[CML 007275] 二子玉川ライズ文書非開示に意見書提出(下)林田力

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2011年 1月 18日 (火) 21:39:31 JST


【PJニュース 2011年1月18日】憲法では「まちづくり参画権」を条文に明記していない。保守的な憲法観では条文に存在しない権利を認めることに消極的である。実際、二子玉川ライズの差し止めを求めた訴訟の控訴審判決では以下の論理で環境権や「まちづくり参画権」を否定した(林田力「二子玉川ライズ差し止め控訴審判決は上告へ(上)」PJニュース2010年11月18日)。
http://news.livedoor.com/article/detail/5147856/

「環境権や住民の『まちづくり参画権』を認めるべき憲法上の根拠は見出せないし、これらが憲法上の権利として成熟しているということもできない」

「まちづくり参画権」が憲法上の権利として成熟しているか否かの認識は住民と裁判所で大きなギャップがある。しかし、そもそも新しい人権は成熟するまで認めないという発想は日本国憲法の起草者意思とずれている。内閣法制局で日本国憲法制定に関与した大友氏は連合国軍総司令部の基本的人権に対する意図を以下のように解説する。

「基本的人権は限定されたものではなく、根源的かつ広範なものであることを日本国民によくわかるように示そうとした。……例えば、日本国憲法第11、12、97条において基本的人権は、いわば何か大きいもの、つまり根源的包括的なものとして書かれ、個別的存在ではないことが示されている。また、各人権規定についても、広く根源的なものとして定められている。」(庄司克宏編「日本国憲法制定過程-大友一郎講義録(2)」法学研究第83巻第8号、2010年、140頁)

基本的人権を条文に明記される権利に限定して解釈する方が、日本国憲法の制定当時の思想に反している。また、自治体レベルでは「街づくり参画権」は広がっている。札幌市自治基本条例は以下のように定めている。

第4条「まちづくりは、市民が主体であることを基本とする。」
第5条「まちづくりは、市民の参加により行われるものとする。」
第6条「すべての市民は、まちづくりに参加することができる。」
http://news.livedoor.com/article/detail/5276317/
http://www.pjnews.net/news/794/20110116_3

静岡市自治基本条例は以下のように定めている。
前文「主権者である私たちは、まちづくりの主体であることを強く自覚し、自立した市民として、私たち自身で、又は私たちが信託した市議会と市の執行機関と協働して、私たちとこのまちを共に成長させながら、世界に誇れる自立した静岡市を創造することを誓い、ここに静岡市のまちづくりにおける最高規範として、この条例を制定します」
第8条「市民は、まちづくりに参画し、その結果を享受する権利を有する」

篠山市自治基本条例は以下のように定めている。
第10条「市民は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参画する権利を有する」
意見書は「東京都は、その先進的な規範を示すべき立場にあります」と述べている。東京都が「街づくり参画権」保障の模範を示せるのか、東京都情報公開審査会の判断が注目される。【了】
『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力


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