[CML 009156] 司法界も生命軽視の原発支持

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2011年 4月 21日 (木) 19:39:58 JST


みなさまへ  (BCCにて)松元
やっぱり!案の定!裁判所は「放射能との因果関係」は認めません!
諸留さんが暴いています。ひょっとして、観測数値データもモニターも計測器も不十分という現実は、その対策かも?

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《パレスチナに平和を京都の会》の諸留です
[2011(H23)年4月21日(木)PM17:45]

**転送転載可**

「欲望の果ての原発電気漬け気がつきゃどっぷり放射能漬け」 


厚生労働省から放射線が原因で労災認定を受けた長尾光明氏(配管工原発労働者)は、東京電力を相手取って損害賠償請求訴訟を起こしました。一審判決前に本人の長尾光明氏が死亡した為、故人に代わって遺族が引き継いだものの、2010(平成22)年2月の最高裁の上告棄却で、長尾氏側の全面敗訴の形で終わった。その時の、最高裁の判決理由は、
「長尾氏の発症した多発性骨髄炎と原発工事での被曝との因果関係を認めない」というものであった。

またその前段階の東京高裁の下した判決趣旨でも、
「多発性骨髄腫の原因は不明である。その原因については放射線説のほか、遺伝説、慢性刺激説、感染説、加齢説など様々な説がある状況にあり、多発性骨髄腫と放射線被ばくとの間に関連性が認められるとしても、本件放射線被ばくが、長尾氏の多発性骨髄腫を招来したものと、高度の蓋然性をもって証明されたということはできず、被ばくと長尾氏の多発性骨髄腫発症との因果関係を認めることはできない」であった。

簡単に言えば、「多発性骨髄腫と放射線被ばくの因果関係は認められるが、長尾氏の場合は《確からしさ》が無いから、被ばくは病気とは関係ない」と裁判所が判断したのである。他の裁判の場合でも同様ですが、司法当局がしばしば用いる、この「高度の蓋然性」と言う場合は、相関関係が80%以上の場合にしか適用されないのですね。80%以上の関係性の証明が出来るか、否かが、目安とされているのですね。司法当局によって、この「80%以上の蓋然性」という大前提が無批判的、文字通り「先験的」に設定され続けている限り、放射線によって起因するいかなる疾病も、被害者の発病との因果関係の立証を不可能にしてきているのである。

放射線に以外でも起因する、他の様々な要因との因果関係を、ひとつひとつ検証し、立証することなど、事実上不可能に近い証明を、原告側に求める過酷な司法環境になっているのですね!最初から相関関係を80%以上とする前提、それ自体を、司法当局が廃止しない限り、長尾氏と同様の悲劇は、今後いくらでも起こるだろう。

さらに、諸外国の裁判官と比べ、我が国の裁判官は、科学や医学の基礎的知識が圧倒的に乏しい。国際専門誌に書かれた論文を採用しない傾向も強いと言われる。「米国では連邦司法センターが科学的知識について教えるマニュアルなどを作成しているが、我が国ではそうした教育も法曹界では全くなされていない」と指摘する人も多い。

科学や医学の基礎的知識に乏しい、私たち一般市民の知識と、それほど大差のない程度の裁判官が、高度に科学的医学的知識の求められる放射線被害を裁くことは、極めて危険なことと言わねばならない。しかし、司法界のこうしたオドロクベキ現状(原発現場の恐ろしい実情と同様か、ある意味ではそれ以上に恐ろしい実情)にあることさえ、私たち一般市民にも、ほとんど浸透していないのも残念である。

今回の、東京電力福島第一原子力発電所で働いている作業員の中から、今後、長尾氏が受けた被ばく量以上の、大量高濃度の被ばく者が、生じるだろうことは十分に予想され得る。しかし、現場では作業班長一人だけが放射線測定器を持っているだけで、作業員個々人全員が、それぞれ個別に計器を持っていない事も、既に多くの報告がある。また、たとえ作業員全員が所持していても、放射線量は、特に野外の場合は、たとえていえば「地雷原」の地雷探しにも似て、数メートル、数センチ違えば、右足と左足でさえ、放射線量の値が著しく異なることも、決して珍しくはない。

A作業員の測定数値を証拠として提訴しても、同じ現場で一緒に作業していたB作業員の、より低い計測数値を反論側証人の証拠として、東電や政府側から否定されることも、十分あり得る話しである。まして、線量計さえ所持していない周辺地域住民が圧倒的である。また持っていても、今後、数ヶ月、何年、何十年も、時々刻々、毎日毎日の放射線量の集計値を、何十年もわたって、計測し集計し、記録し、保存する・・・ような人など、ほとんど皆無であろう!

後年、被ばくが原因で、癌や白血病や心臓病や脳血管疾患を発症したとして、それらの疾患と原発による被ばくとの因果関係を、80%以上の蓋然性にまで、立証できる人は、おそらく皆無に近いであろう。

全国の原発建設や、運転差し止め訴訟が、全て敗訴となっているのは、以上のような、理不尽な法理論があること以外に、更に、私たちの理解に苦しむ、司法界のオカシナ事情(悪習とで言える)が、まだある。長年原発訴訟を手掛けてきた伊東良徳弁護士によれば、「原発訴訟が全て敗訴となるのは、『専門技術論裁量論』という法を運用する上での、暗黙のルールのようなものが、根深く横たわっているからだ」と語っている。

原発や、それに付随する放射性被害というような、極めて高度で専門的な科学知識を持っていない裁判官は、提訴された事項を、一つ一つ、個別的に、その全てを一から徹底的に、自分自身で改めて精査するのではなく、それぞれの分野での専門家と称する連中が、合理的推論を出して「問題は無い」「安全である」との判断を下した証拠資料が提出されていれば、そうした彼等専門家の判断を尊重するという法理論(法の運用上の方法論)があるのだそうです!そんなことになっているだなんて、私(諸留)も、今回の原発事故発生までは知りませんでした!(^^;

伊東弁護士は司法界に巣くう、もっと根深い問題点も更に指摘する。「国による安全審査は、主に単一故障指針に基づいており、一つの故障に何段階もの安全機能を付ける。しかし、このやり方では、複数の故障が同時多発的に起こる可能性は想定しなくても良いことになっている」のだそうです!
 このように「単一故障指針に基づいて」だけの安全審査であるなら、今回の福島第一原発事故の場合が典型的であるように、地震や津波などで、同時多発的に、複数の故障が複合的に組合わさって発生した事故の場合には、全く何の歯止めにもならないことは、明らかであろう!

ここからも明白に浮かび上がってくる事は、今回の福島第一原発事故の発生の有無にかかわらず、事故防止のセーフ機能が、平常時でさえ、既に全く機能しないまま、黙認され、放置され、「安全審査基準をパスした安心できるもの」として、堂々とまかり通ってきていたことが明らかになりましたね!

「コレコレの事故の危険性があります!」と、様々な資料を添えて、いくら指摘しても、原発会社側が「何千年に一度有るか無いかの確率など考慮しても仕方がない。現実性が無く無意味だ!」と拒絶し、裁判所(司法界)も「原発会社の安全審査が不合理とまでは言えない」と援護射撃し、原発会社側の主張を全面的に追認してきているのです・・・と伊東良徳弁護士は語る。

国や裁判所も挙げて、原子力発電、「原子核エネルギーの平和利用は国民生活の福祉向上、日本経済発展上から好ましいものである」との大前提を固守する姿勢を、終始押しとしてきていたことが、ここからも明らかになった。

東電や関電などに代表される原発会社の内包する深刻な問題性だけでなく、更に、上述したような、政府(国)や裁判所(司法界)の、形式的で他人まかせの、無責任な没主体的な、根深い体質を根本から洗い直し、改めてゆくように、私たち市民大衆は、さらに声を大きくしてゆかねばならない。今のままでは、関電の美浜や、中電の浜岡など全国各地で、第二のフクシマの悲劇を産み出すことは、火を見るように明らかであろう。

「欲望の果ての原発電気漬け気がつきゃどっぷり放射能漬け」 


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