[CML 011106] 二子玉川ライズ2期事業の公聴会で住民が公共性を問う

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2011年 8月 2日 (火) 21:58:43 JST


東京都は建築基準法第48条第14項に基づく二子玉川ライズ2期事業(二子玉川東第二地区市街地再開発事業)の公聴会を2011年7月28日、東京都庁第二本庁舎10階204会議室で開催した。二人の近隣住民が利害関係人として意見を陳述し、二子玉川ライズが公共性に欠ける事業であると訴えた。
二子玉川ライズ2期事業は映画館や物販店、飲食店、フィットネスクラブ、ホテル、事務所、テレビスタジオなどが入居する超高層ビルなどを建設する計画であるが、計画地は第一種住居地域であり、原則として映画館などの建物を建設することはできない。しかし、「特定行政庁が第一種住居地域における住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合」は例外的に建設できる(建築基準法第48条第5項)。
この許可をする場合は、利害関係者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行うことになっている(建築基準法第48条第14項)。それが今回の公聴会である。事業者側は二子玉川東第二地区第一種市街地再開発組合、日建設計、東急設計コンサルタンツが出席し、多くの都民が傍聴した。
公聴会の冒頭では傍聴人の一人が許可を求めて発言した。東京都側の「発言の要点を議事録に掲載する」と説明したことに対し、「今朝の時点では要点ではなく、発言の全文を記録すると説明された。明確にしていただきたい」と申し入れた。これに対し、都側は「今回の場合は全文を記載します」と答えた。
公聴会の本題は事業者側からの許可を求める理由説明と、特定行政庁である東京都との質疑応答である。事業者側は世田谷区の都市計画に基づいた再開発であることを強調した。質疑応答で都側は「映画館の建設は計画に明記されていない」と質問した。事業者側は「かつて二子玉川には映画館があり、アンケートでも映画館を要望する声が1位だった」と答えた。
「周辺住民に説明したか」との質問では「5月12日と15日に3回の住民説明会を実施し、再開発に対する前向きな意見が多く出た」と回答した。都側は高層ビルの風害対策も質問した。事業者は「植栽の配置などで対策している。今後も継続して検討する」と答えたものの、「極力配慮した」と述べるにとどめ、具体的な検討内容は明かさなかった。
続いて利害関係人の意見陳述である。最初に再開発地域周辺住民の飯岡三和子氏が陳述した。事前に作成した意見書に基づく陳述であるが、直前に行われた事業者側の説明への反論も盛り込まれていた。
http://www.pjnews.net/news/794/20100520_9/
飯岡氏は「二子玉川ライズの風害は深刻」と述べ、「最適な対策は植栽ではなく、これ以上、超高層ビルを建てないこと」と断言した。「2期事業で計画されているビルは駅ビル(二子玉川ライズ・ショッピングセンターなどが入居)よりも高く、幅が広いため、風害は一層酷くなる」と指摘した。
さらに飯岡氏は「説明会での再開発賛成意見は、やらせ」と告発した。「事業者から頼まれて発言したと告白してくれた」と語る。「玄海原発のやらせと同じ問題」と怒りを示した。
また、飯岡氏は以下のように「二子玉川東地区は静かな環境と自然が魅力」と説明した。
「地域には半世紀以上住み続けている住民が多く、静かな環境を気に入っている。住民にとっての賑わいは高島屋などのある西口で実現しており、東口は静けさや自然が魅力である。広域生活拠点としての賑わいを求める二子玉川ライズは住民のニーズに反している。」
映画館を正当化する事業者側の説明にも以下のように反論した。
「二子玉川に映画館が存在したことは事実であるが、二子玉川ライズで計画するシネコンのような大勢の人を呼び込むものとは全く異なる。住民が希望する過去に存在した映画館とは別物である。」
その上で飯岡氏は「二子玉川ライズ・ショッピングセンターなどの営利事業に国の補助金が使われていることを聞いた人は驚く」と指摘し、「商業施設などが入居する高層ビルが公益上やむを得ないものか問いかけたい」と訴えた。
続いて世田谷区民の新井英明氏が陳述した。新井氏は「単なる商業主義と都市計画の公共性が混同されている」と批判した。「二子玉川ライズは盛り場の危うさを住宅地に持ってくることになる」と主張する。
二子玉川ライズの事業性にも以下のように疑問を呈した。
「そもそも2期事業は事業としての需要があるか疑問視されたために1期事業から外して後回しにされた。オフィスやホテルの需要について事業者側に尋ねても、具体的な回答はない。これは事業性への自信のなさを示している。自信がないから、映画館やフィットネスクラブなど思いつくものを全て挙げた事業計画になったのだろう。近隣のフィットネスクラブは、昼間はガラガラである。二子玉川ライズの計画は経営の厳しさを理解しているとは思えない。」
新井氏は今回の公聴会の開催日についても批判する。この日は同じ時間帯に二子玉川で保坂展人区長と住民の対話集会が開催された。これは再開発地域の視察と住民との対話を呼びかける地域住民らの声に保坂区長が応えたものである。「多数の住民が集会に参加する日に公聴会を開催することは公正を欠いている」として、改めての公聴会開催を求めた。
http://www.hayariki.net/109rise.html
住民にとって時間が制限された公聴会で、二子玉川ライズの全ての問題を言い切ることは不可能である。飯岡氏は公聴会終了後に傍聴人に意見陳述で述べられなかった問題点を述べていた。
第一に再開発組合の風害対策の貧困である。再開発組合が風害対策で設置した植栽は実質的にはプランターに過ぎない。人の背丈ほどしかなく、歩行者の風除けの効果は疑問である。歩道のガードレールに取り付けられたネットに至っては、人の腰程度の背丈で、みすぼらしくて美観を害している。これには別の住民も同意し、飲食店から食べ物の臭いも吹いてきており、熱風と合わさって気持ち悪くなると述べた。また、樹木も枯れかけていると指摘された。
第二に二子玉川園の閉園後に二子玉川が衰退したとの事業者説明の誤りである。これを事業者は再開発の正当化根拠にするが、二子玉川は衰退していない。住民が自由に利用できる散歩道があった。また、テーマパーク「いぬたま」「ねこたま」は動物好きには好評であった。住民にも自然を求める訪問者にも良い環境であったと指摘する。
実際、「いぬたま」「ねこたま」の経営は黒字で、2006年1月の閉園は二子玉川ライズの開発のためであった。この結果、運営会社のエムケースエマツは収入が大きく減少して2006年12月に破産に追い込まれた。(林田力)
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