[CML 007384] 羽澤ガーデンで現場検証記念フォーラム=東京・港(下)林田力
Hayariki
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2011年 1月 30日 (日) 10:37:14 JST
【PJニュース 2011年1月29日】第三部「講演 羽澤ガーデンの美の文脈」では羽澤ガーデンの保存について議論した。最初に斎藤驍弁護士から司会をバトンタッチされた福川裕一・千葉大学大学院教授が江戸時代からの羽澤ガーデンの周辺環境をスライドで紹介した。
前野まさる・東京芸術大学名誉教授は東京芸大赤レンガ1・2号館の保存活動を説明した上で、「文脈として大切なものは保存していかなければならない」と力説した。この場合、羽澤ガーデンの文脈が何かが問題になる。前野氏は「羽澤ガーデンは江戸の風景を背負っている」とし、「江戸から現代にかけての日本の都市のあり方を示したもの」と結論付けた。
前野氏の主張を承けて小畑晴治・日本開発構想研究所理事が羽澤ガーデンの持つ江戸の景観の価値を説明した。まず小畑氏はガーデンシティを田園都市と訳すことは誤りとし、ガーデンシティは江戸の町をモデルにしていると指摘した。幕末の英国駐日公使オールコックは緑と調和した江戸の町の美しさを絶賛した。同じく幕末の日本を訪れた英国の植物学者ロバート・フォーチュンは狭い路地でも庶民が園芸を楽しんでいることに驚いている。
このように江戸の景観美は海外からも高く評価されていた。しかし、明治政府は自らを美化するために江戸時代的な要素を否定すべきもの、劣ったものと逆喧伝した。そのために肝心の日本では江戸の美しさが忘れ去られてしまった。これからの都市には日本庭園的な発想が必要であるとまとめた。
http://news.livedoor.com/article/detail/5304885/
http://www.pjnews.net/news/794/20110126_4
続いて鞆の浦住民代表の松居秀子氏が住民運動の連携の意義を語った。画期的な差止判決を出した鞆の浦の住民運動には20年の歴史がある。その歴史の中で全国的に取り上げられるようになった時期は最近に過ぎない。同じように重要でありながら全国的なマスメディアから無視されている運動は数多い。過疎化を問題視する声があるが、これからは日本全体が過疎化していく。従って今から大都市の真似をして開発しても仕方がない。住民運動同士が手を携えて開発優先・住民運動軽視の傾向を変えていきたいと語った。
これを踏まえて、前野氏は江戸時代の港湾施設のある鞆の浦と武家屋敷の伝統を活かした羽澤ガーデンには江戸の景観という共通点があると指摘した。また、斎藤弁護士は公共事業差止訴訟で勝訴した鞆の浦と近隣住民による裁判や反対運動でマンション建設工事を停止させている羽澤ガーデンが手を結ぶことには大きな意義があると述べた。
歴史や文化・景観など多岐に渡ったフォーラムは羽澤ガーデンの重要文化財への指定を要望するステートメントを発表して幕を閉じた。今度の「現場検証・鑑定記念フォーラム&コンサート」でも興味深い議論が期待できる。【了】
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『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力
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