[CML 005611] 街づくり条例について考え、語る会開催=東京・世田谷(上)

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 9月 13日 (月) 08:19:14 JST


【PJニュース 2010年9月13日】「第2回世田谷区街づくり条例について考え、語る会」が2010年9月11日、東京都世田谷区の宮坂区民センター大会議室で開催された。主催は「(仮称)街づくりの仲間たち」設立準備会である。これは「区民と考える街づくり条例フォーラム」参加者有志が、まちづくりファンド「はじめの一歩」部門の助成を受けて活動するグループである。

会場は招き猫や幕末の大老・井伊直弼の墓所で有名な豪徳寺の近くである。会場となった宮坂区民センターはコンペ一席の作品が1990年に完成した建物で、野澤正光建築工房が設計した。駅と広場と施設がつながって周辺と調和した雰囲気を出している。街づくりを考える集会の会場として相応しい建物である。

世田谷区は「世田谷区街づくり条例の一部を改正する条例」を9月15日開会の第3回定例区議会に提出する予定である。既に9月3日の都市整備常任委員会で改正条例が提出予定案件として報告され、9月22日に都市整備常任委員会、9月28日に本会議で審議される予定である。
主な改正点は以下の通りである。
http://news.livedoor.com/article/detail/5005470/
・土地所有者に対して、大規模土地取引行為(売買契約等)の前に区長へ届出を義務付ける。
・大規模開発計画の場合に、区、区民、事業者による意見交換会を開催し、調整を図る。

これに対し、条例改正の進め方及び改正案の内容には多くの疑問があるとして、集会では「街づくり条例改正を拙速に行わないよう求める要望書」を区議会に提出する取り組みが報告された。要望書では「街づくり条例の改正に当たっては、もっと時間をかけて、多くの区民の意見を聞き、それを反映した内容としていただきたい」と主張する。1ヶ月足らずで千筆以上の署名が集まったとする。

条例改正の進め方の問題点は以下の通りである。

第一に区民参加と提案を軽視した改正の進め方である。世田谷区は2009年に「区民と考える街づくり条例フォーラム」を開催し、公募により延べ約300名の区民が自由に参加した。フォーラムでは8回に渡る検討が行われ、10月に都市計画課作成の形で提案書を提出した。しかし、この内容の主要部分は改正素案に反映されていない。反映しない理由の説明もなされていない。
http://www.pjnews.net/news/794/20100912_16
また、「街づくり条例改正の考え方」へのパブリックコメントが2010年1月9日から29日まで実施されたものの、素案に対するパブリックコメントや区民への説明会は実施されていない。世田谷区の区民意見提出手続(パブリックコメント)実施基準第2条はパブリックコメントについて以下のように定める。

「区民の生活に広く影響を及ぼす区の基本的な施策等を策定する場合において、事前にその案を公表し、区民その他の者が意見を述べる機会を設け、当該意見に対する区の考え方を公表する手続をいう」

このようにパブリックコメントは案に対して実施するものであり、案と比べて簡単な内容に過ぎない「考え方」に対するパブリックコメントの実施で済ませることは基準の解釈として疑問である。

第二に改正の進め方が拙速である。街づくり条例は世田谷区における街づくりの基本法とも位置付けられる重要な条例である。それを大幅に変更するにも関わらず、十分な議論がなされていない。改正条例素案は6月1日に公表され、8月下旬に区執行部が区議会各会派に改正案の説明を始めた。それを9月中の審議で可決させようとすることは乱暴である。

改正案は公表された素案と比べても変更点が少なからず存在する。区都市計画課作成の説明資料「世田谷区街づくり条例 主な改正点(概要)」も改正案と齟齬が生じている。手抜きの資料となってしまい、残念である。

区の説明がコロコロ変わっており、区内部でも改正案を煮詰められていないと推測される。最初は条例の全面改正と説明していたが、一部改正に軌道修正した。当初は「区民が主役の街づくり」との表現も、都市計画課作成資料では「区民が主体の街づくり」に後退した。【つづく】
(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)




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