[CML 013970] 【成長神話と大企業神話を覆す書】ジュリエット・B.ショア『プレニテュード 新しい〈豊かさ〉の経済学』

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2011年 12月 31日 (土) 12:32:32 JST


『プレニテュード 新しい〈豊かさ〉の経済学』


■ 訳者からのメッセージ

 成長神話と大企業神話を覆す本書は,〔環境と経済の〕複合危機に立ち向かう新しい〈豊かさ〉の経済学からの有力なパラダイムの提示であるだけでなく,環境と経済の再生に向けての取組や運動の確かなロードマップでもある.それだけに,複合危機に無関心ではいられない社会科学の研究者だけでなく,私たちの時代の最大の挑戦課題を自らの問題と受け止めている一般の読者にも,さらには政策担当者,政治家,企業人,学生にも本書を読んでいただきたい.
 本書の翻訳を進めていた最中の2011年3月11日,東日本大震災と原発災害が発生した.二つの災害は,大企業中心,成長優先,原発依存,エネルギー多消費のゆえの日本経済の歪みを映し出し,脱大企業,脱成長,脱原発,地域再生の流れをかつてない規模で生み出した.その一方,民主党政権の「新成長戦略」に代表されるように,旧態依然とした市場経済にしがみつく流れも勢いを失っておらず,ショアに倣って言えば,日本でもBAU〔従来通りの経済〕戦略と〈豊かさ〉戦略のせめぎ合いが強まっている.今の日本では,多くの大企業が「地球にやさしい企業」を自称し,市場には環境(Environment)と地球(Earth)の「e」を記号化した「エコマーク」を表示した製品が溢れている.しかし,大企業サイドのそうした流れは,成長戦略の延長線上にあって,〈豊かさ〉戦略に合流するものではない.こうした点について日本の問題として考えるうえでも,ショアの新著は多くの示唆を与えてくれるだろう.
(「訳者あとがき」より)


■ 著訳者略歴

ジュリエット・B.ショア(Juliet B.SCHOR)
1955年アメリカ生まれ.マサチューセッツ大学大学院で賃金変動の研究により博士号を取得.ハーバード大学経済学准教授,女性研究センター主幹を経て,現在,ボストン大学社会学教授.『浪費するアメリカ人』(岩波書店)ほか著書多数.環境保護団体「ニュー・アメリカン・ドリーム・センター」の共同代表.

監訳:森岡孝二
1944年大分県生まれ.関西大学教授,株主オンブズマン代表,大阪過労死問題連絡会会長.著書に『就職とは何か』(岩波新書)ほか.

訳:青木圭介
1944年広島県生まれ.広島女子大学教授を経て,現在,京都橘大学学長.著書に『現代の労働と福祉文化』(桜井書店)ほか.

訳:成瀬龍夫
1944年旧満州国生まれ.京都府立大学助教授を経て,滋賀大学教授,前滋賀大学学長.著書に『生活様式の経済理論』(御茶の水書房)ほか.

訳:川人 博
1949年大阪府生まれ.弁護士,過労死弁護団全国連絡会議幹事長,東京大学教養学部「法と社会と人権」ゼミ講師.著書に『過労自殺』(岩波新書)ほか.

訳:肥田美佐子
東京生まれ.フリージャーナリスト.2008年,ILO「第1回労働者の権利メディア賞」受賞.ニューヨーク市在住. http://www.misakohida.com/


■目次

日本語版への序文 

第1章 環境と経済の危機から真の〈豊かさ〉へ
〈豊かさ〉の基本原理
経済的対話の方向を変える
前進への道――経済的パフォーマンス/2010-20年
本書のプラン

第2章 消費ブームから環境破綻へ
ファストファッション――衣料品の場合
典型例はファストファッション
廃棄する国民
消費の物質性パラドックス
物質の経済学
成長の限界はあるか
地球の環境破壊
人間のフットプリント
実績を調べる

第3章 経済学は地球と向き合う
資源,豊穣,および市場の奇跡論
トレードオフの経済学――自然に関する費用曲線の疑問
気候変動に関する打開策は?
技術はこの時代を救えるか
技術革新のリバウンドと逆効果
イギリスにおける技術的な楽観主義
オーバーシュートを認めること
持続可能性への道――人口,所得,および技術

第4章 困難を抱えた地球で豊かに暮らす
一つの警告――一度だけの人生
環境の現実に適応する――市場外の多様化という考え方
時間の富
実現可能な時短の推進――すべての人びとにとっての安全保障
なぜ,労働時間の短縮がグリーン・ソリューションなのか
21世紀における供給
家庭内生産のニューエコノミックス
〈豊かさ〉モデルの消費者
スロー消費の三原則
小さくても素晴らしい
共有(シェア)という解決策
社会の仕組みを変える――互恵の経済

第5章 〈豊かさ〉の経済学
地球にとってのスマートデザインと知識の経済学
小さいものは美しい.だが,その効率性は?
自然資産と共有制
仕事と労働時間――差し迫った時短の必要性
成長至上主義を超えて
〈豊かさ〉と幸福
わき上がる〈豊かさ〉

謝辞
訳者あとがき
注
参考文献
日本語版のための用語解説

http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0246680/index.html
 		 	   		  


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