RE: [CML 007451] 用心棒たちはムバーラクを救えない(P-Forumからの転送)

T. kazu hamasa7491 at hotmail.com
2011年 2月 5日 (土) 01:55:31 JST


ni0615です。
[CML 007450] [TUP-Bulletin:0019] 速報878号 エジプト民衆蜂起ウォッチング@ロン
ドン (その4)(転送)
[CML 007451] 用心棒たちはムバーラクを救えない(P-Forumからの転送)
重要と思われたので、リストページ用に手動改行しました。
 
 
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[CML 007450] [TUP-Bulletin:0019] 速報878号 エジプト民衆蜂起ウォッチング@ロンドン (その4)(転送)
 
TUP速報878号 エジプト民衆蜂起の転送です。(重複失礼)松元
 
◎ メガリークの衝撃:ロンドンで聞くエジプトの声 その4
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
刻々と変化するエジプト情勢から目が離せず、家にいる限りはテレビをつけっぱなしに
してウォッチングしています。それらの一部をタイプして自分のブログ
http://newsfromsw19.seesaa.net/
に掲載し、TUPのMLにも流したところ、メンバーからTUP速報の読者とも共有しよう
との提案があった。そんなわけで「エジプト民衆蜂起ウォッチング@ロンドン」第四弾
を速報します。
 
第一弾~第三弾(速報875号~877号)はTUP速報のホームページでお読み下さい。
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=907
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=908
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=909
 
藤澤みどり/TUP
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<第8信>
2011年02月03日 21.00 GMT (日本時間 04日 6:00)
革命なう@エジプト第10日
8.00 GMT
 
現地時間で朝10時。人々が続々とタフリール広場に向かっている。広場は夕べ、反ムバ
ラク側が死守したので、いまも広場をコントロールしているのはかれら反政府側だ。
 
昨日の午後から激化したバトルは夜を徹して続いた。800人以上が病院で手当を受け、
死者は5名(他にも4名、6名という説がある)。うち頭に銃弾を受けていた死者が4名。
タフリール広場の中で負傷した人たち全部は救急車で運び出しきれず(周りをムバラク
支持者が固めていた)、多くが広場や近くのモスクで仮の手当を受けただけなので、実
際の負傷者はもっと多いだろうとのこと。
 
(後述>頭を銃撃されて死亡した4名はおそらく全員プロテスター側で、夜のうちにス
ナイパーに狙い撃ちにされたのではないか。トルコ籍のガザ支援船がイスラエル海軍に
襲われたときの急襲部隊の手口を思い出させる。残りの1名は夕べ橋から落ちて死んだ
ムバラク支持側だと思う)
 
攻防の最前線はタフリール広場の北側にある国立考古学博物館前の路上。そこからナイ
ル川にかかる橋の上あたりまでにムバラク支持派が集まり、タフリール広場側にいるプ
ロテスターに向かって火炎瓶などを投げていた。いま現在、広場側には仮のバリケード
が築かれ、ムバラク支持側とのあいだには30~50メートルぐらいの緩衝地帯、そのあい
だにムバラク側に顔を向ける形で銃を降ろした状態の兵士が立っている(ように見える)。
 
エジプトの軍は(どこでもそうですが)国民を守る訓練をされているので、反政府側も
ムバラク支持側もどちらも守るべき国民という立場を変えていない。しかし、朝の兵士
の配置やムバラク支持派へのボディチェックの様子など見ると、どちらが武器を持って
いるかが明らかになったいま、自ずと守るべき方向が決まったように見える(そうであ
って欲しいという願望ですが)。
 
(後述>この緩衝地帯は後にもう少し広げられ、中央に軍用車、兵士は両側にラインを
作り、人々の側に顔を向ける形で配置されている。また、博物館のキュレーターの話と
して、博物館は何のダメージも受けていない、パーフェクトに守られているとのこと)
 
*
ムバラク支持者側の抗議行動は非常によくオーガナイズされている。反政府側が手作
りのバナーを持ち寄って集まっているのに比べ、ムバラク支持側は印刷物のバナーを
用意してあった、と。また、トラックに乗り合わせて広場に乗り付けるなどしている。
 
BBC24では、タフリール広場にいる(いた?)エジプト系イギリス人俳優のハリド・ア
ブダッラーが電話でインタビューに答えている。前に(夜のうちに?)録音されたもの
のようだ。「銃撃の現場を見た。銃撃された人が救急車で運び出されるところを見た。
男性が頭に直接銃撃を受けるところも見た。非常に疲れている。友人はわたしたちに食
べ物を運んでくることさえできない」と。
 
ハリド・アブダッラーは若い舞台役者兼演出家で、『ユナイテッド93』でハリウッド
デビューし、『カイトランナー』で主演。近作の『グリーンゾーン』ではイラク人通
訳の訳でマット・デイモンと共演している(準主役)。頭の切れる非常にうまい役者
だが、マイノリティなので西欧の映画では役が限られるのが残念。息子の学校の卒業
生なので他人のような気がせず(笑)、そんな危ないところにいないで早く帰ってき
なさいと、ついお母さんの気持ち。
 
*
昨日は夕方家に戻ってからアルジャジーラ・イングリッシュをつけっぱなしにして、
時々BBC24とSKYニュースに切り替えたりしながら家事と夕食のあいまに適宜ブログを書
き足していたのに、夜中のアイロンかけ中にデスクトップがフリーズ。再起動したら当
然のことながら全部消えた。泣く。今日は用心のため、まずワードでタイプしている。
 
* 9.30 GMT
 
SKYニュース。タフリール広場、昨日の朝まではプロテストと言うよりもほとんどお祭
りのようだったのに、いまやここは戦場と言っていいと思いますとレポーター。
 
ロイターの記者の証言「ムバラク支持者はナイフや棒を持参している」。別の証言(だ
れだか忘れた)では、数百人の囚人がムバラク支持派に加わることと条件に解き放たれ
ており、また、私服警官も多数混じっているとのこと。これらのレポートをBBCもSKYも
放送している。
 
*
イエメンなう> 2万人が路上に出ている。ただし、反政府側と政府支持の両方が出てい
るので、実際に反政府側がどのぐらいいるかはわからない。いま現在はストリートでの
行動は終わり、大学生たちは大学の構内で平和的にシットインしている。昨日、30年以
上大統領だったサレハが2013年の大統領選には出馬しないと表明したが、とてもそれま
で待てない、いますぐ大統領職を去り、政治転換をと、求めている。
 
*
BBCによると、事態を収拾させるために副大統領が反政府勢力(野党だけではない)と
話し合いを開始すると国営テレビで語ったようだ。また、首相はこの衝突について遺憾
の意を表したが、政府機関がかかわっているとの指摘は否定した。
 
EUとエジプトの二重国籍者というツーリストのレポート。英語がうまいからたぶんイギ
リス人だろう。昨日の昼を回ったころからムバラク支持派が広場近くに集まり始め、午
後2時ごろからクラッシュが勃発した。ムバラク支持者は近くのビルの(改装のために
建てられていた)金属製の足場を解体して武器にしていた(重くて長くてとがっている
ので、これは非常に危ない)。
 
もう6年も住んでいるエジプト系イギリス人のビジネスマンの話。事業もあるし工場も
家もここにあるし家族もいるが、帰国するタイミングかもしれない。先行きが不安だ。
 
*
反政府側は武器を持ち込ませないことに関しては徹底していて、昨日までは広場に入
るために荷物検査やIDチェックを受けなければならず、プロテスターの扮装をした警官
その他が追い返されていた。今朝からはチェックはさらに厳しくなっており、武器の持
ち込みは厳格に禁じられている、とのこと。そのため、棍棒と鞭と銃で武装したムバラ
ク支持側に対するプロテスター側の武器は、石と舗道の敷石。
 
* 10.03 GMT
AFPのレポートによると、ムバラク支持派はアーミーラインを越えた、とのこと。博物
館前の最前線のこと。(後述>これは後にアーミーが押し返して、緩衝地帯を広げた)
 
UK、フランス、スペイン、ドイツ、イタリアが共同で声明を発表。この事態に対して最
大級の憂慮を表し、政権移行手続きをすぐに始めるように、またすぐにこの事態に対処
するようエジプト政府に要求する内容。特に外国人のジャーナリストがターゲットにな
り、多数負傷していることを非難するもの。(外国人ジャーナリストをターゲットにし
ているのはムバラク支持側。アレクサンドリアでもジャーナリストが組織的に襲われ、
負傷している)
 
* 10.40 GMT
ハリド・アブダッラーがBBCのインタビューに答えている。ハリドは広場に昨日もいた
し、いまもいる。そして、このプロテストが始まった最初からデモや集会に参加してい
たようだ。銃撃が始まったのは夜中に2時過ぎぐらいからで、心理的にも肉体的にも非
常に恐怖感を味わった。男が撃たれて死ぬのも見た。男の頭から脳みそがこぼれだした。
 
「わたしは慎重に言葉を選んで話しているが、こちら側が捕まえて軍に引き渡したム
バラク支持派は軍事警察のIDを持っていた。また、やくざのボスに行けと言われてきた
と白状する者もいた」
 
「自分たちはここを動くつもりはない。暴力を開始したのはムバラク支持派であり、
こちら側はずっと平和的に1週間以上にわたって訴えてきただけだ」(非常に明晰で力
強いインタビューでした。あとで見つけたら持ってきます)
 
11.25 GMT
BBCのジェレミー・ボーマン「広場の中を歩いてみたが、包帯を巻いたりなど負傷して
いるものが非常に多い」
 
* 12.50 GMT
いま聞いたBBCのレポートによると(記者の名前忘れた)、いま前線があるのとは別の
カイロの一角、ムバラク政権に近い人々が住む高級住宅地にサポーターの一人(大金
持ち)を取材に行った帰り、その地域で取材班の乗った車が警察に停められた。このプ
ロテストが始まって以来、制服の警官の姿を見たのはそれが初めてだった。そして、長
々調べられたあとで手錠をされ、秘密警察に連れて行かれて取り調べのうえ、3時間後
に解放された。
 
アレクサンドリアにいる記者のレポート。ムバラク支持者が外国人ジャーナリスト狩
りをしているようだ。それらしい車を見かけると停めて、乗っている記者等を路上に
放り出して車の中を調べたり、暴力に及ぶこともある。
 
*
ニュースのたびにコンファームされた死者の数が増える。1時間前は8人、いまは10人に
なったと言っている。昨日から今日の24時間、カイロだけで。
 
* 17.00 GMT
プロテストが始まって以来、教育のある若者たちがこの抵抗運動をリードしているの
だと聞いて知ってはいたものの、いまひとつ確信がなかったが、今日、ハリド・アブ
ダッラーがこのプロテストに最初からかかわっていたことを知って、それがほんとう
なんだと得心がいった。フェイスブックの4月6日ムーブメントには7万人が登録してい
ると言うが、ハリドのような海外で生まれ育った若者もきっと多いのだろう。ミドルク
ラス出身でケンブリッジ卒の将来のあるプロの役者、かれはこの民主化運動が描く若者
像にぴったりじゃないか。
 
テレグラフが1月29日に報じた在カイロ米大使館公電の暴露(@ウィキリークス)は、ア
メリカがこの運動のバックについているかもといった内容だった。アメリカがバックア
ップする若者たちが反対勢力をまとめ、反対勢力どうしがイデオロギーを越え、政府の
圧政に反旗を翻すことで一致していると。そして、今年の大統領選前に体制を変える計
画だと。
 
しかし、その公電の執筆者である大使は、そのような運動が成功するとは信じがたい
と書き、それどころか、もしかするとそんな運動は存在しないかもしれないとさえ書
いている。若者たちを側面から支えることはしたかもしれないが、計画の実現の可能
性が低いと踏んでいた。つまり、アメリカはこの4月6日ムーブメントをつかみ損なった
ってことだ。そんなわけで、この件をめぐるヒラリーとオバマの対応は常にちぐはぐで
あり、常に後手後手だった。
 
アサンジはこのグループを知っていたかもしれないね、とウィキリークスを取材して
いる友人に言ったら、きっと知ってたでしょう。かれはアフリカに長くいたからと回
答があった。
 
プロテスター側の青年の一人がさっき、インタビューに答えて、ムバラク後の展望に
ついて話していた。ムバラクが退陣してもいきなり反体制側がすべてを握るとは限ら
ず、ゆっくり歩むつもりだと。デモクラシーはそんなに簡単に身につくものではない、
だから自分たちはデモクラシーを少しずつ浸透させていくつもりだ。デモクラシー
はbit by bitだと。で、まず何をしますか、との問いに、まず教育、言論の自由を取
り戻したら、まず教育だと。
 
なんてすごいんだ、この子たち。もうだれも死なないように。
 
*
アルジャジーラ・イングリッシュ。日が落ちた。銃撃音は日中から聞こえていたが暗
くなって一段と数が増えた。広場の中で負傷者の治療にあたる外科医からの情報とし
て、過去1時間のあいだに広場の中にいるプロテスターが3名銃撃され、うち2名が死亡
した。
 
カイロの北、ナイル沿いの町、マンスーラ MANSOURA でのデモの様子。17000名(ある
いは70000名。はっきり聞こえなかった)が参加してムバラクの退陣を要求。ムバラク
が9月の大統領選に出馬しないと宣言したが、大都市だけでなく地方都市でも民主化支
持のデモがまだ続いている。
 
副大統領のスレイマンが今日、改めて反政府側(opposition)のすべてのグループに
対し、話し合いを呼びかけたが、ムスリム同胞団も、このプロテストを呼びかけた母
体と目される若者主体の4月6日ムーブメントも副大統領の協議を拒否している。
 
今日一日でエクソダス(エジプト脱出)の95便がカイロ空港から飛びたった。その中に
イラクから避難してきた一家もいた。
 
プロテスター側は120名の警官と政府支持者を広場で拘束していると発表している。警
官はムバラク支持者として平服で送り込まれてきた者たちだろう。
 
*
エクセター大学のアシュラフ教授(イスラム学):最もありそうな展開として、ムバ
ラクは辞任するしかないだろう。武器を持たない平和的なプロテスターへの暴力を見
て、プロテスターへの共感はますます広がっている。アメリカの少なくとも10の都市で
反ムバラクデモがあり、ロンドンのエジプト大使館前では少なくとも3000名が声をあげ、
カナダ、フランス。ドイツ、世界のそこらじゅうでムバラク辞任を要求する人が声をあ
げている。
 
フェイスブックで結びついたエジプト民主化運動(4月6日ムーブメント)には、非常に
高い教育を受けた者やミドルクラス、アッパーミドルクラスの者が多く含まれる。医者、
エンジニア、教育者その他が、もうムバラクの体制にうんざりだと集まっている。かれ
らの士気は高い。ムバラクが退陣するまでやめないだろう。
 
ムバラクにはアメリカかイギリスでの余生が保障されている。
 
*
ムバラクがアメリカのABCのインタビューに答えて、「もう大統領職は十分だ。しかし、
自分がいま去ったらたいへんな混乱がおきるだろう」と。
 
*
明日の金曜日はモスクでの祈りのあとに大規模な抵抗運動が予定されている。4月6日ム
ーブメントは明日を「出発の日」と名付けている。
 
いままでに13名が死亡、1200名以上が負傷。引き続き銃声が聞こえる。
21.00 GMT
 
本速報は、TUPウェブサイト上の以下のURIに掲載されています。
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[CML 007451] 用心棒たちはムバーラクを救えない(P-Forumからの転送)
 
たびたび重複失礼します。P-Forumからの転送です。金曜日のデモがさらに大規模な平
和的結集となって、ムバラクと危険な政府支持派を追放するよう祈ります。松元@パレ
スチナ連帯・札幌
 
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コラム:デモ参加者らを襲った「ムバーラク派」について
2011年02月02日付 al-Quds al-Arabi紙
 
■用心棒たちはムバーラクを救えない
 
2011年2月02日付『クドゥス・アラビー』紙(イギリス)HPコラム面
 
【アブドゥルバーリー・アトワーン】
 
エジプト政権は、罪なき人々の死体を残さねば去らぬつもりらしい。人々は、文明的な
手段で現政権に無血の退陣を要請し、30年の抑圧と腐敗による悲惨な現状から自国を再
生すべく、新たな指導層を選出する場を明け渡せと言っているのだが。
 
タハリール広場でデモ隊を攻撃しているのは、民主主義者たちではなく市民でもない。
彼らは、あらゆる醜悪な手段を用いることで国民に忌み嫌われている治安要員の集団で
ある。
 
ムバーラク大統領はエジプトを炎上させる決意を固めつつあるようだ。殺戮と破壊以外
の言語を解さず、奉仕すべき国民を飲み込んで口を拭うことしか知らないかのように。
 
テレビを通して我々が見たタハリールでの流血沙汰は、不公平なものであった。一方は、
エジプト再生を願い、その国力で飢える国民を救い国の尊厳を回復したいと思う人々で、
もう片方は武装治安部隊である。彼らは、国民がもうたくさんだとして平和的な抗議を
通じ終わりにすると決めた政権を救おうとしている。
 
デモ隊へのこのファシスト的攻撃が昨夜の大統領スピーチの後に行われたのは偶然では
ない。スピーチで大統領は、国外退去はせず、この9月まで大統領官邸に居座り、改憲
により国民の要請に応え自由でクリーンな選挙を実施すると述べた。
 
しかし、独裁者は改革の約束を守らず、国民の要請にもこたえない。時間を稼ぎ怒りの
波が引くのをまって、敵対者に襲いかかり粛清する。ムバーラク大統領もその一人だ。
 
百万がカイロの中央広場へ出て退陣を叫んだとしたら、それは国民投票に等しい。受理
し、その要請に沿って動くべきであろう。だがムバーラクは元々投票箱に信をおかない。
エジプトの国民感情など尊重してこなかった。彼の政権はねつ造行為のモデルとなり、
その専門家たちを近隣諸国へ輸出しているほどだ。
 
大統領と政権幹部らが発する挑発的な口調は驚くべきものではない。彼らが暴力に訴え
たのも不思議ではない。彼らが同盟国イスラエルに「アドバイスを求めて」きたことが
今、流血という形で実を結び始めた。イスラエルはエジプト革命に恐れおののき、現政
権救出に動いた。ワシントン他欧米政権との関係と巨大なマスコミの力を用いて政権継
続を訴え、その代替手段を世界は恐れるべきと主張している。
 
ムバーラク政権があと7カ月残存すれば、恐らくその後数年間さらに延長される。それ
は、エジプト国民の福祉と利益には適わない。しかしキャンプデービッド合意の維持に
は貢献する。つまり、イスラエルの国境と安全を守るエジプトの役割を残すことができ、
抵抗勢力に対抗できる。抵抗勢力とは、アラブ再生を望みイスラエルの傲岸さゆえに中
東地域が陥っている恥ずべき状況に終止符を打とうとする高貴な勢力のことである。
 
治安部隊を用いて混乱と恐怖をばらまいているムバーラク政権の戦略は明らかである。
治安部隊による強奪、放火は、政権交代とは混乱と無秩序を意味するという意識を国民
に植え付けるためだ。そうでなければ、平服で破壊行為を行ったのち、この部隊が街頭
や公共施設からあっという間に消えた説明がつかない。
 
偉大なるエジプト国軍が、圧政者側にすり寄り、政権の用心棒集団と歩調を合わせたの
をみて、我々は苦々しさを禁じえない。中立姿勢はごまかしだったのか。毅然としてエ
ジプトの尊厳を守りアラブ・イスラーム共同体全体の襟を正させたこの軍が、ごろつき
の用心棒どもをタハリール広場に通すとは、我々は思っていなかった。この数日間平和
的な抗議活動を維持し、軍は味方だと思っていた国民を守るために介入もしないとは。
 
我々は大殺戮の鳥羽口にいる。国民の間に亀裂が起きることは大打撃である。国民が一
丸となって暴力を回避し、圧政に抗議してきたことに意味があったのだ。
 
 
デモ隊が国を破壊すると、エジプト政権関係者は繰り返し述べていた。政権こそが国の
維持を保証していたのだと言う。しかし事実は逆で、国とその諸機関を破壊するのは腐
敗に染まった彼らである。国民を襲わせるためにごろつき集団の手綱を解き、権力の座
から離れようとしない。
 
専制政治は多々行われてきたが、ムバーラク大統領のように自国を破壊しようとする独
裁者はそういない。イランのシャー、エジプトのファールーク国王、フィリピンのマル
コスでさえムバーラクとその取り巻きに比べればかわいいものだ。彼らは国民に拒否さ
れている事を理解し国を去った。彼らの軍は国民の要請を支持したのだ。国軍と国民は
分かちがたいものであり、国民の血を流すことは軍にとって大罪にあたるからだ。
 
エジプト民衆革命は、専制政権が追い落とされ、偉大なるエジプトに自由と尊厳の太陽
が昇るまで続くだろう。高潔なるエジプトの人々は、犠牲にひるまず道半ばであきらめ
ない。彼らは自由を実現するだろう。いや既に彼らは自由そのものだ。殉教者の血から
新生エジプトが立ち上がるだろう。暴君は去り、エジプトとその国民が残るのだ。
 
 
(翻訳者:十倉桐子)
 
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=21331
 
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