[CML 007419] 二子玉川ライズ反対住民運動が団体名変更(2)林田力

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2011年 2月 2日 (水) 08:14:29 JST


【PJニュース 2011年2月2日】一方でシビアな視点を持つべきとの意見も出た。世田谷区などに確認したところ、第二地区は設計図を3月中にまとめる予定である。2012年3月には住民説明会を実施し、工事を着工する。遅延しているものの、東急側は計画を変更するつもりはなく、開発を諦めてもいない。住民の要望は無視されている。業者や行政のムチャクチャなやり方を許さないという実効的な運動が重要と主張した。

また、マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」が売れているというが、現在でも多くの住戸が販売されている。既に販売されたという住戸も確かに売買契約がなされたということを確認した訳ではない。そのような情報を確認する力も必要とする。

第二議題は3つの裁判の闘い方である。住民側代理人の淵脇みどり弁護士がレクチャーした。淵脇弁護士は二子玉川ライズの問題の特徴を大きく2点指摘した。

第一に周辺住民が中心となっている点である。従来型の再開発紛争は少数地権者がデベロッパーなどの多数派と争う形式であった。これまで再開発のアクターとして認識されてもいなかった住民中心で進めることに不安もあったが、強みもある。地権者は生活がかかっているため、経済的な妥協を迫られてしまいがちである。これに対して住民中心ならば、街づくりなど普遍的なテーマで運動を進められるとした。

第二に権利侵害が複合的であることである。日照、眺望、ビル風、大気汚染、洪水被害などである。それだけで一つの裁判となるような問題が二子玉川ライズでは複合的に生じている。

その上で係属中の各訴訟について解説した。

第一に再開発組合に対する事業差し止め訴訟である。これは最高裁判所に係属中である。地裁判決や高裁判決の最大の問題点は、住民の不利益を認めた点もありながらも受忍限度を理由に棄却したことである。本当に公共性のある事業ならば受忍限度論も成り立つ余地がある。しかし、二子玉川ライズは新築分譲マンションや賃貸オフィス、商業施設という東急電鉄や東急不動産の営利事業である。それに住民が我慢させられることは不当である。最高裁では二子玉川ライズが公共性ある計画であるかを争点にする。
http://www.pjnews.net/news/794/20110131_3

この淵脇弁護士の説明は民法と憲法との関係という面でも興味深い。差し止め訴訟は住民と再開発組合という私人間の裁判である。人格権に基づく差し止め請求という民事紛争の枠組みの争いである。しかし、住民側は実質的には憲法13条(幸福追求権)や25条(生存権)など憲法を拠り所としている。差し止め訴訟は以下の指摘にあるように民法の価値を問い直す裁判である。

「今日、民法学が、再度、憲法との関係を意識化しようとすれば、憲法との矛盾が新たに顕在化してきたというのではなく、おそらく民法学が、社会の変化のなかで、自己の実現すべき価値を問い直す必要を感じ始めているからであろう。それが最も先鋭的に現れているのは、人格権の領域であろう。」(安西文雄他『憲法学の現代的論点』有斐閣、2006年、71頁)
【了】
-- 
『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力
http://book.geocities.jp/hedomura/
http://hayariki.webnode.com/


CML メーリングリストの案内