[CML 011190] ソルジェニーツインの20年

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2011年 8月 6日 (土) 23:06:57 JST


 坂井貴司です。
 転送・転載歓迎。
 
 二十世紀の小説家の中で、最も政治的に活動し、政治的影響を与え、そのため
に評価が完全に分かれる小説家、アレクサンドル・ソルジェニーツインが、国外
追放を解除され帰国し、死去するまでの20年を描く番組を、NHK教育が8月7日
放送します。
 
 NHK教育
 
 ETV特集「ソルジェニーツィンと大統領たち」
 http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0807.html
 
 8月7日 22時放送
 
 彼はスターリン粛正の犠牲者でした。第二次世界大戦に従軍後、1945年、スター
リンを批判したとして逮捕され、ラーゲリ(強制収容所)に送られ、奴隷労働を
させられました。スターリンが死去した後の1958年、ニキータ・フルシチョフ首
相によって名誉回復されました。
 
 1962年、ソルジェニーツインは自身の体験を下に、ラーゲリの実態を克明に描
いた小説「イワン・デニーソヴィチの一日」を発表し、世界中から注目されまし
た。「労働者と農民の国」を自称したスターリン体制のソビエトの暗部をえぐっ
た作品として、世界的なベストセラーとなりました。
 
 1964年、ソルジェニーツインの擁護者であったフルシチョフが失脚すると、ブ
レジネフ体制から危険人物としてにらまれ、監視されました。1970年にノーベル
文学賞を受賞。世界的に名声が高まると同時に、ブレジネフ体制から激しい攻撃
を受けました。KGBの監視下の中で危険を犯して、スターリン粛正の全貌を描
く大作「収容所群島」を執筆しました。1974年に逮捕され、「人民の敵」として
国外追放処分を受けました。1976年にアメリカに定住。亡命生活の中で完成させ
た「収容所群島」は西側諸国で絶賛されました。共産主義の恐怖と犯罪を暴いた
傑作であると反共産主義のバイブル的扱いを受けました。彼はエッセイや講演で
「ソビエトは崩壊させなければならない」・「共産主義は人間性の敵である」・
「レーニンは悪質な陰謀家でありテロリストだ」と述べて、反共主義の騎手とし
てもてはやされました。
 
 しかし、やがて彼は「西側社会はカネが全ての絶望の社会である。ロシアはこ
のような堕落した社会になってはならない」と激しい西側批判をするようになり
ました。定住したアメリカのバーモント州の山小屋にこもり、ロシア語で執筆し
続けました。
 
 1990年、ペレストロイカ、グラスノスチを軸にソビエトの改革に乗り出したゴ
ルバチョフは、ソルジェニーツインの市民権を回復しました。激しいソビエト批
判と、古き良き時代のロシアに回帰せよと述べた「甦れ、わがロシアよ〜私なり
の改革への提言」はソビエト国内で大ベストセラーとなりました。1994年、ソビ
エト崩壊で混乱するロシアに帰国。以後2008年8月に死去するまで、ロシアのご意
見番として発言や執筆を続けました。亡くなる直前はプーチン大統領を絶賛し、
支持しました。
 
 私自身のソルジェニーツインに対する評価は複雑です。「収容所群島」は、搾
取亡き理想の社会を目指したはずのソビエトが、恐怖と暴力が支配する収容所国
家になってしまった悪夢を描いた傑作です。しかし、「甦れ、わがロシアよ」で、
帝政ロシア時代のシベリアの先住民族はかなり良い扱いを受けていたと、とんで
もないことを述べています。又「ウクライナ人なる民族は存在しない。ねつ造さ
れた民族だ」と不可解なことも言っています。そして、血の海に沈められたチェ
チェン紛争に関して、彼はほとんど発言していません。また、テロリストには死
刑を適用すべきだとも言いました。
 
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp
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「郵政民営化は構造改革の本丸」(小泉純一郎前首相)
その現実がここに書かれています・
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