[CML 009221] 東電に対するダルノキ−ベレス博士の所見と情報開示の要請
Yasuaki Matsumoto
y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 4月 25日 (月) 07:26:46 JST
みなさまへ (BCCにて)松元
4月11日にダルノキ−ベレス博士の再臨界を問う論文をお伝えしましたが、その後東電は根拠となる塩素38 (Cl-38)の測定値を撤回しました。
それに対する同博士の東電に対する所見と要請です。小出先生のコメントも掲載され、前回同様、乗松聡子さんから送られました。東電からの回答を求めています。
それにしても、東電の情報隠匿には免罪への戦略的意図を感じてなりません。
========
《東電の塩素38測定値撤回に対する
ダルノキ−ベレス博士の所見と情報開示の要請》
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_24.html
Sunday, April 24, 2011
福島第一の1号機の溜まり水から検出された塩素38のの計測値を元にし、再臨界の可能性を議論したモントレー国際問題研究所不拡散研究センターの研究員、ダルノキ−ベレス(Ferenc
Dalnoki-Veress 「ダルノキ=ベレス」、また「ベレス」の部分を「ヴェレス」と表記しているところもあります)博士の論文は3月31日に『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』に掲載され、4月1日に当サイトでIEERエネルギー環境研究所のアージュン・マキジャーニ所長による解説文を紹介し、論文全文の翻訳を4月9日に発表しました。
しかし、東電は4月20日、この塩素38 (Cl-38)の測定値を撤回しました。それを受けて、ダルノキ−ベレス博士は以下のような所見と質問をまとめ、4月20日に『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』誌に発表しましたので、ここに更新部分の日本語訳と原文を紹介します。専門的な内容と思いますが、これを見た方は、東電、保安院、原子力安全委員会等関係者、報道機関等に届くよう、協力をお願いします。
また、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんからコメントをもらっておりますのでダルノキ−ベレスさんの文章の下に掲載します。
(『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』編集委員 Peace Philosophy Centre 代表 乗松聡子)
福島第一原発1号機(タービン建屋)で見つかった高濃度放射性塩素-38の原因は何か?
2011年4月20日付重要更新
4月20日のプレスリリースで東京電力は、3月25日発表の、第一号機原子炉冷却に使用された海水のCl-38放射能濃度測定値 (1.6 MBq/mL) を撤回し、
「検出限界未満」とした。この当初の測定値を元に、そのような高濃度は、不慮の過渡臨界の可能性を想起せずには説明できないと私たちは判断していた。東京電力がこの測定結果を撤回し、同プレスリリースに示されるように、分析プロトコル改善に着手したのは、喜ばしいことである。
しかし、なぜ、不充分な類別記述のまま(同プレスリリースにおいて、Cl-38 の読みは1.6MBq から「検出限界未満」と変更され、変
更理由は「主要ピークによる核種の同定及び放射能濃度の決定」とされる)誤りを撤回したのかについて、説明が願わしいところである。たとえば、Cl-38の主要ガンマ線は1.64 MeV
および 2.16 MeVにある。これらがいかなる線と干渉して6桁下げることが必要とされたのだろうか。もしカウント値がCl-38 の為でなかったのなら、いか
なる同位元素が 1.6MBq/mL に匹敵するカウント値を持っていたのか。
4月4日の原子力安全・保安院による批判以来、東京電力が取ってきた処置は歓迎されるが、私たちは更に厳しい同位元素測定プロトコルと適時の結果報告を促したい。さもなければ、東京電力の重要な測定について一般人の信頼が更に損なわれるのではないか。よって、以下の処置を東京電力が取ることを勧めたい。
1)(単一の数字だけでなく)全スペルトルデータを公表する。
2)試料採取日時を公表する。
3)試料測定の日時を、計数時間とデッドタイムを含めて公表する。
4)測定を同じ日の違う時刻に何度か測定を繰り返す。
5)関心の対象となる他の同位元素(たとえば東京電力が4月20日に撤回した Te-129など)も、検出限界未満であっても測定し
ていただきたい。
6)もし純粋な誤りから撤回が必要になったのなら、どういう誤りであったのか、充分な説明を加えていただきたい。
7)もし第三者の独自の分析が為されているのであれば、東京電力の測定結果判断を検証したその分析者/研究所の名前を明示していただきたい。
東京電力/原子力安全・保安院及び日本政府は前途に多大な仕事を抱えており、測定結果に基づいて重要な諸決断がなされていくことと思われる。それゆえ、分析においても結果の報告においても、厳格なプロトコルに従うことが重要である。
F. ダルノキ=ベレス (Ferenc Dalnoki-Veress)
(翻訳 Kyoko Selden)
======================================
(小出裕章さんから4月23日メールで届いたコメント)
ご指摘の点はそのとおりです。
私の推測では、Ge半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリのデータを、測定器メーカーの解析ソフトを使って自動的に解析してしまっているためだと思います。その結果を本当ならチェックしなおすのですが、それを怠ったためでしょう。
そして、半減期37分のCl-38の場合、測定時点から、試料採取時点までの減衰補正をすると大きな値になってしまいます。
たとえば、370分(約6時間)経っていたとすれば、測定時点の1000倍の値として評価しますし、採取から測定まで740分(約半日)経ってしまっていたとすれば、採取時点に減衰補正すると6桁分大きくなります。
ダルノキ−ベレスさんのコメントどおり、生データが公表されれば、一気に解決します。
2011/4/23 小出 裕章
------------------------------------
パレスチナ連帯・札幌 代表 松元保昭
〒004-0841 札幌市清田区清田1-3-3-19
TEL/FAX : 011−882−0705
E-Mail : y_matsu29 at ybb.ne.jp
振込み口座:郵便振替 02700-8-75538
------------------------------------
CML メーリングリストの案内