[CML 007259] 阪神・淡路大震災16年にあたって−“復興災害”を食い止めよう!ー

兵庫県震災復興研究センター td02-hrq at kh.rim.or.jp
2011年 1月 17日 (月) 14:56:19 JST


2011年1月17日
兵庫県震災復興研究センターの出口俊一です。

阪神・淡路大震災16年にあたって
−“復興災害”を食い止めよう!ー
 16年前のあの日、1995年1月17日は、気温3.4℃、北東の風4.6mの寒い日でした。今日もあの日と
同じように冷え込みのきつい日となりました。心を寒くした記憶は薄れていきます。街に残る被災の傷跡も減りま
した。阪神・淡路大震災(大震災)は少しずつ遠ざかっていきますが、1月17日は、特別の雰囲気を醸し出す
日です。6434人もの人びとが犠牲になられたからかも知れません。

大震災16年と“復興災害”
 2011年1月17日、大震災から16年(5844日)が経ちました。しかし、16年経ったいまもまだ大震災は終
わっていません。仮設住宅解消までの5年間、被災者の孤独死は233人、復興公営住宅入居開始からの11
年間の孤独死は681人、合わせて914人を数えています。
 大震災の被災地と被災者をはじめ、全国各地の心ある人びとの「不断の努力」(日本国憲法第12条)の
賜物として被災者生活再建支援法の制定(1998年)と二度の改正により成果を上げてきている一方、この
16年間の復興過程において行政などの不適切な対応により追加的にもたらされる被害が発生することが明ら
かになってきました。
 /生誘港の破綻
 ⊃慶硬脹愼鄰篭茲虜導発
 震災障害者
 た椋劵▲好戰好犯鏗
 ズ匈下綣圓里修慮紊量簑
 など数多くの問題です。兵庫県震災復興研究センター(震災研究センター)はそれらを総称して“復興災害”
と呼んできました(兵庫県震災復興研究センター編『大震災15年と復興の備え』、2010年4月17日)。
 この間、“終の棲家”(人生最後の住まい)として入居した復興公営住宅での家賃滞納を理由に強制退去さ
せられる事例が急増、2009年4月からはこの事態に追い打ちをかけるような神戸市営住宅の家賃減免改変、
その上今後、神戸市では「借上公営住宅」からの“住み替え”称する追い出しが計画されており、入居者に不安
が駆り立てられています。新たな“復興災害”がつくり出されようととしています。
 大震災の復興公営住宅として、民間住宅やUR住宅が借り上げられ、多数の被災者が入居していますが、いま、神戸市は契約期間が終わるという理由で、転居(住み替え)を迫っています。被災者の声も聞かないままに、立退きを迫るのは、高齢の被災者の健康や安心を脅かす重大な問題です。
 孤独死が多発する中で、復興公営住宅でのコミュニティが大切ということは、大震災で明らかになった重要な教訓です。震災から16年も経て、住まいの安心が行政の手によって脅かされる事態はなんとしても避けなければなりません。

1・15シンポジウム
“今なぜ、「借上公営住宅」からの追い出しか−安心して住み続けられる復興住宅を−”に130人が集う
 「借上公営住宅」からの追い出しを食い止めようと1月15日、神戸市内でシンポジウムを開きました。8都府県(東京、新潟、石川、愛知、京都、奈良、大阪、兵庫)から130人が集い、問題のありかと解決の道筋を話し合いました。参加いただいた方から、率直なご意見が寄せられました。
 ○阪神の被災地でいま、何が起こっているかがわかった。
 ○すべての人の人権を守らなければならないと、強く感じた。入居者の方のお話を聞いて、何度も涙があふ
  れそうになりました。被災者の方が、安心して住み続けられるように何とか解決してほしい。
 ○首長の政治家としてのリーダーシップの有無が明らかになりました。16年経って、原点に戻って考えること
  と、大きく立場や意見を異なることになった者同士が議論することも重要になって気がします。吉本隆明が指
  摘した「小さなことがらから思考を組み立て直す」ことも大切に思えます。

 当日、提案した「要求・政策の方向」と「“復興災害”を食い止める取り組み」は、以下の通りです。

要求・政策の方向−機械的住み替え策を見直して、居住権の保障を−

 2010年12月22日(水)、宝塚市の中川智子市長が、12月28日(火)には兵庫県の井戸敏三知事が、借上
住宅の買い取り検討を相次いで表明しました。井戸知事は2011年1月7日(金)の定例記者会見でも重ねて買い取りの検討を表明しました。宝塚の中川市長は、「金銭面で入居者の不安は高まっている。市の方針を早めに伝えて安心させたいと考えた」(「神戸新聞」2010年12月23日付)と記者会見で述べています。
 「クリスマスプレゼントとお年玉をもらったようだ」と、ある被災者と支援者の弁です。このような首長のメッセージが、重要な 「心のケア」になります。取り組み始めて7か月経った2010
年の年の瀬、「借上公営住宅」問題の情勢は大きく動きました。
 神戸市の「借上公営住宅」機械的住み替え策は、手続面でも内容面でも問題があり、改めて入居者の意向を聞き、その意向を尊重することに立ち戻らなければなりません。「画期的」とか「広めていくこと」が期待された「借上方式」を継続するためには、各オーナーとの間で新たな契約を交わすことも視野に入れ、再検討することです。国土交通省総合住宅整備課の担当者は2010年12月9日(木)、問い合わせに対して「新たな契約を交わしていただいたら可能です」との回答をしました。期限延長・契約更新は、法制度上、可能であること。また、民間オーナーの圧倒的多数は、期限延長を求めていること。唯一残るのは、神戸市長の政治決断です。いまからでも遅くはありません。被災者の居住権を保障するには、いまここでいったん立ち止まって、機械的住み替え策の見直し・再検討を行い、入居者の意向を尊重することです。

“復興災害”を食い止める取り組み

 このまま機械的住み替え策が強行されていけば、大震災から16年も経って被災自治体の施策によって新たに被災者に困難―大震災から四度目の住み替え―を強いることになります。これでは、大震災からの復興の過程で発生させる“復興災害”と言わざるを得ません。自然災害は食い止めることはできませんが、復興災害は、人間社会の成すことですから、人びとの力で食い止めることができます。改めて、被災地と被災者の「不断の努力」により「大震災被災者の最後の一人まで救済を!」現実のものにしていかなければなりません。
 そこで、1月15日のシンポジウムの「主催+協賛団体」(22団体)が周りに賛同の輪を広げ、それぞれの知恵と力を発揮するとともに持ち味を生かし、相互に相談しながら具体的な取り組みをすすめていきます。
 以下に、考えられる具体的取り組みを列記しておきます。

     (1)引き続き、入居者へのビラ配布をすすめます。
      12月18日(土)から自発的に増し刷り&配布が開始され、現在の状況は、次の通りです。  
      ‥貽膓茵複隠横杏堯豊灘区(300部)HAT神戸脇の浜(中央区)+フレール鷹取(1000部以上)
      つ硬超茵椰榾甼茵複横娃娃杏堯豊ニ牟茵複横娃杏以上)/3620部(県営住宅を含む)以上配布され
      ました。あと、γ羆区(320部)と兵庫区(1030部)で合計(1350部)が残っています。

      (2)入居者支援を目的にした各種懇談会やシンポジウムを開催します。

     (3)神戸市会への再度の「陳情書」を提出するとともに、口頭陳述を行います。
       2月議会は、2月中旬から1か月余り開かれます。

   (4)神戸市長への“公開討論会”の申し入れを行います。

    (5)神戸市の第2クール(2011年春以降の予定)の説明会を傍聴します。

   (6)宝塚市や兵庫県の方策を支持し・広める取り組みとともに西宮、尼崎、伊丹の各市長と市議会への
       働きかけを行います。

   (7)肝心な情報の公開を促進します。

 当日の「基調報告」 (48ページ)など資料が必要な方には、ご連絡下さい。1部500円+送料80円です。

【連絡先】
兵庫県震災復興研究センター
650-0027
神戸市中央区中町通3-1-16、サンビル201号
電  話:078-371-4593
ファクス:078-371-5985
Eメール:td02-hrq at kh.rim.or.jp
ホームページ:http://www.shinsaiken.jp/
携 帯:090-5658−5242
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【資 料】 
◆「時事通信」(2011年1月16日付)
 曲がり角の復興施策=市民も防災訓練重視にシフト−阪神大震災、17日で16年
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011011600080
 多くの犠牲者を出した阪神大震災から17日で16年。兵庫県や神戸市などの復興施策は一応の区切りをつけ、次の段階に向かい始めているが、「被災者の実情にそぐわない」との批判も出ている。一方、市民による追悼行事では防災訓練が増え、いつ起こるか分からない災害への備えを重視する方向に変化しつつある。
 震災後、自治体は被災者向けに、旧住宅・都市整備公団などから借り上げて公営住宅として提供。2015年以降に順次、契約期限(20年)を迎えるが、住み替えをめぐり自治体によって対応が分かれている。
 神戸市の姿勢は強硬で、約3600世帯の入居者に、別の市営住宅などに住み替えてもらう方向で住民説明会を進めている。これに対し、30世帯しかない宝塚市は延長契約を決定。県は当初、38団地、約2200世帯全てに住み替えてもらう方針だったが、住民の不安に配慮し、1棟単位で借りている9団地の約700世帯分については買い取りを検討している。
 住み替えにより、生活環境が大きく変わる被災者も多いとみられ、県震災復興研究センターの出口俊一事務局長は「特に高齢者の不安は大きい。神戸市は姿勢を改めるべきだ」と批判している。
 一方、市民レベルの追悼行事実施を呼び掛ける「市民による追悼行事を考える会」によると、追悼イベントの総数はこれまでと変わらないが、借り上げ住宅問題のシンポジウムや防災セミナー、消防署による研修など、防災訓練が増えているという。
 考える会事務局は「単なる法要などではなく、再生への思いや教訓をより有効に伝えたいという方向に意識がシフトしているのではないか」と分析している。(2011/01/16)

◆「産経新聞」(2011年1月16付)
  震災復興住宅を考える 入居者ら参加 神戸でシンポ
  http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/hyogo/110116/hyg1101160207001-n1.htm
 阪神大震災の被災者向けに神戸市などが20年契約で借り上げている復興住宅の入居期限が近づいている問題で、市民団体「県震災復興研究センター」は15日、県私学会館(神戸市中央区)で、シンポジウム「今なぜ、『借上公営住宅』からの追い出しか」を開催した。
 シンポジウムでは、同センターの出口俊一事務局長が基調報告。神戸市が借り上げ期間を20年とする契約を結んでいることを理由に、居住者の転居を求めていることについて「借地借家法上、20年という期限は契約を更新すれば問題なく、こだわる必要はない」と主張。「入居者の意向調査をもう一度すべきだ」と意見を述べた。
 参加の復興住宅の入居者も現状を報告。同市兵庫区の無職、安田秋成さん(85)は「20年で転居しなければならないと聞いてこん棒で頭を殴られたようだった」とした上で「地域のつながりを断ち切り引き離されるのは死ねというのと同じ」と怒りをあらわにした。
 また、同市中央区の警備員、岡田一男さん(73)は、震災で負った足の障害を抱えながら復興住宅を見つけた苦労を振り返り、「ようやく見つけた住み心地のいい場所を離れたくない」と心境を語った。

◆「神戸新聞」(2011年1月16付)
 借り上げ復興住宅返還、入居延長訴え 神戸でシンポ 
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003740951.shtml
 阪神・淡路大震災の被災者向けに兵庫県と神戸市などが民間などから借り上げた復興住宅の返還問題について考えるシンポジウム「今なぜ、『借り上げ公営住宅』からの追い出しか」が15日、神戸市中央区で開かれ、約100人が参加した。住民は迫られる転居への不安を訴え、入居継続を求めていくことを確認し合った。
 市民団体「兵庫県震災復興研究センター」の主催。借り上げ住宅は約6700戸で、2015年度から順次返還期限を迎える。公営住宅と同水準の家賃が、返還後は民間並みになるため、多くの住民が転居を余儀なくされるとみられる。
 シンポでは、神戸市中央区の県営借り上げ住宅に住む男性(70)が思いを語った。全壊した自宅の下敷きとなって右足を負傷し、障害は残ったが、懸命のリハビリで歩けるようになった。「抽選で外れ続け、ようやく入れた住宅。生活にもなれ、最近は隣近所の人と話をするようになったのに…。もう少し住まわせて」と訴えた。
 また、「住民同士助け合っている。引っ越せば生きていけない」「財政負担の軽減という理由で、住民の居住権を奪うのはおかしい」などの意見が出た。(岸本達也)
【特集】阪神・淡路大震災

◆「毎日新聞」(2011年1月14日付)
 阪神大震災:借上公営住宅の解決模索 あす、神戸でシンポ 
 http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20110114ddlk28040314000c.html
 阪神大震災(95年)の被災者のため、神戸市などが民間オーナーらから20年契約で借り上げた復興住宅の返還期限が近付いている問題で、県震災復興研究センターが15日、シンポジウム「今なぜ、『借上公営住宅』からの追い出しか」を神戸市中央区の県私学会館で開く。
 シンポジウムでは「住まいの安心が脅かされる事態は避けるべき」との観点から、問題の解決方法を模索する。同センターの出口俊一事務局長が「大震災16年と借上公営住宅問題」と題して講演するほか、入居者や神戸市議会議員、国会議員らを招いてパネルディスカッションを行う予定。
 午後1時半〜午後5時、資料代1000円(学生は500円)。出席希望者は14日までにファクス(078・371・5985)かEメール(td02‐hrq at kh.rim.or.jp)で申し込む。当日参加も可能。問い合わせは同センター(078・371・4593)。【石川勝義】
〔神戸版〕





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