[CML 007248] 中国人権情報(11)
河内謙策
kenkawauchi at nifty.com
2011年 1月 16日 (日) 19:23:01 JST
謹賀新年
河内謙策です。遅くて申し訳ありませんが、新年の挨拶をさせていただきます。
昨年は、5月に中国人権派弁護士との接触に成功し、秋には劉暁波のノーベル平和賞
の受賞という嬉しいニュースに接し、私にとっては非常に意義深い年でした。今年
も、
不定期で申し訳ありませんが、中国の人権についての情報を送信させていただきます
ので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
今日は、最近出版された本の推薦をさせていただきます。(すでに入手済みの方に
は申し訳ありません)
*渡辺浩平編『中国ネット最前線 『情報統制』と『民主化』』蒼蒼社
この本は、中国の人権問題に関心を持つ人にとっての必読本といっても過言ではな
いと思います。
私は、この本を読むまでは、中国のインターネット事情につき、当局とネットユー
ザーの激しい争いが続いている程度の認識しかもっていませんでした。ところが、こ
の本を読むと、その激しい実態に驚くとともに、ツイッターのユーザーが10万人にの
ぼっていること、そのツイッターの「つぶやき」には、当局の規制がほとんど及んで
おらず、その結果、そこにおいて中国人の本音が飛び交う、すばらしい政治・言語空
間が形成されていることが初めて分かりました。
ふるまいよしこさんは、すでにこのことをネットで報告されていました。
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report4_2271.html
中国のネット論壇の旗手と呼ばれる安替(アンティ)氏は、『週刊東洋経済』2010
年11月6日号58頁で、次のように述べています。
「ツイッターは、中国で初めての、100%自由な発言ができる場所なのだ。たとえ
140字という小さなスペースであっても、とても重要な意味を持つ。」
「天安門事件があった1989年、私は14歳だった。当時の日記を見ると、共産党を賞
賛し学生を非難している。南京で生まれ育ったので教育はすべて反日的で、私は完全
なナショナリストだった。その私をリベラリストに変えたのは、インターネットを通
じて得られる自由な情報だった。」
「情報はトーチ(たいまつ)のようなもの。世代を超えて広がっていく。民主主義
という考えは89年に死んだわけではない。ネットを通じて今も私たちの世代に受け継
がれている。私たちは同じ価値観を共有しており、その価値とは民主主義であり自由
主義である。」
新年なので、もうひとついい話を。
2008年に芥川賞を受賞した中国人作家楊逸(ヤン・イー)が『文藝春秋』2011年2
月号に、「一刻も早く自由にものがいえる世の中になり、民主化が実現してほしい。
祖国を愛するがゆえに、心からそう願います。」と書いています。そして、このよう
な発言をする動機につき、「私はこれまで中国に関する政治的発言を控えてきまし
た。しかしこれ以上黙っていてはかえって祖国のためにならない、と思うようになっ
たのです。きっかけは、作家であり民主活動家の劉暁波氏のノーベル賞受賞です」と
書いています。
河内謙策 〒112-0012 東京都文京区大塚5-6-15-401 保田・河内法律事務所
(電話03-5978-3784、FAX03-5978-3706 Email: kenkawauchi at nifty.com)
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