[CML 010734] ある弁護士の玄海町訪問記

河内謙策 kenkawauchi at nifty.com
2011年 7月 15日 (金) 13:23:49 JST


 河内謙策と申します。(この情報を重複して受け取られた方は、失礼をお許しください。転送・転載は自由です。)

 玄海原発2号機、3号機の運転再開に反対する佐賀県民のたたかいに対する支援連帯を呼びかけています。

 私の友人の松島暁弁護士が、氏の所属する自由法曹団の通信に「玄海町訪問記を書いた」と連絡をしてきたので、氏の許可を得て、以下に氏の文章を掲載させていただきます。
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原発の再稼働を止めたい─玄海町訪問記

                                    東京支部 松 島   暁

玄海町へ行ってこよう
 「玄海町へ行ってこよう」と決めたのが、七月六日の夜。
 いま多くの原発が停止したままとなっている。五四基のうち三五基が運転停止中であるうえに、美浜3号機と高浜4号機、柏崎刈羽の1、7号機が、この夏にはそれぞれ定期点検に入る。
 原発推進勢力は、玄海原発2、3号機を再稼働させ、それを突破口に原発稼働の流れを作ろうとしていた。佐賀県では八日に県民説明会を開き、週明け一一日には県議会の原子力安全特別委員会が開かれる予定となっていて、七月中頃には再稼働にGOサインが出されるのではという危機感を覚えた。なにせ原発利権にどっぷり浸かった町長と元自治官僚の県知事なのだから。
 居ても立ってもいられず一〇日に現地で予定されていた「七・一〇原発からの撤退集会」行きを決めた。ところが、決めたとたん、「やらせメール」やら「ストレステスト」発言やらで情勢は一変、七月中の再稼働の危険は遠のいてしまったのだけれど、航空チケットも取ってしまったことだし、一人でも参加者が多い方がよかろうと玄海町行きを決行した。
 会場の玄海町民会館へ向かう車の窓に広がるリアス式海岸、見え隠れする湾内に点在する島々、その風景は、二五年前、誘われて訪れた若狭湾の美浜原発のことを思い出させた。(原発の立地場所は、本当に風光明媚なのだ!)。
 弁護士志望の修習生と裁判官志望の修習生、三人で訪れた美浜原発、一応原発の危険性を学ぶというのが企画者の意図ではあったのだけれど、まさか今回のような事態が現実化しようなどとは当時は思いもよらず、少なくとも私は、ほとんど観光気分で、若狭湾と三方五湖を堪能し、民宿の料理をぱくついただけだったように思う。こんなことになるとわかっておれば、もうすこし真面目に原発の勉強をしておけばよかったのだが、私も「安全神話」に浸っていたということである。

原発問題とは
 会場の町民会館は、オーシャンビューのたいそう立派な建物で、定員三五〇名のイベントホールに四五〇名の人々が参集した。椅子を追加したもののそれでも足りずに、直接床に座り込んでの参加者も多かった。
 武藤明美佐賀県議の司会で始まった集会、最初は、玄海原発の計画段階からほぼ半世紀にわたって反対運動を組織し牽引されてきた仲秋喜道さんの「地元(玄海町)からの報告」だ。禅宗の僧侶(東光寺住職)であり中学の先生で佐賀教組の活動家でもあった。全国各地の様々な運動を仲秋さんのような有名・無名の「知識人」が支えていることを実感する。
 「じぶんが生まれ育った故郷には誰でもそれなりの愛着があるし、郷里を離れている人にとってはなおさら、ふるさとは懐かしいに違いない。だが私にとって玄海町を語ることは正直いってためらいがある。原発問題があるからだろうか。原発問題とは、安全性とか環境問題、エネルギー問題使用済み燃料・廃棄物の処理処分、緊急時対策などいろいろな問題があり、それはそれで厄介だけれどこの地に生活している私にとってはそれ以上のどろどろした現実問題が横たわっている。原発汚職・町政腐敗事件や、度重なる事故と不安、圧力、中傷いやがらせなど人をめぐるトラブルやそれによって生じる人間不信、それをひっくるめて私は原発問題だと考えている。この地に私がすむかぎり、この人間関係を避けて通ることはできない。」(仲秋喜道『玄海原発に異議あり』より)
 原発問題は、環境や科学の問題ではあるのだが、同時に、共同体の問題でもあるような気がする。放射能の危険を考えれば、福島の地を脱出するのが「合理的精神」の選ぶ道なのかもしれない。しかし人々がそうしないのは、単に知らないとか経済的にできないというだけではない、共同体の問題が横たわっているように思われる。

五〇侫丱ぅで全国を
 二人目が菊地洋一さん。福島第一原発6号機、東海第二原発の建設に携わった元GEの技術者で、安全性への不安から原発の仕事から離れ、五〇歳を機に財産を全て処分、一年間の準備期間を経て、五〇侫丱ぅで全国を回りながら原発の危険を訴えている方だ。尚、愛用のバイクはその酷使により遂に寿命を迎え、現在は自転車だそうである。
 計算や図面だけでしか原発を語れない自称「専門家」とは異なり、差別構造を含む現場の作業実態を踏まえた発言には説得力がある。
 三人目が団員でもある仁比聡平前参議院議員。「激動の三週間 世論と運動の力は局面を一変させた」とのテーマでの報告だった。
 岸本町長が再稼働受け入れを撤回し、古川佐賀県知事が再稼働と言えなくなった直接の要因は、九電の「やらせメール」や菅首相の「ストレステスト」なのだが、会場で私の席の直ぐ近くで話していた地元の人の会話、「いやぁー、かつての九電だったら考えられないね。(やらせメールの)内部情報が外に漏れることなんかありえなかったのに・・・・」。それ程、運動と世論は九電の内部にまで「浸透」しているのだ。

玄海町は馬鹿です。でも・・・・
 後半は、会場からの発言。三~五分という司会者からのお願いに応えて、多くの発言が短時間になされた。長くなりそうな発言には、「簡潔に!」という「間の手」がすかさず入ったり、仁比さんには「どうして共産党は五~一〇年などという(悠長な)提案をされるのか」等という鋭い質問が飛んでいた(一部、佐賀訛りか九州弁かで聴取り不能の箇所あり)。
 「玄海町は馬鹿です。自分も馬鹿だと思う。でも、他人からそう言われるとカチンとくるんです」という、最後に発言された地元玄海町の女性の声に、「それよくわかる!」と、内心で目一杯の拍手・喝采をおくってきた。
                               以上

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弁護士 河内謙策 〒112-0012東京都文京区大塚5丁目6番15-401号
保田・河内法律事務所(電話03-5978-3784、FAX03-5978-3706)
Email: kenkawauchi at nifty.com
脱原発の国民投票をめざす会
http://2010ken.la.coocan.jp/datsu-genpatsu/index.html

 

 
 



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