[CML 008988] Re: [labor-members 21982] 深刻な反省・再出発の前提――都知事選挙の惨敗のなかで:村岡到

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2011年 4月 13日 (水) 15:03:23 JST


立川の岩下です。村岡さん、お久しぶりです

都知事選の結果にはだいぶ失望されたようですね。
「日替わり定食のような赤旗の見出し」についてふれていらっしゃいます。
共産党は、最近は「原発の段階的縮小」などとも言っていましたが、そもそも
「原子力の平和利用推進」派ではないでしょうか?
いまの状況下、そうとは言えないので「見出し」が振れただけだと思います。
事故後も日本学術会議の声明に寄り添って「情報の公開」、「補償」を要求
していただけで、決して原発全廃は言っていません。
私はさきごろ、「【書評】闘う科学者―久米三四郎『科学としての反原発』
(七つ森書館)」をBlogに載せましたが、「科学主義」「啓蒙主義」に立脚する
政党や運動の危うさを強く意識していました。
危機と破たんの時期は長く続くでしょう。その先を見据えて新たな社会や運動が
展望される必要があります。今、ここにあるものは、古着のように捨て去られる
でしょう

----- Original Message ----- 
From: "村岡 到" <logos at nn.iij4u.or.jp>
To: <labor-members at labornetjp.org>
Sent: Tuesday, April 12, 2011 8:03 PM
Subject: [labor-members 21982] 深刻な反省・再出発の前提――都知事選挙の惨敗のなかで:村岡到


> 深刻な反省・再出発の前提――都知事選挙の惨敗のなかで:村岡到
>
>  四月一一日投票の東京都知事選挙は、石原慎太郎候補が二六二万票を得て四選された。共産党推薦の小池晃候補は六三万票。東国原英夫氏は一六九万票、 渡辺美樹氏は一〇一万票。当日有権者数:一 
> 〇 五〇万人で投票率は五七・八%(前回比三・五ポイント増)。石原候補は都議会自民・同公明各推薦、他の二人は無所属、政党推薦なし。
>  一九九九年に当選して一二年間、首都東京を福祉行政を最低とし、大型開発に集中し、破綻した都民銀行に固執し、民族差別や女性差別の暴言を繰返し、現下の最大の話題である原発についてはわざわざ現地福島の県災害対策本部を訪れ、報道陣に「私は原発推進論者です」と公言する人物に、都民の二六二万人が一票を投じたことは、驚きにすら値いする。呆れると言ってもよい。東京は日本の人口の一〇分の一を占めている。首都という特別な位置もあるが、日本人の平均的意識の反映なのだから、驚いたり呆れたりするのは、そのほうがおかしいのかも知れない。渡辺氏は敗戦の弁で「都民は現状維持を望んでいる」と語ったが、それが正確な認識のようだ。ともかくしっかり認識しておかなくてはいけない数字=現実である。事態はきわめて深刻である。
>
>
>  小池氏の六三万票は、前回の吉田万三氏の得票よりも五六〇〇票少なかった。得票率でも一〇・四%で、吉田氏より一%少ない。惨敗と評価すべきである。知名度は吉田氏よりも高く、前回は浅野史郎氏が立候補して一六九万票も得たが、今回はその勢力は立候補できず「分裂選挙」は避けられたし、石原都政にもっとも強く批判を加えたのは小池氏だったからである。にもかかわらず、小池氏は共産党のごく周辺にしか浸透しなかった。
>  ところが、この結果を、小池氏の母体である革新都政をつくる会は翌日の声明で「善戦健闘」と評価した。得票については「前回並みの票を得た」とあいまいにごまかした。とても「科学的」とは言えない。
>  日本共産党は翌日、常任幹部会名の「いっせい地方選挙前半戦の結果について」と副題のついた総括文書で、選挙戦全体の獲得議席の後退の議席数を挙げて確認したうえで、「国民の期待にこたえる結果が出せなかったことに、責任を痛感しています」と反省した。だが、「都知事選」も「小池晃」も一言も出てこない。
>
>
>  地方選挙全体の総括は、後半戦の結果が判明してからにしたほうがよいので、ここでは都知事選についてだけ、それも原発問題に限定して明らかにしたい。
>  選挙期間中の原発問題についての「赤旗」の見出しは、それこそ日替わり定食のように毎日、異なっていた。総てを書き出すのは無駄なことだが、「原発たのみを見直す」「原発脱却」「原発推進転換」「原発転換」とくるくる変わった。宣伝戦では単純明快に力強く主張することが原則である。問題は、なぜ日替わりスローガンになってしまったのか、その根拠を切開することである。その根拠は「原子力の平和利用」は必要でよいものだという考え方にある。共産党は今でこそ「『安全神話』の一掃」を強調しているが、長いあいだ、「原子力の平和利用」は必要という立場によって、「反原発」運動と距離を置いてきた。だから、原水爆禁止運動のなかでも争点・対立点となっていた。社会党系の原水禁大会では「脱原発」の分科会が設定されるが、共産党系の原水協ではそうはしない。原発問題での思想的混迷こそが、日替わりスローガンを結果したのである。一時期、共産党はその後は使用しなくなった「確かな野党」なる間抜けなキャッチコピーを選挙戦で叫んでいたが、原発問題ではそれこそ「不確か」な表現に終始した。
>  小池氏とは対照的に、神奈川県知事に当選した黒岩祐治氏は明確に「脱原発」を強調した。もちろん、選挙の争点は原発問題だけではなく、候補者の組合わせも東京と神奈川では異なるが、黒岩氏が「脱原発」を強調したことが得票を伸ばす大きな要因だったことは明白である。
>
>
>  共産党は、先の総括文書のお終いのほうで「わが党が……国民の探求を後押しするために力をつくすことが必要です」と書いている。つまり、率先先行して探求の方向を示すのではなく、「後押し」するだけでよいというのである。「前衛」規定を放棄した結果にほかならない(雑誌の誌名だけは残っている)。「唯一前衛党」は誤りであるが、先駆性や前衛性が必要なく、現状追認でよいというのなら、政党を組織する本質的な意味はない。
>  共産党にだけ問題があるのか。そうではない。共産党のセクト主義を批判する前に、自分たちは共産党以下であることを自覚しなくてはならない。共産党以外の左派政治勢力は共産党以下であり、問題にもならない。社民党の福島みずほ党首は、「国会で唯一の〈脱原発〉政党だ」と威張っている(確かにそれは事実だ)が、都知事選挙にまったくかみ合うことができなかった。〇七年の参議院選挙で無所属革新、市民派として当選した川田龍平氏が、気が付いたらみんなの党に鞍替え=変節した(二〇〇九年末)後遺症も大きく作用して、今回は浅野氏を応援した勢力はまったく動けなかった。
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>  何よりも反省しなくてはいけないことは、四年前から分かっていたはずなのに、石原候補に勝つ可能性のある候補者を、どの政治勢力も用意できなかったことである。
>  私自身について言えば、 私が編集長をしている雑誌『プランB』の表紙に「〈脱原発〉を都知事選挙の争点に!」と書き込んだり、『週刊金曜日』に同様の投書を投稿したり(四月八日号に掲載)するくらいしかできず、ごく小さいながら「小池晃を応援する市民勝手連Q」を作ったりしたが、企画していた集会は大震災のために会場が使えなくなり流会せざるをえなかった。ネット上でかすかな反響はあったが、他に波及することはなく、空振りに終わった(今だから明らかにするが、小池陣営は、この「市民勝手連Q」が集会への小池氏のメッセージをお願いしても返事すら寄こさなかった)。
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>  さらに重要な問題がある。
>  〈脱原発〉と明確に主張することは、連続して〈脱経済成長〉へと意識を向かわせ、いかなる経済システムが求められているのかを明らかにすることを迫られる。私たちにしてもなお〈脱経済成長・豊か精神社会〉という言葉を発している段階で、エネルギー政策について探究している最中なので、大きなことは言えないが、埋めるべき課題は提示している。エネルギー政策については近く明らかにするが、「原発がなくても電力はまかなえる」という主張は半分しか正しくない。電力がまかなえなくなったら原発を利用するという余地を残すからである。そうではなく、今日の人類の発展段階では原子力を制御する能力はなく、余りに危険だから原発は利用してはならないと考えるべきである(廃炉の手順については現実的に実行する必要がある)。再生可能エネルギーを活用し、エネルギー浪費を止め消費生活を変革する必要がある。ネオン輝く夜は転倒しているのだ。
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>  投票日当日に、東京杉並で一万五〇〇〇人の〈脱原発〉行動が展開された。一万人以上の大結集は近年久しい。若者が主体であったことも注目できる。しかし、この内の何パーセントが都知事選で小池候補に投票したのであろうか。そこにある分断を乗り越えることなしには、この大きなエネルギーと可能性はやがて雲散霧消してしまうだろう。二〇〇三年三月にイラク戦争勃発に抗議して日比谷公園で三万人のデモが展開されたが、今やどこにその結実した姿があるのか。
>  厳しい現実を直視したうえで、再出発しなくてはならない。その前提を箇条書きだけしておきたい。
>  1 共産党についての公平な評価。
>  2 最近になって政治活動に参加した者は別として、経験のある活動家は、自らの無能力・非力を深く反省すること。都知事選は四年前から分かっていたのだ。
>  3 選挙嫌いの克服。
>  4 〈脱原発〉思想と政策の形成と確立を。
>  5 社会変革の全体像の解明。
>  6 共通の努力の場を創造すること。そのためには常識と協調がとくに大切である。 
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