[CML 011349] シン・ヨンボク「講義 ―私の東洋古典読法」を日本語に訳しました

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2011年 8月 16日 (火) 21:36:06 JST


とだたくみと申します。二年あまり投稿を控えていましたが、それなりに生きており
ました。



さて、地震や原発の問題を気にかけながらも、私はその間、件名にあるシン・ヨンボ
ク「講義 ―私の東洋古典読法」(2004年、トルベケ刊)という本を日本語に訳
していました。書名にある通り、この本は東洋古典、つまり中国の古典思想書―論
語、孟子、老子、荘子などなど―に関する講義録です。著者であるシン・ヨンボク氏
の勤務する大学での講義を纏めたもので、中国思想の専門家ではない訳者もまた、そ
の講義を受講した気持ちで翻訳しました。



本書の趣旨は、行き詰った現代社会―小さくは韓国社会、大きくは国際社会全体―の
諸問題を解決する糸口を東洋古典から見つけよう、ということです。より具体的に
は、西洋思想における「存在論」の限界を克服するために、東洋思想をその特徴であ
る「関係論」の観点から再評価しようというものです。



著者であるシン・ヨンボク氏の経歴も、本書の魅力と言えるでしょう。彼は1941年に
キョンサン南道で生まれ、ソウル大経済学部・同大学院経済学科を卒業し、陸軍士官
学校の教官を歴任しましたが、1968年に民主化運動にかかわった容疑で拘束され、無
期懲役を宣告され、実に20年あまり(正確には20年と20日)を獄中で過ごされまし
た。言わば、20世紀現代史における政治的暴力を身を持って体験し、それを克服され
た方です。そのような方だからこそ持ちうる現代社会への鋭い洞察と解決を模索する
真摯な姿勢が本文の随所に垣間見られます。それにもかかわらず、講義録という性質
もありますが、文章そのものは平易で大変読みやすい(訳しやすい)ものでした。私
もこのような原書の魅力を少しでも生かせるよう苦心して翻訳しました。



私自身がシン・ヨンボク氏そのものを知ったのは、日本語でも第一巻と第二巻が翻訳
出版されているハン・ホング『大韓民国史』の韓国語オリジナルの第四巻に収録さて
いてる彼に関する文章を通してでした。その文章でも本書は紹介されていて、いつか
語学の実力が付いたら読んでみたいと思っていた本でした。こうして所願を達成する
ことができ、皆さんにご紹介することができるのは、不思議な感慨を禁じえません。



講読をご希望される方は、私のメールアドレスにご連絡ください。その際はその他の
スパルメールを区別するために、件名に「シン・ヨンボク」などのキーワードをご入
力ください。折り返し添付ファイルで翻訳文をお送りします。

また、シン・ヨンボク氏について詳しく知りたいという方には、前述したハン・ホン
グ氏によるシン・ヨンボクの紹介文(?)も合わせて添付いたします。





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