[CML 010868] ワシントンポスト紙、小出裕章を紹介

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 7月 21日 (木) 17:31:20 JST


みなさまへ    (BCCにて)松元
バルセロナの童子丸さんから、ワシントンポスト紙で取り上げられた小出裕章先生の記事が翻訳紹介されましたので、全文転送させていただきます。(ただし対訳の英文は、ここでは削除させていただきました。)

童子丸さんはつぎのように語っています。
おそらく、「ベストセラーの著者」という形での世界への紹介は、小出裕章・京大助教をますます憂鬱な思いにさせるのかもしれない。「この40年間、私はこのような事故が起こらないようにこの分野で働いてきました」。小出さんが常に語っている言葉である。しかし事故は起こってしまった。もはや二度と元には戻れない。しかし同時にそれは、我々がこの社会を明らかな方向転換に向かわせるべき時を告げているのである。7月19日付のワシントンポスト紙の記事がその無念さと決意を世界に語る。(20011年7月20日)

======以下、全文転載(対訳英文は削除)====== 



ワシントンポスト紙記事全訳
http://doujibar.ganriki.net/fukushima/WP%20report-nuclear_bestsellers_reflect_new_debate.html

ベストセラーに反映される新たな論争―世界に紹介されるHiroaki Koide

 こんなふうに書いたら小出先生はますます複雑なお気持ちになるのかもしれません。あのワシントンポストのような新聞にまでその名と著書が紹介されました。このようなことがどれほど我々にとって重大でつらいものなのか、我々は逆に、いま目の前にある現実をかみ締めていかなければならないと思います。小出さんがいつもおっしゃっているように、3月11日で日本と世界は変わった、我々はこの新しい現実を受け入れる覚悟をしなければならないのです。(参照:放射能と日本人:小出博士「大人が放射能を引き受けよ」を巡って
http://doujibar.ganriki.net/fukushima/Japanese_and_radioactivity_KIDE.html )

 以下の翻訳(童子丸開による暫定訳)は、2011年7月19日付のワシントンポスト紙記事です。原文と比較しやすいように段落ごとの対訳にしています。訳文中でリンクされてある箇所は原文に準じたものです。また注釈につけたリンク先は訳者によるものです。また、記事には小出先生の著作の引用があるのですが、申し訳ないことながら私はそれらをまだ実際に読んでいないため、実際にご著書に書かれてある表現とは違っていると思います。この点、お許しをお願いします。
(2011年7月20日 バルセロナにて 童子丸開)

==========以下、対訳(英文削除=送信者)=======
http://www.washingtonpost.com/world/asia-pacific/in-japan-nuclear-bestsellers-reflect-new-debate/2011/07/16/gIQATh5QNI_story.html

In Japan, nuclear bestsellers reflect new debate
By Chico Harlan, Tuesday, July, 19
《日本のベストセラーが新たな論争を反映している》
チコ・ハーラン  7月19日火曜日

東京: 40年にわたる世に知られぬ活動の歴史を印す一人の原子力研究者が、つい何週間か前に関西国際空港の中を歩いていた。そのとき彼は一つの書店でベストセラーの表示を見つけた。ちらりと目を下ろしてみると、そこにあったのは、彼の顔が表紙の隅を飾るその最新の著作「原発のウソ」だったのだ。

 小出裕章にとってそれは、関心の埒外にあったものが主流へと向かう変化を確信した瞬間だった。四半世紀で最悪の原子力危機のさなかにあるこの4ヶ月間、日本の官僚たちと電力業界の責任者たちが原子力政策を巡って大混乱を繰り広げる一方で、少なくとも一つの業界が卸売りの調整に向かって先を争ってきた。書籍販売のウエッブサイトによると、出版社は1日につき1冊を超える割合で原子力に関する本を出版しているのだが、かつてあまりの読者の少なさに驚いていたような著者たちに、その就筆を依頼しているのである。

 それらの本は原子力政策に関する日本の新たな国民的議論を惹き起こす。それらはまた世論の傾向を反映しているのだが、最新の世論調査での大まかな数字によれば、それは原子力反対の声の方に4対1の割で傾いているのである。本の一部は図表を掲げて冷静に書かれたものである。一部は怒りをにじませたもの。一部は悲しみにくれるものである。しかしそれらはおしなべて、政府の情報に対する信頼喪失が増大する一方の社会を反映しているのだ。

 著者のリストは多方面にわたる。学術界の人々、ジャーナリスト、産業界のエキスパート、元インサイダー、そして反逆する政府官僚。以前の福島県知事である佐藤栄佐久は一つの本(「福島原発の真実」注1)を著した。福島第一の建設にかかわったエンジニアの一人である菊池陽一も同様である(「原発を作った私が原発に反対する理由」注2)。ある経産省官僚が「日本中枢の崩壊」注3と自身で呼ぶインサイダー情報を語って物議をかもした。しかしこの古賀茂明がベストセラー著者となった1ヶ月ほど後に、彼は退職を求められた。それは彼がもはや抵抗できない要求である。

注1:佐藤栄佐久「福島原発の真実」  
注2:菊池陽一「原発を作った私が原発に反対する理由」
注3:古賀茂明「日本中枢の崩壊」

 この危機の引き金を引いた3月11日の地震と津波以降に出版された原子力に関する書籍はこれだけではないのだが、アマゾンジャパンのサイトは過去30日の間にほとんど100にのぼる新刊をリストアップしている。東京の法政大学教授、川村湊はその流れに歩調を合わそうとしている。彼は最近出版された150の原子力関連の本に2500ドルを費やしているのだが、その中には100にのぼる復刻版がある。

 川村の原子力に関するあらゆる専門的知見は、彼自身が原子力問題の本 − 最初の15日間の緊急事態についての日常的なス
タイルの評論注4を書いて以後に身につけたものである。福島第一原子炉建屋でメルトダウンが始まったときに、彼は戦時中の日本による満州占領についての本を執筆中だったのだ。

注4:川村湊「福島原発人災記−安全神話を騙った人々」

川村は語った。「私は編集者を呼んでたずねました。『あのう、本のテーマを変えてもいいですか』って」。

 この何十年間も日本の出版業界が、東京の官僚たちの宣伝する細部にいたるまで原発推進のメッセージで打ち固められた政策に付き従ってきたと、原子力の専門家たちは指摘する。

 「原子力に関連した本は売れないと、そんなふうに言われてきました」。日本原子力研究所の元研究員、館野淳はこのように語る。彼は2003年に本を著したが注5ほとんど売れなかったのだ。

注5:館野淳「原子力のことがわかる本:原子爆弾から原子力発電まで」

 この分野での科学者と研究者、特に原子力の利用に反対する者たちは、世に知られず埋もれる運命を甘んじて受け入れる以外の選択肢をほとんど持ち得なかった。京都大学原子炉実験所の助教である小出は、原発反対の訴訟を助けまた少人数の市民グループへの講演活動で、その経歴を過ごしてきた。彼はまた、数多くの充実した本を書いたが、それは「放射能汚染の現実を超えて」注6と題する1992年に始まる彼の講演の大部分を集積したもので、売れたのは3000部だったと小出は語った。

注6:小出裕章「放射能汚染の現実を超えて」

 3月11日の災厄は小出の専門知識に対する必要性を押し上げた。いま、彼の講演会は1000にのぼる人々を引き寄せる。インタビューを求める電話は平均して1日に2回かかってくる。テレビにも登場する。しかし彼に及んでいるこの変化について、彼は満足よりもむしろより大きな悲しみであると考えている。

 「私はこの本が多く売れていると聞きました。でも私はこれには複雑な気持ちです」。彼の新著は20万冊も売れているのだが、それについて彼はこう話した。「事故が起こったから売れているのです。この40年間、私はこの分野で、こういった事故が起こらないようにと願って働いてきました。いま恐ろしいことが起こり、だから私の本は有名になっています」。


 話と本の中で、彼は責任について語る。原発事故自体については、彼は政府および原発を運営する東京電力の両者を非難する。規制する立場の者たちと稼動させる者たちの間にある腐敗した関係を非難する。しかし同時に、彼は傍観していた人々をも非難する。実際にこの国の大多数の人々は原子力が安全だという考えを支持していたのだ。

 「騙された人たちもまた騙されことに責任を負っているのだ」。小出はこのようにその著書に書いた。

 彼はその最初の部分で、過去と比較してますます多くの人々が彼の声を聞くようになっていると書いた。「人々は原子力が危険なものだと気づき始めている。たぶん今が、この社会をはっきりと方向転換させようという決定を我々が下すときではないかと思う」。

 これは特派員ヤマモト・アキコとイワタサチコの報告によるものである。

======= 対訳ここまで =======



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