[CML 007273] 尖閣沖漁船衝突事件(その八)

河内謙策 kenkawauchi at nifty.com
2011年 1月 18日 (火) 14:52:02 JST


 河内謙策と申します。(この情報を重複して受け取った方は失礼をお許しくださ
い。転送・転載は自由です。)

 私が発信した「尖閣沖漁船衝突事件について(その七)」で、古森義久氏の記事を
引用してアメリカの世界戦略の変化に注意を呼びかけたところ、何人かの方から質問
がきましたので、補足的に説明させていただきます。

 まず、私が引用した古森氏の記事は以下のとおりです。
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5178?page3
 古森氏が引用しているレポートの原文の筆者とタイトルは以下のとおりです。
  Michael Auslin , Security In The Indo-Pacific Commons
  この原文(英語)はアメリカン・エンタプライズ・インスティテユートの以下の
サイトに掲載されています。
 http://www.aei.org/papers?page=1&rid=19
 このレポートは、アメリカ国防総省の正式の決定を経ているのかどうかは知りませ
んが、従来のアメリカの動きを集約していると考えられること、最近出たナイやアー
ミテージの居丈高な発言(『文春新書』)とほぼ合致すること、このレポートは単な
る一研究者の学術論文ではないこと、から考えて、国防総省の主流の考えを表明して
おり、今後大きな影響をあたえるものと判断しました。

 私が上記の情報を発信したのは、1月12日でしたが、翌日近所の食堂で産経
新聞の記事を見てびっくりしました。1月13日付産経新聞朝刊の1面に櫻井よしこ氏
が「対中戦略はないのか」と発言しているのですが、その発言の最初が「太平洋およ
びインド洋で国家の盛衰をかけた闘いが展開されている」と書かれているからです。
さらに読むと、最近保守系のシンクタンクの中で影響力を強めている国家基本問題研
究所が、昨年12月にインドを訪問し意見交換を開始している、と書いているのです。
立場は違うが、その行動力には脱帽です。
 櫻井よし子氏の発言は、以下のサイトで読めます。
 http://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-date-20110113.html
 国基研のインド訪問は以下のサイトにアクセスしてください。
 http://jinf.jp/news/archives/4151

 上記文献から明らかなとおり、アメリカが本気になって対中国包囲網の結成に動き
始めていることは間違いないと思います。そうだとすれば、尖閣問題も、
対中国問題も、沖縄問題・普天間問題もこの動きを抜きにして論じることはできない
でしょう。日本の大軍拡、その財源作りとしての消費税増税も関連をもってくるで
しょう。アメリカの議会が憲法改正に積極的になってきたというニュースも要注意で
す。
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5018
 日本のマスコミは、対外関係・国際問題については極めて分析が弱く、デマ宣伝も
するので要注意ですが、またまた、菅首相がこの春に訪米して普天間が棚上げになり
そうだ、というデマ宣伝を開始しています。菅首相が普天間問題の若干の期間の「棚
上げ」と引き換えに、アメリカの中国包囲網に喜んで参加しようとしている危険につ
いてまったく触れないのは、本当に歯がゆいことです。

 一方、中国は、インド・カシミールで、北朝鮮で、新年早々危険な動きをはじめて
います。ASEANの懸命の努力も始まっています。今年は、昨年以上に、日本の平和主
義者の対米認識・対中認識の内実が問われる年になるようです。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0117&f=politics_0117_002.shtml
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110117/kor11011713480005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110117/asi11011717410003-n1.htm


河内謙策 〒112-0012  東京都文京区大塚5-6-15-401  保田・河内法律事務所
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