[CML 013549] 関西救援連絡センターニュース2011年12月

松葉 祥一 mauricemerleau at yahoo.co.jp
2011年 12月 7日 (水) 16:29:18 JST


第300号
2011年12月

関西救援連絡センター
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■「刑の一部執行猶予制度」に問題あり
 薬物使用者の保護観察は自助団体へ押し付け

 十一月四日、臨時国会に「刑法等の一部を改正する法律案」「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案」が上程された。
 この法律は、今国会での上程予定はなかったのだが、次回通常国会では「重い法案」の提出が予定されているため、上程されることになったという。日弁連は「問題なし」とのお墨付きを与えており、反対する勢力がないまま、コンピュータ監視法と同様、一気に成立されてしまう可能性が高い。
 衆議院法務委員会は十月二五日以来開催されておらず(十二月二日に再開)、成立が危ういとみた民主党は、参議院先議を決め、成立を目指した。
 十一月二二日趣旨説明、二四日に審議、二九日に六名の参考人を招致して質議が行われた。当初二九日に採決かと思われたが、下記に掲載した京都弁護士会の会長声明が効を奏し、即日の採決は行われなかった行われなかった。しかし、十二月一日開催の法務委員会で可決、翌十二月二日には参議院本会議でも可決され、衆議院に送付された。

□刑の一部執行猶予制度は
過剰収容解消のための方策
 この二法案の提案理由は、「近年、犯罪者の再犯防止が重要な課題となっていることに鑑み」あるいは「薬物使用等の罪を犯した者の再犯防止が重要な課題となっていることに鑑み」、「犯罪者が再び犯罪をすることを防ぐため」である。
 しかし、刑の一部執行猶予制度は、刑務所の過剰収容の解消をめざして法制審議会が考案した制度だった。本来、現行の仮釈放の積極的な運用や執行猶予付き判決を出すことで、過剰収容は解決できるものであり、刑務所の過剰収容も、現在では収容者数は減少しており解消されている。このように、この法案の主旨そのものにも問題がある。

□この法案の問題点
 この法律の主な内容は、仝醜垠宰,実刑か全部執行猶予しかしかないのを改め、一部実刑(一部執行猶予)を新設して、社会内処遇を図る、∧欷邊兒,瞭段冥綣藥項に清掃・福祉などの「社会貢献活動」を新設する(更生保護法五一条「改正」)などである。  問題点として、ー更塒瑛修付くケースにも、裁判官の裁量次第で一部実刑になる、∧欷邊兒,増加する、「善良な社会の一員としての意識の涵養及び規範意識の向上に資する」ための社会貢献活動が強制される、に楹陛保安処分体制作りへの足がかりとされる、などが指摘されている。
 京都弁護士会の声明にあるように、刑の一部執行猶予判決により管理・統制される期間が延長されることになる。これは、現行刑法の残刑期間主義(仮釈放の保護観察は刑の残りの期間を限度として実施する)を破壊し、再犯防止のために応報の範囲を越えての管理・統制を制度化する。
 この法案は、「薬物犯罪者・性犯罪者など」の「再犯の恐れを防止する」ために新たな「保安処分」を創ると公言していた杉浦元法相により、二〇〇六年に、法制審議会に諮問された。この法案自体、保安処分制度を目指したものだったのである。

□自助団体に丸投げ
 一部刑の執行猶予が適用されるのは、三年以下の禁固や懲役が対象である。主には薬物使用者が対象となると思われる。
 薬物使用者の執行猶予中は保護観察がつく。その保護観察を保護観察官ではなく、民間の自助団体に押し付けようとしている。保護観察を担当する団体には監視や違反者の通報義務が課される。薬物を断つことを目的とする自助団体の活動が損なわれる可能性がある。
* * * * *
 臨時国会は延長されなければ、九日までである。衆議院法務委員会での審議入りを阻止しよう!


「刑の一部執行猶予制度新設についての慎重審議を求める会長声明」
 2011年11月4日、刑の一部執行猶予制度を新設することを主な内容とする刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案(以下、二法案を合わせて「本法案」という。)が国会に上程された。これは、3年以下の懲役・禁錮の言い渡しをする際に、その一部の期間を実際に刑事施設に収容して執行し、その後残りの期間の執行を1年以上5年以下の期間猶予するというものである。たとえば、「懲役3年、うち1年の執行を5年間猶予する」という判決になり、実際に2年間は刑務所で服役し、その後5年間は猶予期間として社会で過ごすが、この間に執行猶予が取り消されない限りは、残りの1年は実際には服役しないという制度である。執行猶予期間中には保護観察を
付けることができ、薬物使用等の犯罪の場合は必ず保護観察を付けるとのことであり、再犯防止を目的として、現行の実刑と執行猶予制度の中間的な領域にある制度を新設するものと説明されている。
 しかし、この制度には以下の問題点がある。
 すなわち、現行刑法典は、過去の行為に対する責任としての刑罰を定めている(行為責任主義)。ところが、本法案は、「再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるとき」に、刑の一部の執行を猶予できるとしている。これは、刑法典に、行為者の将来の危険性に着目した制度を新たに導入するものにほかならない。行為者の将来の危険性に着目して、刑期を超えて自由を制限するのはまさに保安処分的であると言わざるを得ない。
 たとえば、行為責任からすれば本来懲役2年が相当である事案について、行為者の将来の危険性に着目して、懲役2年3月としてそのうちの6月を2年間保護観察付執行猶予にするようなこと(初めの実刑部分は2年)があれば、明らかに行為責任主義に反する。また、同事案において、たとえ懲役2年としてそのうちの6月を2年間保護観察付執行猶予にしたとしても、1年6月服役した後にさらに行為責任主義の観点から定められた刑の残期間を超えて2年間にわたる保護観察が加わることは行為責任主義に抵触する可能性がある。
 よって、この制度の導入は、刑法典における刑罰のあり方を根本的に変容させる契機となるものであり、到底見過ごすことができない。
 また、この制度は、重罰化の懸念を含んでいる。すなわち、本法案における刑の一部執行猶予の要件は、現行の全部執行猶予の要件と重なっているため、現行制度において刑の全部執行猶予により施設収容を避けうる事案が、刑の一部について実刑となる可能性を排除できない。
 以上の問題点があるので、当会としては、本法案の刑の一部執行猶予制度の新設について、今国会で拙速に採決するのではなく、慎重に審議することを求めるものである。
2011年(平成23年)11月18日
京都弁護士会 会長 小川 達雄


■今年こそ死刑執行のない年に
□官房長官の越権行為に抗議する
 法相就任直後の会見で、平岡氏は「国際社会の廃止の流れや、必要だという国民感情を検討して考えていく。考えている間は当然判断できないと思う」と語った。
 十月二六日、衆議院内閣委員会において、平岡秀夫法相が死刑執行に慎重姿勢を示していることに関し、藤村修官房長官は「野田内閣において死刑を廃止する方針はまったくない、平岡法相から事情を聴く」「最後の最後には悩み抜いて(執行する)、というのが法務大臣の役割だ。平岡法相にしっかりと自分の考え方を述べよと言いたい」と述べ、死刑を執行するよう圧力をかけた。
 十月二八日、藤村修官房長官は官邸で平岡氏と会談。その後の記者会見で、平岡氏は「(死刑制度について)廃止すると言っているわけではない」、制度に関する省内の勉強会に関し「何か結論が出るものではない。勉強している間でも(個々の)死刑問題は考えねばならない」と述べ、執行とは切り離す意向を強調した。
 しかし、死刑執行の決定は、法務大臣の権限であり、首相や官房長官の指示に基づいて行われるものではない。野田内閣の越権行為に強く抗議する。

□最高裁は「死刑回避」から「死刑前提」へ判断基準を変更
 最高裁は死刑回避を基準としていたが、裁判員裁判を前に「死刑判決を回避しない」方向へと基準を変更した。いわゆる永山則夫基準と呼ばれる「原則は死刑回避」の判決を、光市事件では「原則死刑、回避するなら理由が必要」とし、少年事件に対しても死刑判決を前提とする考えを示した。
 絞首刑に関して、一九五五年最高裁判決は「絞首刑は他の方法と比較して残虐とは言えない」と判示した。それが、十月中旬に「絞首刑の残虐性」に関する証言が行われた大阪地裁の裁判員裁判では、「死刑は生命を奪う刑罰だから……ある程度のむごさを伴うことは避けられない」と変ってきている。
 このように「死刑判決」に対する抑制は外され、被害者参加制度の導入と相まって、裁判員裁判での死刑判決は増加している。

□「オウム真理教事件」裁判終結
 十一月十八日に中川智正氏、十一月二一日に遠藤誠一氏に対する死刑の最高裁判決が出た。これで「オウム真理教事件」に関しては、指名手配中の者以外の裁判が終了し、松本千津夫への死刑執行も噂されている。しかし、共犯者の裁判が終結していない以上、裁判の証人になる可能性のある者に対しては、死刑の執行はできないはずだ。

□死刑執行をさせないために、出来ることを今すぐにやろう
 現在、死刑確定者は一二九人。
 昨年は千葉法相までもが執行書にサインした。、死刑執行のない年を作らせないために、平岡法相にも、法務省の官僚は圧力を掛けているはずだ。通常国会は、十二月九日に終了する。過去、国会終了時に執行書にサインするケースが多かった。執行書にサインすると、五日以内に死刑執行が行われることになる。再審・恩赦が切れている死刑確定者には早急に請求を出すよう、勧めてほしい。
 死刑の執行をさせないために、幾つかの提案がなされている。
ヽ杏交通のない人が執行されやすいので、確定者に手紙を書こう、∩換餔貔謄咼蕕泙、新聞などへの投書、てB悉ご泳篠拘韻悗旅概帖↓ナ寝法相へ「圧力に屈するな」の激励、等。
◇平岡法務大臣の宛先
 〒110-8982千代田区永田町2の1の2
 衆議院第二議員会館205号室


■政教分離関連訴訟の現在
 ☆大阪靖国合祀イヤ!です訴訟
十二月一日 上告棄却決定
 ☆沖縄靖国合祀ガッティンナラン訴訟
最高裁(九月十六日上告)
 ☆東京ノー!ハプサ(合祀)訴訟
東京高裁(八月三日控訴)
 ☆砂川政教分離訴訟判決    再上告中(一月七日)
□二〇一二年政教分離訴訟全国集会は、六月一〜二日旭川で開催
 ☆韓国人軍人軍属訴訟  十一月三十日 上告棄却決定



■公判日程
1 月5日10時〜終日  釜弾圧(選挙権行使行動) 大阪地裁(刑)
1 月6日10時〜終日    同 上        大阪地裁(刑)本人調
1 月11日10時〜終日   同 上        大阪地裁(刑)本人調
1 月12日10時〜終日   同 上        大阪地裁(刑)本人調
1 月13日10時〜終日   同 上        大阪地裁(刑)本人調
1 月18日10時半    選挙権確認&国賠    大阪地裁(民)第5回
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☆10月25日の関生弾圧(コピー用紙窃盗)判決は、控訴棄懲役2年執行猶予3年が確定。 

☆前号で報告し在特会の被害届により勾留されていたA牧師は10月21日に、釈放された。 

☆関生弾圧(第2次関西宇部)の判決は、副委員長1年2月(執行猶予3年/求刑1年6月)、1名8月(執行猶予3年/求刑1年)、他11名は6月(執行猶予3年/求刑1年)。直ちに控訴。
☆関生弾圧(コピー用紙窃盗関連)は控訴中。大阪高裁(刑)第1回公判は未定


◆催し物案内
◇罪と罰を超えて―死刑のある国で〈厳罰化〉を考える
2011年12月11日(日)13:00 開場13:30 開会
ひと・まち交流館 京都 大会議室 参加費800円
☆森 達也さん(映画監督・作家)
1956年生まれ。テレビディレクターを経て、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』『A2』で注目を浴びる。著作『A3』(集英社インターナショナル)で講談社ノンフィクション賞受賞。他に『死刑』(朝日出版社)など著書多数。
☆浜井 浩一さん(龍谷大学法科大学院教授)
1960年生まれ。法務省勤務などを経て現職。世界の犯罪の現状や刑事政策に詳しい。著書に『犯罪統計入門』(日本評論社)、『グローバル化する厳罰化とポピュリズム』(共著・現代人文社)など.。
主催 京都にんじんの会(問合せ:090-2199-5208大須賀)


◇ <予告>当番弁護士を支える会・京都セミナー
シリーズ/当番弁護とわたし
お話;村岡 美奈弁護士(京都弁護士会)
2月16日(木)午後6時30分〜8時半 京都弁護士会館
 今年は、若い弁護士さんたちに話してもらうことを企画します。
 第一弾は、村岡さん。弁護士を支える側にいた彼女が、弁護士になって支えられる側になりました。そんな彼女に、感じたこと、今思っていることを話してもらいます。きっと、弁護士になりたての方にも参考になる話が出ると思います。
 是非、ご参加ください。

◇陪審制度を復活する会連続セミナー第13弾=司法の犯罪(冤罪)は防げるか
場所:西本願寺津村別院(北御堂会館)1回1000円〔学生は無料〕
☆申込み先 陪審制度を復活する会事務局FAX.06‐6365‐1822/E-mail:m-kaba at kabashima-law.jp 

第2回/12月17日(土)13時半〜
 「冤罪と捜査」〜知られざる日本警察を語る〜 原田 宏二(「市民の目フォーラム北海道」代表、
元北海道警察釧路方面本部長)
第3回/1月14日(土)13時半〜
 「いかにして人質司法を打破するか」〜韓国における身体拘束制度について〜 下村 忠利(大阪弁護士会)
第4回/2月18日(土)13時半〜
 「光市事件の懲戒請求・名誉毀損事件の経過」 足立 修一(広島県弁護士会・光市事件弁護団)
第5回/3月10日(土)13時半〜
 「またしても冤罪か!東電OL殺害事件の犯人とされたゴビンダさんの弁護人に聞く」 神田 安積(第二東京弁護士会・東電OL殺害事件弁護人)
☆詳細は、以下のHPでご確認ください。http://baishin.blog.fc2.com/ 



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