』

これが指摘しているのは、年10ミリシーベルトを避難基準に設定した場合、約7万人は、3カ月後の今避難すれば、ずっと避難しない場合に比べ、82%の外部被曝を回避することができるということであり、これは自主避難を考えている人にとっては重要な情報です。」


●「最後に一番大事なことを指摘します。この報告は外部被曝しか扱っておらず、内部被曝については、結論で、

『これらの被曝線量には、放射能の雲がこの地域を通過した際の被曝線量も、食品の摂取にともなってすでに受け、また今後受ける被曝線量も含まれていない。総実効被曝線量(外部被曝+内部被曝)は、蓄積物の状態(乾燥か湿潤か)や食習慣、食品の産地によって大幅に増える可能性がある。』

と述べているに過ぎません。調査を行ったのは日米なのでこれをもってIRSNを批判しているわけではないのですが、この報告を見て、米エネルギー環境研究所のアージュン・マキジャーニ所長がコメントを寄せてくれています。今回の投稿はかなり長くなってしまったので、マキジャーニさんのコメントの原文と翻訳は、次回掲載します。」


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