[CML 009219] フクシマへの危惧と将来のエネルギー供給についての提言

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 4月 24日 (日) 19:55:15 JST


みなさまへ  (BCCにて)松元
バルセロナの童子丸さんから「試訳であるが」との断り書きで15日付けガンダーソンインタビュー記事を送ってくれました。訳者了解のもと、煩瑣を避けるため対訳英文を削除してお届けします。(興味のある方は原文にあたってみてください。)注・脚注はすべて訳者のもの。

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《フクシマへの危惧と将来のエネルギー供給についての提言》 

(A.ガンダーソンへのインタビュー)

訳者より:
この翻訳は、次の2011年4月15日にグローバルコスト紙に掲載されたインタビュー記事によるものである。
Three Mile Island expert: Fukushima could kill 200,000
http://www.globalpost.com/dispatch/news/regions/asia-pacific/japan/110415/fukushima-death-toll-meltdown-chernobyl?page=full

この翻訳は私(童子丸開)による試訳であり、不明な部分を本文で確認していただけるように、段落ごとの対訳としている。また注釈は基本的に段落ごとに付けている。

私としてはこのインタビューでガンダーソンが語っている内容について説明や解釈は避けておくが、見出しのややセンセーショナルな書き方にばかりとらわれないようにしていただきたい。また単に現在のフクシマの状況に関することばかりではなく、インターネットを使ったネットワークによるより正確な情報の発信と拡散について、また彼が最後に述べている「パラダイム・シフト」についても注目してもらいたい。
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【引用、訳出、開始】

Three Mile Island expert: Fukushima could kill 200,000
スリーマイル島事故調査の専門家が語る:フクシマで20万人が死ぬかもしれない

インタビュー:最悪の事態は“たぶん”去っただろうが、フクシマの状況が悪化する可能性が4分の1ある。それはこのようにだ。
David Case April 15, 2011 13:57

福島原子力発電所事故が始まった何日か後で、グローバルポスト紙は、原子炉のメルトダウンが起こっているのかどうかについての独自の視点を知るために、アーノルド・ガンダーソンに会った【注1】。原子力産業で39年間の経歴のあるガンダーソンは、原子炉のオペレーターとして働き、さらにスリーマイル島事故調査の専門家を務めた。彼は現在フェアウインズ・アソシエイツ社【注2】の主任技師である。

注1:2001年3月14日付、グローバルポスト紙記事
http://www.globalpost.com/dispatch/news/regions/asia-pacific/japan/110314/japan-nuclear-meltdown-disaster Nuclear 
expert: “50-50 chance of a catastrophic radiation” 
from Japan

注2:Fairwinds Associates社ホームページ http://www.fairewinds.com/

そのときにガンダーソンは、この事故が、当事者たち【注】が語っているよりももっと悪いものである証拠があると語った。今週になって日本がフクシマの状況をレベル7、原発事故で最悪の評価に引き上げたときに、彼の査定の正確さがはっきりした。

注:「authorities」を「当事者」と訳したのは、それが、福島原発の状況についての様々な発表に責任を負うべき者たち、つまり東京電力、原子力安全委員会や保安委員会などの日本の担当当局、日本国政府首脳などのすべてを意味するものだからである。

そこで我々は、フクシマの新しい状況について知るために、再びガンダーソンと会った。次にある編集され凝縮されたインタビューの中で、ガンダーソンは、何が起こっているのか、当事者たちがこの事故をどのように取り扱っているのか、そしてフクシマが健康と環境にどのような影響を与えるのかについて、専門家としての視点を示してくれる。


グローバルポスト:先月に(日本の)高官たちはフクシマからの大規模な放射性物質放出の可能性は「小さい」と言いました。あなたはそれを否定し、グローバルポスト紙に「50−50の可能性で破滅的な放出がある」とおっしゃいました。いま、ほぼ毎日のように新たな放出のニュースを聞いています。これは破滅的な放出を意味しているものでしょうか。

アーノルド・ガンダーソン:はい、フクシマは破滅的なレベルの放射能を放出させてきています。チェルノブイリ規模の1回の爆発ではなく、3つの爆発が起こり、同時にまた将来にわたって放射性物質の漏洩が続くことでしょう。そしてその過程ではいまだに爆発の可能性が残っています。過ぎ去ったわけではありません。

※以下、グローバルポストの質問を「問:」、アーノルド・アンダーソンの答えを「A:」と表記します。(編集者注)


問:今週、日本の当局者はこの危機をレベル5からレベル7に引き上げました。これは、それがチェルノブイリに匹敵することを示しています。この事故はチェルノブイリと同じくらいに悪いものなのですか。

A:それはチェルノブイリより悪いものです。この事故はたった一つの原子炉で起こったものではありません。フクシマでは3つで起こっているのです。そのうえ、1号機から4号機までの使用済み燃料プールの中に膨大な量の核燃料があります。加えて言いますと、それは8個の原子炉炉心に匹敵する量です。

今のところ、一つずつをとってみればチェルノブイリと同じくらいに悪いとは考えません。しかしそれらは基本的に8種類の異なった問題を抱えています。


問:日本政府は、フクシマがチェルノブイリの10パーセントを放出したと言っています。これは正確だとお考えですか。

A:それは放出されたものの最小値だと言いたい。もうすでにチェルノブイリと同じくらいの量が放出された可能性があります。たとえそうでなくてもその方向に向かっています。私は、日本人たちが恐怖感を与えることを避けたいと思っているのだと考えます。その結果、彼らは放出を大げさに言うよりもむしろ控えめにしようとするのです。

放出された放射線量の推定は決して容易ではありません。私はチェルノブイリとスリーマイル島を研究してきました。どれくらいの放射能が放出されたのかについての統計は、事故が終結してから、危険覚悟の学者たちによって作られました。原発事故の最中では、放射線検出器がすべて粉みじんになっていますので、実際には汚染を計っているのではなく、サンプリングに基づいて計算しているのです。その作業をするときにバイアスをつけることができます。


問:では、もしそれがチェルノブイリよりも悪いとすれば、今までで最悪の産業事故でしょうか。

A:私は、それはインドのボパール化学工場事故(何十万人もの人がイソシアン酸メチルの毒ガスにさらされ、万を超える人が死んだ【注】)と肩を並べる部類に入ると思います。ですからチェルノブイリよりも悪いのですがボパールと同じ部類に入ります。でも当然ですが、コストの面でいえば今までで最も高くつくものです。

注:ボパール化学工場事故については次を参照のこと。(Wikipedia) 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%B7%A5%E5%A0%B4%E4%BA%8B%E6%95%85

私は、フクシマが誰をも傷つけないだろうと言う科学者には全く賛同できません。信頼の置ける科学者たちによる数値を見れば、フクシマによって、今からの50年の間に、増え続ける癌によって20万人が死ぬことになるでしょう。


問:避難地域は十分に大きいですか。

A:それは大きさの問題ではなくタイミングの問題です。私は1ヶ月前に30kmにすべきだと言っていました。いま日本政府はそれを30kmに広げていますが、人々がそこを離れるのに1ヶ月の時間を与えています【注】。

注:これはやや不正確であり、ご存知の通り「計画的避難区域」に指定された場所には30kmを超えたところがある。

フクシマ発の良いニュースが何かあるとすれば、その間のほとんどの時に海に向かって風が吹いていたことでしょう。もし海の方から風が吹いていたならば、日本は半分の地域に分けられていたかも知れません。風が逆方向だったのなら、本州を横切る居住不可能地域ができていたかもしれません。


問:国際的な諸機関がそれを効果的に監視しているのでしょうか。

A:国際原子力機関(IAEA)がまさに最初の週から続く分析の背後にいます。私が70%の燃料が破壊を受けていると言っていたときに、彼らはそれを5%だと言っていました。私はIAEAのデータが正しいなどとはとうてい信じることができません。


問:あなたのような独自の専門家がどのようにしてデータを得るのですか。

A:私は世界中にいる個々の大学教授の非公式ネットワークで作業をしています。もっと多くの人々がこのネットワークを通して情報を提供してくれることを本当に望んでいます。チェルノブイリとスリーマイル島での私の経験で分かるのは、政府と産業界が結託して個人の手に情報が集まらないようにしようとすることです。同じことはフランスでも起こっています。そこでは多くの電力を原子力でまかなっています。その国の政府はチェルノブイリの放射線放出を低めに見積もりました。

我々がインターネットを持っていることが当時との違いです。個々の科学者たちは情報をすばやく共有することがより簡単にできます。そして官僚たちはそれにどう対応すればよいのか知りません。ですから私は、このことが政府による情報のねじ曲げを防ぐだろうと期待しているのです。しかしながら私は、この連中がまさにいま、この危機の過小評価を上手にやりのけていると思っています。


問:この危機はいまやレベル7になっています。核施設事故で起こる最も厳しい事態です。これはこの事故がどれほどひどいのかを正確に表しているでしょうか、あるいはもし8とか9とかがあったら、あなたはもっとひどいものと考えるのでしょうか。

A:いまそれはレベル7です。あなたがお聞きしているのはもっと悪くなる可能性があるのかということですね。答はイエスです。未来にとっての最大のリスクについて説明しましょう。

1号機ですが、炉心に水を入れることができない原子炉の中に泥状のものがとても多くたまっているため、炉心の中に水を送ることができません。通常なら過熱とメルトダウンを防ぐために炉心に水を入れなければなりません。でもそうではなく、外側から水をどんどんかけて原子炉を冷やしているように思えます。

それはうまくいっています。ただし、1号機の格納容器が水による過大な重量に耐えるように設計されていないという場合を除いて、です。もし次の地震が起こったら、それが事故を起こしたマグニチュード9のものでなくても、ほんの7程度のものでも、格納容器は壊れるかもしれません。

そうなれば、1号機はおのずと新たなチェルノブイリになるのでしょう。

しかし、いま私が最も恐れるのは4号機の使用済み燃料プールです。それは格納容器の外にあって、もう原子炉を動かす力が無いくらいに劣化していてもまだ十分に放射性のある核燃料がそこに蓄えられています。私はこれを非常に心配します。

今週、ヨウ素131が使用済み燃料プールから発見されたという報告が出ました。ヨウ素131は核分裂反応からのみ出てきます。そしてその短い半減期のために、80日間ほどで姿を消します。

言い換えると、ヨウ素131の存在が、使用済み燃料が人間の手を借りずに自らの連鎖反応を始めたことを示しています。

ここから、燃料の収納棚が変形していることが分かります。地震によってか、落ちてきたクレーンによってか、あるいは最初の爆発の熱によってか。


問:あなたはいま使用済み燃料プールの中で燃料を分けている収納棚についてお話ですが、これは原子炉内で普通に進行する連鎖反応を防ぐためのものです。そして、それらの収納棚が明らかに破損しており、核燃料が臨界量に達することを可能にし、制御不能な状態で自身の核分裂連鎖反応を再開した、このようにおっしゃっているわけですね。

A:そうです。作業員たちが4号機の(使用済み燃料プールの)中に注水する、それは冷やさなければならないのですが、そうしながら彼らは基本的に、反応を止める制御棒も放射能を閉じ込める建屋も無いのに、原子炉を働かせているようなものかもしれません。

だから4号機がまだはっきりと危険なのです。核燃料は連鎖反応で非常に熱くなり水は再び沸騰するでしょう。するとプールで火災が発生するのかもしれず、重い元素の一部を揮発させ非常に発がん性の高い物質を大気中に放り出すのかもしれません。きわめて憂慮すべきことです。

問題はそればかりではありません。もう一つの心配は、この事故の結果として4号機の建屋が構造的に弱っていることです。あらゆる過剰な加重に耐えるように下から補強しなければならなくなるでしょう。今はプールに水がほとんど入っていないか空っぽになっています【注1】。プールにはひびが入り水で満たすことができるかどうか明らかではありません。もし満たしたとしても重量が大きく、もう一度地震が起こればビルが壊れるかもしれませんし、そうなるとまずいことになるでしょう【注2】。

注1:実際には4月12日の段階で4号機プールには水が入っている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110413/dst11041320180051-n1.htm

http://www.youtube.com/watch?v=ymzJ0lIumN4
http://www.youtube.com/watch?v=y-ej41WaJcU

このインタビューがこの情報の発表される前に行われたか、あるいはガンダーソンがこの情報を知っていなかったのだろう。ただし東電も「燃料の損傷」は認めている。
注2:訳文の後に関連事項を脚注として付けておく。


問:この事故はどんなふうにもっと悪くなるかもしれないのでしょうか。

A:私は、もし新たな地震が1号機を襲ったならば、あるいは4号機の使用済み燃料プールが人の手の付けられない状態で核分裂連鎖反応を始めたら、事故は悪化すると思います。どちらも10%から20%の確率で起こるかもしれません。ですから、70%の可能性で最悪の事態が過ぎ去り、30%の可能性でもっと悪い事態になるのでしょう。

空中に多くのボールが飛んでいます。憂慮する科学者の会(憂慮する科学者同盟)【注】のデイブ・ロックバウムの言うとおりです。「世界一の奇術師がボールを空中に投げるにしてもその数が多すぎる。それらは空中で多くの危機的な状態になっている。そして一つのまずい動きが事態をずっとずっと悪いものにしてしまうかもしれない。」

注:「憂慮する科学者同盟」については次を参照のこと(はてなキーワード)
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CD%AB%CE%B8%A4%B9%A4%EB%B2%CA%B3%D8%BC%D4%C6%B1%CC%C1


問:2号機と3号機の危険についてはいかがでしょうか。

A:2号機では燃料を冷やすための注水が行われています。原子炉は常に閉ざされたシステムを使って冷やしているのですが、そこでは燃料棒の間を冷却水が循環しているのです。水が熱くなれば熱交換器で冷やされ再び炉に送られます。それが原子炉外に出ないので放射能は内に閉じ込められます。

しかし2号機の上から注水される水は、容器で漏れがおこって底から流れ出ています。ですからこの2号機が太平洋最大の汚染源なのです。莫大な量の水が常に流れ出ていくことでしょうが、安定しています。私はこれがより悪くなるとは考えません。


問:3号機はどうですか。

A:3号機は最も多くの残骸があり最悪であるように見えます。でも原子炉は実際には最も冷えている状態です。沸点に近い華氏200度(約93℃)で、他の機よりも冷えています。【注】

注:それぞれの原子炉の温度については次を参照のこと。(原子力安全委員会資料によるグラフ)
http://atmc.jp/plant/temperature/

ただ、3号機の使用済み燃料プールが部分的に破壊されていることはあらゆる写真から分かります。そしてそれは爆発のために最もひどく汚染されています。この設備の損害を見ると、燃料がまき散らされており元に戻すことは困難だろうと思います。


問:東京電力と日本の当局者たちはこの危機を処理する、そしてこの危機を伝えるのに、良い仕事をやっていると思いますか。

A:いいえ。彼らは最初のうちに比べるとましな仕事をしていると思います。しかし、私は彼らが良い仕事をしているとは思いません。少なくとも最初の3週間で起きた問題の一部は、データが実に貧弱だったことです。まずいデータに基づいて良い決定をすることは不可能です。このことが、貧弱な決定がなされたことに影響したと思います。
いまコントロールすることに限っていえば、よりましな状態になっています。しかし私は、彼らがこの危機を人々に本当に伝えているとは思いません。


問:人々に対する衝撃について語りましょう。この事故は日本にとってどんな意味を持っているでしょうか。人々はいつ自分の家に戻ることができるのでしょうか。

A:6マイル(約10km)内では、1世代のうちに戻れることはないでしょう。あまりに汚染が激しく、浄化するのに時間がかかりすぎます。燃料棒の形に収めていたプルトニウムが原発敷地の外ですでに発見されています。また25マイル(約40km)も離れた一部地域でチェルノブイリよりも高濃度のセシウムが見つかっています。日常のそして家畜のモニタリングが何年間も行われるでしょう。


問:海への影響はどうでしょうか。魚にはどんな影響がありますか。

A:次のようにです。セシウムは海底に沈殿します。そして水生植物、海藻や他の生物によって吸収されます。底をはう動物たちはそれを食べ、他の動物がそれらを食べます。そしてそれは食物連鎖の段階を上っていきます。結果としてセシウムは、我々と日本人が食べる、たとえばマグロやサケのような大きな魚の中に入るでしょう【注】。
海産生物と放射能 ― 特に海産魚中の137Cs濃度に影響を与える要因について魚のモニタリングは何十年間も続くと思います。
   
注:次の資料を参照のこと。
http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=radioisotopes1952&cdvol=48&noissue=4&startpage=266&lang=ja&from=jnlabstract



問:日本にとって何が制限されるでしょうか。

A:汚染地域の大部分が原発から100マイル(約161km)の範囲内に位置づけられるでしょう。問題は泳ぐ魚です。大型魚は長距離を泳ぎます。そしてもちろんですが、それらは世界中で食べるために釣り上げられます。これらの肉食性のものに汚染が見られるには時期尚早です。それは食物連鎖の中で上っていかねばなりません。

いま東京で魚を食べてもたぶん大丈夫です。3ヶ月か4ヶ月を過ぎると今よりもっと心配になります。魚肉のサンプルをモニタリングして汚染があるかどうかを調べる探知機に入れなければならないでしょう。すでに発電所から南に35マイル(約56km)で小魚に汚染が発見されたと言われます。【注】

注:次の報道を参照のこと
http://www.asahi.com/national/update/0404/TKY201104040370.html
茨城沖コウナゴに放射性ヨウ素 野菜の基準の2倍
http://www.asahi.com/national/update/0413/TKY201104130618.html
福島沖コウナゴ、基準大幅に上回る放射性物質


問:汚染は人間の消費には有害なレベルなのでしょうか。

A:はい。例を挙げますと、チェルノブイリのセシウム137はドイツ内に漂いました。300マイル(約480km)も離れた場所について言っているのです。25年後の今になってさえ、セシウム137を吸収した土に生えるキノコを食べている野生のイノシシは食べられません。

ハンターが野生イノシシを捕らえた場合、彼らは州の研究所にそれを持っていってきれいかどうかを調べてもらいます。野生イノシシの3分の1が汚染されています。これは空気中に放出された放射能についての例なのですが、水中への放出がそれと何か異なるとは想像できません。


問:日本で製造され世界中に運ばれる多くの製品についてはどうですか。安全ですか。

A:食べ物を除けば、私はトヨタやコンピューター用のシリコンチップや他の工業製品については心配していません。それらはきれいでしょう。


問:北米大陸で健康への被害があるでしょうか。あなたは身を守るために何をしますか。

A:私はヨウ素の錠剤を買いましたが、使っていません。私はニューイングランドに住んでいますが、そこで放射性のヨウ素が心配するほど多くは検出されないでしょう。私はまだカリフォルニアやアラスカや他の西海岸でのデータは見ていません。


問:前回のインタビューの後で、あなたはヴァーモント州上院議員からラッシュ・リンボー【注】にいたるまでの幅広い人々から、人騒がせなやつだと非難されました。いまこの危機はレベル7に達しています。最高レベルですが、あなたは彼らにどう返答しますか。

注:ラッシュ・リンボーについては次を参照のこと(Wikipedia) 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%BC

私は本当に客観的でした。私が人騒がせというよりは、彼らが弁解者だったのです。事実の記録は人騒がせが正しく弁解者が間違っていたことを明らかにしています。


問:解説者の一部は、フクシマ事故があったとしても、原子力は石炭よりもはるかに安全だと言っています。石炭は毎年何千人もの人々を、炭鉱事故と汚染によって起こる肺がんなんかで殺していると言うのです。この意見に賛同しますか。

A:石炭は多くの人を殺しており、それに疑いはありません。しかし石炭がより多くの人々を殺すからもっと原発が必要だと言うのは話のすり替えです。

我々は集中型の発電というパラダイムを考え直す必要があると思います。それは、巨大な発電所が広大な地域に電気を供給するというものです。それが石炭であれ核であれ、それはまさに20世紀にとってのものであり、21世紀にとっては間違ったものです。

日本で原発によって人が死のうとしているからといって、我々は直ちに原子炉を止めてしまうべきではない、というのが私の考えです。それは単に不可能なだけです。そうではなく、フクシマによって、我々は一つの発電所に巨大な量の資金を投入するというパラダイムを調査せざるを得ないでしょう。ジョージア州のVotgle発電所では、二つの炉に200億ドルがつぎ込まれることでしょう。私は、我々のお金が電気を配るのにもっと上手に使えるはずだと思います。

スマートグリッド【注1】、送電の融通、そして2メガワットの風力発電やガスによって動く「ブルーム・ボックス【注2】」のような電源の登場に伴って、私は2040年までにはエネルギー配給ネットワークができるだろうと思います。新たな原発は電気のマジノラインのようなものです。それらを作ることによって、我々は問題点の解決を試みることになるでしょう。テクノロジーはすでに克服しているのです。フランスが作ったマジノラインはドイツの侵攻を止めようとしたものですが、ドイツはそれを迂回しただけだったのです。

注1:スマートグリッドについては、次を参照のこと(Wikipedia) 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89

注2:“bloom box”については次を参照のこと(Wikipedia英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/Bloom_Energy_Server

Editor's note: Here's GlobalPost's first interview with 
Gundersen, conducted immediately after the accident.

【引用、訳出、ここまで】

脚注:インタビュー中でガンダーソンが述べている福島4号機の使用済み燃料プールについて、2011年4月22日付のNHKニュースには次のように書かれている。
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(前略)
福島第一原発の4号機は、地震発生当時は定期検査中だったため、5階部分にある使用済み燃料プールには、第一原発の中で最も多い核燃料を束ねた燃料集合体1535体が入っていましたが、震災のため、海水を使った本来の冷却機能が失われました。今月12日に水温を調べたところ、およそ90度と通常の2倍以上の温度になっていることが分かり、東京電力は、熱で水が蒸発して燃料が露出しないよう、1日70トンのペースで水を入れています。

しかし、4号機は先月の爆発でプールを支える建屋の壁が損傷しており、水を入れすぎると重さで建屋そのものの健全性が失われるおそれがあるとして、東京電力はどのくらいの量の水を入れていくのが適当か、22日から調査をはじめました。方法としては、水を注入している特殊な車両のアームの先端に、水位と温度を測ることができる装置を付け、水を入れた量と水位などを比べて、蒸発した量を推測するということです。東京電力によりますと、22日の調査で、水温は91度、水位は燃料からおよそ2メートル上になっていたことが分かったということです。4号機は、事故の収束に向けた工程表の中で、プールの底を支える柱を設置する対策を取ることになっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110422/t10015498971000.html
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