[CML 009203] ヴィットリオ・アッリゴーニの母親インタビューとガザ自治政府の逮捕劇発表
Yasuaki Matsumoto
y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 4月 24日 (日) 03:14:11 JST
みなさまへ (BCCにて)松元@パレスチナ連帯・札幌
ヴィットリオ・アッリゴーニを日本に紹介している在イタリアの石山奈緒さんから、殺害直後にイル・マニフェスト紙に掲載されたヴィットリオの母親のインタビュー記事とガザ自治政府が発表した容疑者逮捕の記事2編をお届けします。(なお、ヴィットリオ殺害の件や母親の記事については、boycottilの八鍬みずこさんがいちはやくその一部を紹介しています。)
http://fromolivegarden.blogspot.com/
イスラエル国内では、ヴィットリオ殺害は「ハマスの仕業」となっているようです。イタマール入植地での殺害事件では、ついに「パレスチナ人容疑者2名逮捕」と発表されました。3月31日発信「虚構の体制―国際的二重基準に目を向けよう」でも、在イスラエルのMさんの証言を紹介しましたが、パレスチナ人が入植地に入り込んで殺害しその後入植地から逃げ出るということ自体が、イスラエルの警備体制から不可能に近いとMさんは述べています。ヴィットリオ殺害の件にしても、ジュリアーノ殺害の件にしても、イタマール虐殺事件にしても、「ハマスがやった。パレスチナ人は残酷だ」と国内に報道して一石二鳥の利益を得るのはイスラエル政府自身ではないか、と私(松元)は疑っています。
ヴィットリオの母親エジディア・ベレッタ・アッリゴーニは殺害直後のインタビューで「ヴィットリオはいまほど生きたことはない」と述べ、「イスラーム聖戦からアル・アクサー殉教旅団まで、ISMのような尊敬されている支援組織の活動家を誘拐し殺す武装のパレスチナ集団を、私は想像できない。ヴィットリオの死を喜ぶ唯一の人びとは、入植者らと軍、ネタニヤフと、私は確信しています。」と語ったと伝えられています。
なお、ヴィットリオの母親エジディア・ベレッタ・アッリゴーニは、5月末にイタリアを始め多くの国から出発するガザ自由船団に参加するということです。レイチェル・コリーの母親を想い出します。
==========
■VITTORIO NON E' MAI STATO COSI' VIVO COME ORA DI
EGIDIA BERETTA ARRIGONI DAL MANIFESTO DI OGGI.
pubblicata da RESTIAMO UMANI il giorno domenica 17
aprile 2011 alle ore 15.03
2011年4月17日 日曜日 イル・マニフェスト紙
エジディア・ベレッタ(ヴィットリオ氏の母親)
《ヴィットリオは今ほど輝いたことはなかった》
英雄になるためには、新聞の第一面を飾るには、家の外にテレビの取材班を集めるためには死ななければならなかったのだろうか、人間であり続けるためには死ななければならなかったのだろうか。
いま私の頭に浮かぶのは、2005年のクリ スマス、ベン・グリオン空港の刑務所に入れられたヴィットリオの姿、そして彼の手首にくっきりと残った手錠の痕、イタリア領事との連絡が断たれたことや茶番劇のような裁判のことである。そして同じ年の復活祭の時にアレンビー橋の先にあるヨルダン国境側でイスラエルに入国しようとしたヴィットリオをイスラエル警察が拘束し、彼をバスに押し込め、女性警官1人を含む計7名の警官たちが彼の体に一切外傷を残すことなく(彼らは本当にプロであった)「あこぎなやり方」で暴行を加え、その後顔面を地面に叩き付けるように彼をバスから放り出し、最後の当てつけに軍用靴で彼の髪の毛ごと踏みつけた。
ヴィットリオはイスラエル国内では歓迎されていない人物であった。なぜならその前の年に友人のガブリエーレと一諸に、ブドゥルス村の住民たちと「恥ずべき壁」に対するデモンストレーションを行ない、そこで住民たちに我々イタリア人パルチザンにとって最も素晴らしい歌「オー、ベッラ・チャオ、チャオ・・・」を教えながら一緒に声を張り上げて歌うような危険分子であったからである。
その時から私はテレビを見ることはなくなり、それは2008年の秋にパレスチナ領海上のラファ沖で対テロリスト特殊部隊によってパレスチナ漁船が襲撃され、ヴィットリオはラムレ刑務所に拘留された後、 トレーナーとサンダル姿でイタリアへ強制送還
された時もそうであった。
もちろん今となっては、思いやりを持って私たちの側に寄り添い、敬意を払いながら過度にならぬ範囲で私たちの家を「防衛」し、また私がヴィットリオのことをはじめ、彼が持ち続けていた理念について話す機会を与えてくれた新聞社とテレビ局の方々には謝意を表明する。
今までにこれほど私の亡き息子は輝きを放ったことはないだろう。まるで地面の下で朽ち果てて死に、その後豊かな実りを結ぶ一粒の種のようである。私は彼の友人たち、とくに若者たち(近くにいる人もいれば、かなり遠くにいる人もいる)の言葉からヴィットリ オの姿を再び目に
することができ、そして彼の声を耳にしている。
これらの若者たちはヴィットリオを通じて「ユートピア」をどうやって実現するのか、正義と平和への渇望や兄弟愛と連帯運動が未だに市民権を得ていること、そしていつもヴィットリオが言っていたように「パレスチナは自分たちの近くにも存在する」ことも知っており、今となってはより深くそのことを理解している。
以前私たちはヴィットリオから離れた場所にいたが、今はすごく近い場所にいる。 彼の愛した地中海、ガザから吹く風と同じく、輝
きを放つ彼の存在は刻々と巨大化し、声を持たない人々や弱者、そして圧政に苦しむ人々へ向けた彼の思いと愛情が一つの証言と一緒になって、突風とともに私たちの手元に届いた。人間であり続けよう。
(石山奈緒訳)
英文はこちらでどうぞ。
http://www.salem-news.com/articles/april172011/viks-mom-eba.php
==========
■Gaza authorities release details of arrest raid
http://www.maannews.net/eng/ViewDetails.aspx?ID=380748
2011年4月21日マアン・ニュースより
《ガザ自治区政府、逮捕劇の詳細を発表》
ガザ市(マアン紙):ガザ自治区政府はヴィットリオ・ アッリゴーニ氏殺害の経緯を明らかにするためあらゆる手段を講じたこと、またこれらの容疑者の特定に成功したと水曜日内務大臣スポークス マンのエハブ・アル・グセイン氏が発表した。
イタリア人人権活動家殺害に関わったと推定される容疑者2名が死亡、また残り1名が負傷した。火曜日、容疑者たちが潜伏しているガザ市内の建物の外で膠着状態が続 いた
後、ハマス治安部隊がその建物に強行突入した。
水曜日アル・グセイン氏は突入作戦の詳細を明らかにした。
ガザ市内で行なわれた記者会見で彼はビデオ映像を使って説明し、容疑者の一人ビラル・アル・ウマリの母親が自分の息子に向かって逮捕後の身柄の保証を取り付けたことを伝え、彼に自首するよう訴えた。
また治安部隊は容疑者たちが解放を要求していた指導者ヒシャム・アル・サーイードゥニも現場に同行させて、容疑者たちに自首するよう彼からも説得させたとアル・グセイン氏は説明した。
内務省は強行突入にまで至る経過を撮影した劇的なビデオ映像を発表した。容疑者たちの家族が彼らに警察に自首するよう必死に説得している様子が写り、続いて銃声が響き渡った。
「ガザの治安を乱そうとする者たちにとってこれは一つの教訓となったであろう。」とアル・グセイン氏は話した。
「この犯罪の背後に隠れている者たちは、国際連帯運動に対するテロ行為を作り上げてパレスチナ人社会の分裂を狙う計画に失敗した。」と付け加えた。
アル・グセイン氏は誘拐から現時点に至るまでの経緯を時系列に並べて説明した。
―火曜日の誘拐事件発生後「間もなく」治安部隊はパレスチナ人2名を逮捕したとアル・グセイン氏が発表した。彼らはこのグループのメンバーたちと一緒に誘拐行為に加担したことを認めた。
―ヴィットリオ氏の殺害が発覚した後、捜査員たちは逃亡中であるメンバー3名の居場所を突き止めた。治安部隊はその隠れ家を包囲し、法に基づいて自首するよう容疑者たちに繰り返し求めた、と同氏は語った。
―容疑者たちが銃を発砲した際、治安部隊の1人が重傷を負った。
―容疑者らに自首するよう要求しな がら6時間が経過した後、治安部隊がその建物を制圧しようと試みた。容疑者らが立て篭もった建物の屋根部分に治安部隊のメンバー2名がよじ登った。
―アブドゥル・ラフマン・アル・ブ レイザットがそれらの治安部隊メンバーの存在に気が付き、治安部隊に向かって手榴弾一発を投げ、その結果外に待機していた治安部隊メンバー1名が重傷を負った。
―アル・ブレイザットが建物の二階部分に手榴弾を投げ、ビラル・アル・ウマリが瀕死 の怪我を負い、またマフムッド・ムハンマド・
ニミル・サラフィーニが軽傷を負った。
―その後アル・ブレイザットは自分の頭を銃で撃ち抜いた、とアル・グセイン氏が話した。
一方、パレスチナ人権センターは治安部隊による強行突入の際に容疑者2名が死亡した件に関して調査を求めた。
パレスチナ人権センターは法務長官に対し、これらの死亡に関する調査と新たな情報を公開するよう求めた。
また人権団体はアッリゴーニ氏に対する「凶悪な犯罪行為である」 と繰り返し非難し、誘拐と殺害に至った経緯を全面的に
解明するよう強調した。
(石山奈緒訳)
=========
●ヴィットリオ・アリゴーニ(1975-2011)へのオマージュ
http://www.youtube.com/watch?v=Ok9ri4SPJns&feature=player_embedded
●ガザの何百人もがイタリア人活動家を讃える
Hundreds in Gaza honour Italian activist... - no
comment
http://boycottil.seesaa.net/article/196620864.html
http://boycottil.seesaa.net/article/196830569.html
http://www.youtube.com/watch?v=1VLHni2ymwA&feature=player_embedded
------------------------------------
パレスチナ連帯・札幌 代表 松元保昭
〒004-0841 札幌市清田区清田1-3-3-19
TEL/FAX : 011−882−0705
E-Mail : y_matsu29 at ybb.ne.jp
振込み口座:郵便振替 02700-8-75538
------------------------------------
CML メーリングリストの案内