[CML 008931] 国民投票により原発政策の転換を!

河内謙策 kenkawauchi at nifty.com
2011年 4月 10日 (日) 20:41:59 JST


 河内謙策と申します。(このメールは、私の所属している自由法曹団と「平和への
結集」をめざす市民の風に対して発信した内容と同一です。今回、重複して受け取ら
れた方は失礼をお許し下さい)

 東北関東大震災の被害の状況や今後の救援・復旧活動をめぐってML上で活発な意見
の交換が行われていますが、私は、そこではあまり表明されていない一つのアイデア
を提案し、皆様の御検討をお願いしたいと思います。

 私は、原発災害を根絶し、原発政策の根本的転換を実現するために、新たな国民投
票で原発の安全が国民的に確認されるまでの間、原発の増設・新設を一切禁止するこ
との是非を問う国民投票を求める、という市民運動を、新しく展開すべきではない
か、と考えています。

 私が、原発政策の転換を国民投票により決めるべきだ、と主張するのは、原発に対
する方針こそが、日本の今後の将来を左右する重大問題と考えるからであり、そのよ
うな重大問題こそ、政府や国会にまかせることなく、主権者たる国民自身が十分な討
議と熟慮の後に決断をくだすべき問題だと考えるからです。
 私は、いわゆる「原発反対論者」ですが、その立場から言えば、原発反対の個別の
運動とともに(これはもちろん重要です)、全体としての原発政策の転換が必要であ
ること、また、今のままで行けば、「原発推進論者」が世論操作・マスコミ操作を
行って、国民の本格的関与なしに新たな原発政策を決める危険性があると考えるから
です。
  国民の力で原発政策を転換するという道筋はこれだ、と思うのです。

 原発政策の転換を問う国民投票を実施するためには、国会で国民投票を実施すると
いう法律が制定される必要があります。私は、この国民投票は、原発政策一般を問う
のでなく、「新たな国民投票で原発の安全が国民的に確認されるまでの間、原発の増
設・新設を一切禁止する」ことについて、賛成、反対、保留、棄権、を問う形にした
方がよいとおもいます。そうでなければ、アンケートのような形になり、国民の意見
が分散します。既存の原発をどうするとか、新たな代替エネルギー政策をどうするか
は、この国民投票の結果を踏まえて、国会が決めるべきと考えます。
  また、新たな国民投票法案を制定するときに、「国会は、国民投票に示された国民
の総意にしたがう」ということを同時に決議してもらう必要があります。そうでなけ
れば、必ず、国会は国民投票で示された国民の意見を参考にするだけでよい、とか、
国民投票は憲法41条違反だ、という議論が出てくるからです。新たな国民投票法案が
可決されたならば、それを実施に移すのは内閣の責任です。

 私は、国会で新たな国民投票法案が可決されるためには、圧倒的多数の国民世論の
結集・市民運動が必要であると思います。市民が正しいことを言っても、正しいだけ
では国会で通らないからです。市民運動の運動内容の中心的テーマは、署名運動にな
ると思います。具体的には、「新たな国民投票で原発の安全が国民的に確認されるま
での間、原発の増設・新設を一切禁止する、ということについて、賛成、反対、保
留、棄権を問う形での国民投票を実施する旨の国民投票法案を制定することを求めま
す。」「国民投票が実施されたならば、その国民投票に示された国民の総意にしたが
う旨の国会決議を求めます。」という2項目につき、衆議院議長及び参議院議長に対
し請願をするという署名運動を展開する必要があると思います(政党を直接の相手に
するのは、筋ではないと思います)。
 圧倒的多数の署名を背景に両院議長・国会議員に迫らなければなりません。少なく
とも100万以上の賛同署名がなければ、運動は成功しないでしょう。私は、この署名
が、自分の声がどういう形で国政に反映するか分からないでもやもやしている国民に
大きな反響を呼ぶものと考えています。とくに「年金につづいて原発まで若者に押し
つけるのか」と反発している若者に対し、「君の力で君の未来を作ってくれ」という
強力なメッセージになると想像しています。
 もちろん、この署名運動の中で原発の危険性を訴えることは当然です。国民投票を
求めるのだから、「中立的」な形の運動にしなければならない、ということはないと
思います(「中立的」な形の運動が存在することを否定する趣旨ではありません)。
“原発政策の転換の是非を国民投票で決めましょう”というスローガンと並んで“国
民投票で原発政策を転換させましょう”というスローガンを叫ぶことは矛盾では無い
と思います。
 署名運動を実施するとすれば、おそらく、ここ3ヶ月か半年が勝負でしょう。短期
間の勝負ですから、「反原発団体」だけでなく日本の平和団体・労働団体・市民団体
の総力をあげた取り組みが求められると思います。日本の民衆は国民投票で物事を決
めたことはありません。国民投票は、日本の歴史はじまって以来の歴史的事業になる
と思います。

 私のこのような提案に対し、様々な疑問、反論が表明されることと思います。私の
周囲の人間にこの構想についての意見をきいたところ「被災者の救援が先ではない
か」という意見がありました。たしかに被災者の救援は重要です。しかし、福島原発
の問題の長期化が予想されるという情勢の下で、いろんな問題が一気に吹き出てきて
います。どさくさにまぎれた原発肯定の宣伝もなされていますから、あれかこれかと
考えるのでなく、総合的に取り組むしかないと思うのです。
 また「国民投票で負けたらどうするのか」という意見もだされました。私は、そう
いう危険もあると思いますが、それでも、国民的討議の中であらたな原発政策が決ま
らないかぎり、原発政策の転換の可能性は小さいし、私たちが民主主義を大事だと考
える以上は、その結果が自分に都合のいいときだけ民主主義を主張することは許され
ないと思うのです。私たちは、日本民族、日本国民の一員なのです。「国民投票で負
けたらどうするのか」と消極的に考えるのでなく、誇りをもって、原発に依存しない
新たな日本をつくろう、と日本の人々に呼びかけたいと思います。
                            以上


河内謙策(kenkawauchi at nifty.com)






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