[CML 008783] 新刊紹介:朝日新聞取材班 『証拠改竄――特捜検事の犯罪』
maeda akira
maeda at zokei.ac.jp
2011年 4月 4日 (月) 11:58:07 JST
前田 朗です。
4月4日
昨年9月21日の朝日新聞スクープに始まった衝撃の大阪地検特捜部FD改竄事件。
その取材過程を詳しく描いた本が出ました。
朝日新聞取材班『証拠改竄――特捜検事の犯罪』朝日新聞出版
1470円
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=12457
「大阪地検特捜部で起きた、押収した証拠を検事が改竄するという前代未聞の犯
罪。この犯罪をスクープした朝日新聞大阪社会部の記者が、調査報道の生々しい
裏側と知られざる深層を明らかにする。証拠改竄事件は、特定個人の犯罪なの
か、それとも検察組織全体の問題なのか?」
ひじょうに面白いオススメ本です。
第1に、あの大スクープがいかにして実現したのか。記者たちの闘いがよくわか
ります。検察担当で検察とお仲良しの記者たちが、厚生省の村木厚子さんの事件
報道に悩み、真実を追跡するうちに検察の犯罪にぶち当たってしまったときの苦
悩もよく描かれています。
第2に、事件や取材過程を客観的に描くだけではなく、記者たちも「当事者」と
して、事件に向き合い、自分に向き合いながら闘っていたことがわかります。
第3に、スクープ後の事態も追跡しています。元検事・前田恒彦氏の裁判は始ま
りましたが、元特捜部長・大坪弘道氏たちの裁判はこれからです。最高検と全面
対決する大坪氏やその弁護団のことは、これからのことですが、始まりのところ
までは本書でもよく理解できます。
ちなみに、あの大スクープの中心は、元下野新聞記者で朝日に転職した板橋洋佳
記者で、もちろん本書の主役です。高校時代に本多勝一『殺される側の論理』を
読んで、記者として「される側」という視点で話を書きたい、と思うようになっ
たそうです。
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