[CML 009177] 4月26日(火)、団交拒絶の沢田工業に抗議行動

酒井徹 sakaitooru1983 at excite.co.jp
2011年 4月 22日 (金) 16:03:20 JST


4月26日(火)、団交拒絶の沢田工業に抗議行動
――労災逆切れ・団交逃げ得は許さない!――
http://imadegawa.exblog.jp/15853856/

■労組申し入れに回答自体を拒否
派遣社員の労災についての
補償・賠償などの問題について、
被災労働者の加盟する労働組合との団体交渉を
派遣先である沢田工業(愛知県豊田市)が
拒絶している問題で、
愛知県の個人加盟制労働組合・名古屋ふれあいユニオン
(「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」加盟)は、
4月26日午後3時ごろから沢田工業に対して
本社申し入れ行動と社前での抗議・宣伝行動を、
同日午後6時から
名古屋駅前・ミッドランドスクエア周辺での宣伝行動を
行なうことを決定した。

事件の発端は沢田工業の製造担当・S氏が
プレス機の起動スイッチを誤って押し、
派遣労働者の男性の指に
障害等級10級の障害を残す労災事故が
発生したということである。
被災した
日系ペルー人の派遣社員・アルトウロさん(46歳)は
名古屋ふれあいユニオンに加盟し、
ユニオンはこれまで、
3度にわたって沢田工業に対し
団体交渉の申し入れを行なってきた。
ところが沢田工業は、
1度目はアウトウロさんと
「労働契約関係がない」などとして、
2度目は交渉事項が
「民事賠償事件である」ことなどを理由に
団体交渉を拒絶したのである。

しかし、
直接の雇用関係にない派遣先も、
自社が解決すべき問題については
労組との団体交渉に応じなくてはならないことは、
朝日放送事件の最高裁判決や
ブリジストンケミテック事件の労働委員会命令などからも
明らかだ。
また、
「災害補償」の問題が労働条件の問題であることは、
厚生労働省の通達でもはっきりしており、
「民事賠償事件である」かないかなどは、
団体交渉をするかしないかとは
何の関係もない話である。

こうした指摘を名古屋ふれあいユニオン側が行なうと、
沢田工業側は何と、
こうした団交拒絶の事実を報じた
ユニオン役員である筆者のブログ記事を非難し、
ブログ記事を削除しなければ
労組の団体交渉申し入れに対して回答すること自体を
拒絶すると宣言する挙に出たのである。

沢田工業はユニオン役員のブログ記事について
削除を要求し、
「削除しなければ
 民事・刑事を問わず法的責任を追及」するなどと
弁護氏名で「警告」してくるありさまである。
それでいながら、
ブログ記事のどの部分が
どのように間違っているのかという
ユニオン側の問いかけに対しては
一切返答しようとしない。

名古屋ふれあいユニオンはこうした事態を受けて
4月8日、
改めて団体交渉申入書(3回目)に対する
回答の督促を行ない、
1週間後の4月15日午後6時までには
必ず文書又はFAXで回答するよう要求したが、
沢田工業はこの督促を重ねて無視し、
いまだ労組への回答を行なおうとしない。

どうして返答すらしないのかという電話での追及に対し、
沢田工業の代理人を務める小谷聖弁護士は、
「そちらがブログで書いたりするからですよ」などと
責任転嫁を繰り返すのみだ。
沢田工業が団体交渉を拒絶したのが先であり、
筆者がその事実を報道したのが後なのにである。

■労働基準法は「最低基準」にすぎない
電話での追及に対して
沢田工業代理人の小谷聖弁護士は、
「労災補償は終わっている」と主張し、
その根拠は
「労働基準法第84条第1項です」と告げた。
具体的には
「この法律に規定する災害補償の事由について、
 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)
 又は厚生労働省令で指定する法令に基づいて
 この法律の災害補償に相当する給付が
 行なわれるべきものである場合においては、
 使用者は、補償の責を免れる」との条文を
指しているものと思われる。
「アウトウロさんは労災保険の適用を受けていますから
 (これ以上の労災補償の必要はない)」と
小谷弁護士は語り、
「団交を受ける義務がない」と主張した。

しかし労働基準法はその第1条2項にて、
「この法律で定める労働条件の基準は
 最低のものであるから、
 労働関係の当事者は、
 この基準を理由として
 労働条件を低下させてはならないことはもとより、
 その向上を図るように努めなければならない」と
はっきりと定めているのである。
労働基準法は
あくまで「最低」の「基準」を定めたもので、
そこからさらに労働条件その他待遇の向上を目指すために
労働組合が存在し、
団交権が認められているのである。
労働基準法さえ満たせば
団体交渉に応じなくてよいという理屈は
あまりに幼稚な論理と言わざるをえない。
最低賃金さえ支払っていれば
労組との賃上げ交渉を拒否してよいというものではないし、
法定どおりの有給休暇さえ与えていれば
その上積みを求める交渉に応じなくてよいと
いうわけでもない。

また、
労働基準法第84条には実は続きがある。
同条第2項には、
「使用者は、
 この法律による補償を行つた場合においては、
 同一の事由については、
 その価額の限度において
 民法による損害賠償の責を免れる」とあるのだ。
つまりこの条項は、
「この法律による補償」が
あくまで「最低」の「基準」にすぎず、
労災保険から出る補償だけでは
労働災害によって被災者が被った損害に対する
充分な償いとはならないことがあることを
労基法自身が認めていることを意味している。
ユニオン側の試算では、
アウトウロさんが労災に被災し、
労災保険から支払われた金額は、
障害等級10級の後遺症を残したことによる
生涯にわたる損害額より
1085万7842円少ない
(労災や交通事故などの際に生涯損失額を計算する
 「ライプニッツ係数」計算による)。
また、
沢田工業の正社員が
誤ってボタンを押してしまったことによって
痛い思いをしたことなどについての慰謝料が、
交通事故などの基準で換算すると
障害等級10級の場合は
570万円認められている。
こうした不足分合計1875万7842円は、
事故についての責任を負う沢田工業自身が
労災保険での補償に上積みして補償することで
アウトウロさんの人生に責任を取ることが
当然の筋だということが労組側の主張なのである。

現に、
労働基準法第89条1項8号は、
企業が就業規則でいわゆる労災上積補償協定を設け、
労働災害のあった場合に、
労災保険給付に加えて
実損害に応じた上積み補償を行なうことを認めているし、
労災保険給付を超える就業規則上の補償についても
これを「災害補償」と呼んでいる。
労災保険の適用を上回る「災害補償」が
労基法において使用者の義務とされていないことは
事実であるが、
民事上の損害賠償義務は残っており、
それを、
就業規則を上回る効力を持つ労使協定によって、
労災上積補償を行ないカバーすることは
可能なのである。
(わが国において、
 労災上積補償の労使協定を
 労組とあらかじめ結んでいる会社は
 決してめずらしくない。
 こうした事実を前にしても沢田工業は、
 労災保険給付を超える補償については
 「災害補償」ではないので
 義務的団交事項ではないというのだろうか。
 労災上積補償制度の創設を求めて
 ストライキを起こした労組は、
 「労働条件その他待遇」に該当しない事項について
 ストライキをしたので
 違法であるということになるのだろうか)。

このように、
紛争が会社における使用・従属関係に
密接に関連して発生したものであり、
かつ会社において紛争を処理することが
可能かつ適当である以上、
労災被害に対する補償について
会社が労組と交渉するべきことは、
2009年12月22日の住友ゴム工業大阪高裁事件でも
明らかになっている。

沢田工業側は労組を
法律家か何かと勘違いしているのかもしれないが、
労働組合は労働者の要求を実現し、
経営者の横暴を規制するための組織である。
弁護士や行政などとは違い、
「法律最低限」の履行を求める機関ではない。
自らの組合に加盟する労働者のまっとうな要求については、
それが使用者に法律上の義務があろうとなかろうと、
労働組合は堂々と、
企業に、社会に要求を突きつけ、
情理を尽くして闘っている。

「労働条件」である労災補償の問題について、
労組が労基法の規定を超えた上積み補償を求めるのは、
労基法規定の補償では
生涯にわたる損害を埋め合わせるのに不十分である以上
当然であるし、
それは労基法と労組法を車の両輪とする
日本の労働法体系全体の要請にも
かなうものなのだ。

■ユニオンは、労働者・市民に直接呼びかける
名古屋ふれあいユニオンはこれまで一貫して、
論理・道理に立脚して
文書で沢田工業を批判してきた。
しかし、
そうした名古屋ふれあいユニオンの追及の前に
沢田工業はついにだんまりを決め込み、
代理人を引き受けたはずの弁護士すら
回答自体を拒絶するという状態である。

自分たちのやっていることに正義がなく、
論理がないということを一番自覚しているのは
沢田工業経営陣ではないのか。
だからこそ、
自分たちがやっていることが大衆的に明らかにされるのを
何よりも恐れ、
ユニオン役員に
ブログ記事の削除を要求したりするのである。

名古屋ふれあいユニオンはこうした事態を打開するため、
経営者や弁護士の頭上を飛び越えて、
沢田工業の現場で働く労働者たちに
直接呼びかけを行ない、
こうした事実をありのままに
広く知らせることにした。
事実が明らかになることにおびえる沢田工業に対する
最も効果的な働きかけは、
職場で実際に生産活動を行ない、
会社を動かしている労働者たちに事実を伝え、
地域に事実を広報することであると
ユニオンは知ってしまったのである。

また名古屋ふれあいユニオンは、
沢田工業の背景資本であるトヨタ自動車の労働者にも
こうした実態を広く知らせる必要を感じている。
トヨタの下請け・孫受けで
労働者がどのような状態に置かれているのかを訴え、
「原価低減」を基調とするトヨタ式経営方式の問題点を
具体的に明らかにしてゆきたいとして、
沢田工業前抗議・宣伝行動とは別に、
トヨタ自動車の国際拠点の入居する
名古屋駅前・ミッドランドスクエア周辺での宣伝活動も
企画している。

「名古屋ふれあいユニオンは沢田工業のような、
 働く者をなめきったでたらめな会社を
 絶対に許しません。
 一人一人では弱い立場の労働者が
 国籍・会社・雇用形態の別を超え、
 助け合い、支え合い、
 断固として団体行動権を行使する。
 それが名古屋ふれあいユニオンです」と
ユニオン側は言う。

26日の行動は名古屋ふれあいユニオンのみならず、
地域の闘うユニオンの1日共同行動・
「愛知県ユニオン共同行動」の一環として
取り組まれる。
「地域の仲間たちとの共闘で、
自分たちがアウトウロさんに、
そして当労組に対して
どれほど失礼なことをしてきたのかを
心の底から反省・後悔せしめる争議行為で
沢田工業を徹底的に追い詰め、
経営陣を必ずや団体交渉の場に引きずり出します」と
名古屋ふれあいユニオン側は語り、
4月26日(火)の抗議行動への
広範な市民の参加を呼びかけている。

4月26日(火)愛知県ユニオン共同行動
(一部参加も可能)

10時45分  「大森・金城学院前」駅(名鉄瀬戸線)集合

11時〜12時 白金鍍金大森工場前抗議・宣伝行動
      (愛知県名古屋市守山区天子田2丁目1001)
       (愛知連帯ユニオン、派遣社員雇用問題)

12時〜13時 昼食

14時26分  「猿投」(名鉄豊田線)集合

15時〜16時 沢田工業前抗議・宣伝行動     
      (愛知県豊田市御船町島田52)
       (名古屋ふれあいユニオン、団交拒絶)

18時〜   ミッドランドスクエア前宣伝行動
      (名古屋駅前豊田・毎日ビルディング)

(ユニオン共同行動連絡先:090-4901-9364)

【参考記事】
派遣社員に労災問題の団交権はないのか 2011-03-21
http://imadegawa.exblog.jp/15693057/

沢田工業(豊田市)、またも団体交渉拒絶 2011-03-31
http://imadegawa.exblog.jp/15738844/

団交拒否の沢田工業、筆者にブログ削除を要求 2011-04-02 
http://imadegawa.exblog.jp/15750686/

沢田工業、3度目の団交申入に だんまり 2011-04-10 
http://imadegawa.exblog.jp/15789999/



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