[CML 005572] 研究者をカネで囲い込む米軍にNO!

杉原浩司(Koji Sugihara) kojis at agate.plala.or.jp
2010年 9月 10日 (金) 01:31:12 JST


【戦争の無人化めざす米軍が日本の研究者をカネで囲い込む!】

東京の杉原浩司(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)です。
9月8日(水)の朝日新聞朝刊に見逃せないスクープ記事が掲載!
貴重な取材報道ですので、まずはじっくりとお読みください。
                  [転送・転載歓迎/重複失礼]

 ◆米軍の研究助成、増加〜日本技術の軍事応用も視野
    (朝日新聞 2010年9月8日/「科学面にようこそ」)
   https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/BDH2k75jSg

日本の研究現場に米軍から提供される研究資金が近年、増加傾向にあり、
研究への直接助成や補助金付きコンテストへの参加募集など様々な形があ
るというもの。背景には、世界の高度な民生技術を戦争の無人(ロボット)
化などに応用しようと狙う米軍の戦略が存在します。東京・六本木の米
軍施設「赤坂プレスセンター」ビル内に、陸、海、空軍の各研究開発事務
所があり、数十人のスタッフが資金提供や情報収集を担っていることも明
らかにされています。

前半で取りあげられているのが、野波健蔵・千葉大学副学長(工学部教授)
です。08年3月以降、米国防総省や米軍などが主催・資金提供する軍事ロ
ボットコンテストに参加した野波氏は、「学生はこうしたコンペでは燃え
る。動機付けとして非常にいいと考えた」と語っています。彼は、今年の
最終予選でベスト6に入り、11月の豪州での本選への切符を手に入れたも
のの、「私の良心」を理由に本選参加は取りやめたそうです。

しかし、野波氏の対応は極めて不可解です。驚くべきことに、「民生ロボ
ットの研究開発は平和目的に限る」とする画期的な『千葉大学ロボット憲
章』[後掲]制定(07年11月21日)を主導したのは当の野波氏でした。制
定からわずか3〜4ヶ月後に彼は、インドでの軍事利用目的のコンテストに
「参戦」し、憲章を自ら有名無実化したのです。今回の本選不参加は遅き
に失したものでしょう。野波氏は自ら説明責任を果たすべきです。また、
千葉大学はロボット憲章を守らせるための実効性ある措置をとるべきです。

 ◇野波健蔵氏のプロフィールページ(千葉大学ウェブサイト)
  http://www.eng.chiba-u.ac.jp/outProfile.tsv?no=1111

  ◇野波健蔵氏のウェブサイト
  http://mec2.tm.chiba-u.jp/~nonami/indexJap.html

先日放映された「貧者の兵器とロボット兵器」【9月12日(日)16:30〜
18:00 NHK・BSハイビジョンで再放送】や『ロボット兵士の戦争』
(P・W・シンガー、NHK出版)に描かれた、無人戦争に傾斜する米軍
の実態を見るとき、日本の民生技術が軍事転用され、戦争犯罪に加担して
いくことを見過ごすわけにはいきません。科学者・技術者の社会的責任が
厳しく問われています。

記事は、日本の研究者が米軍の研究助成にすがる背景に、不安定な雇用形
態や研究費不足があることも指摘しています。貧困問題や科学技術政策と
平和の問題が密接に絡んでいます。加えて、米国等への民生技術の軍事転
用に対して甘い対応をとっている経済産業省の姿勢も改められるべきです。
そして、日本の研究者をカネで囲い込む米空軍「アジア宇宙航空研究開発
事務所(AOARD)」などの撤退を要求します。

………………………………………………………………………………………

◆千葉大学ロボット憲章
(知能ロボット技術の教育と研究開発に関する千葉大学憲章)

 http://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/article2007/20071127.html

 2007年11月21日制定

最近のロボットの研究開発における進歩は著しく、産業用ロボットにおい
て世界をリードする我が国では、第3次産業のサービス分野までも含めた
現実の日常生活のなかで、「知能ロボット」が人間の身近な存在になろう
としている。

「知能ロボット」は、従来型の「ロボット」と異なり、自ら自己を律する
自律制御系技術が組み込まれたロボットである。自律制御系の究極の姿の
1つは我々人間を含む生物であるが、人類が創造したロボットの過去から
現在、そして未来への進化は、この究極の生物の機能を模倣し獲得してい
く歴史でもあろう。遠くない未来社会においては、こうした生物の機能を
部分的に有する、あるいは、一部生物の機能をはるかに超える「知能ロボ
ット」が出現してくることは想像に難くない。

一方、先端的な科学技術には常に光と影が存在し、人類を幸福にする反面、
これらの科学技術が悪用されると人類存亡の危機に直面することは、これ
までの歴史が証明している。現代社会において、先端的なロボットの研究
開発に携わる者の責任は極めて重大である。 千葉大学では、地球生態系
の維持・保全を基底に据えて、人間の尊厳、人類の福祉、恒久平和と繁栄、
そして、安全安心な社会に資するロボット研究開発と教育をこそ率先して
推進する立場から、ここに「千葉大学ロボット憲章」(知能ロボット技術
の教育と研究開発に関する千葉大学憲章)を制定する。

■第1条(倫理規定)
本ロボット憲章は、千葉大学におけるロボットの教育と研究開発に携わる
すべての者の倫理を規定する。

■第2条(民生目的)
千葉大学におけるロボット教育・研究開発者は、平和目的の民生用ロボッ
トに関する教育・研究開発のみを行う。

■第3条(非倫理的利用防止)
千葉大学におけるロボット教育・研究開発者は、非倫理的・非合法的な利
用を防止する技術をロボットに組み込むこととする。

■第4条(教育・研究開発者の貢献)
千葉大学におけるロボット教育・研究開発者は、アシモフのロボット工学
三原則(注)ばかりでなく、本憲章のすべての条項を遵守しなければなら
ない。

■第5条(永久的遵守)
千葉大学におけるロボット教育・研究開発者は、大学を離れてもこの憲章
の精神を守り尊重することを誓う。

 ……………・…………・…………・…………・…………・…………

(注)ロボットのあるべき姿を規定したアイザック・アシモフのロボット
工学三原則は、次の通りである。

◇第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
◇第二条
ロボットは人間から与えられた命令に服従しなければならない。
ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。
◇第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのない限り、自己を
守らなければならない。

…………………………………………………………………………………………

【参照記事】

「ロボットは平和のために」千葉大が『憲章』制定

          <東京新聞(千葉版) 2007年12月16日>

 近い将来、人間を超える自律制御能力を持つロボットの出現が予想され
る中、千葉大(千葉市稲毛区)が、ロボット研究者の倫理を規定した「千
葉大学ロボット憲章」を制定した。ロボット研究を平和利用に限定する内
容。 世界の研究機関にも例がない試みといい、宮崎清副学長は「科学技
術には光と影がある。影の部分には加担しないという姿勢を内外に示して
いきたい」と意気込んでいる。
 憲章の原案作りの中心になったのは、米航空宇宙局(NASA)で研究
経験もある野波健蔵教授(58)=人工システム科学。法学部の教員らも参
加して学内で推敲(すいこう)を重ね、先月二十一日に役員会で承認され
た。全五条からなり、第二条で「千葉大のロボット研究者は平和目的の研
究開発のみを行う」と宣言。第四条で、SF作家の故アイザック・アシモ
フ氏が提唱し、ロボットは人間に危害を加えてはならないなどと定めた
「ロボット工学三原則」を守る規定も盛り込んだ。ロボット研究に携わる
留学生も多いことから、第五条で、千葉大を離れても憲章の精神を尊重す
るよう求めている。

 憲章の目玉である「平和目的」のくだり。実は原案作成の際、若干の議
論になった。諸外国ではロボット研究に多額の軍事予算が投入されるケー
スが多く、このような憲章は前例がない。千葉大でも「平和利用と軍事利
用を線引きできるのか」「産学共同研究に支障が出るのでは」といった疑
問が出されたという。

 確かに、IC(集積回路)などの半導体技術がミサイルにも使われてい
るように、「平和」と「軍事」の線引きは難しい面もあるが、IC自体が
軍事目的で開発されたわけではない。最終的には「(憲章が)研究の手足
を縛るものではない」との合意に至った。野波教授は「ロボットの平和利
用について、日本が世界をリードすればいい。また、憲章をきっかけに一
人一人の研究者や学生が議論を深めていければ」と期待する。
 現在、英文の憲章も作成中だ。海外の研究機関と共同研究する際などに、
憲章に従うよう求めていく考えという。

<千葉大学ロボット憲章> (略)

<メモ>アシモフのロボット工学3原則 旧ソ連出身で米国の作家アイザ
ック・アシモフ氏(1920-92年)が、SF連作「われはロボット」(50年)
で提唱したロボット開発の基本概念。第1条は「ロボットは人間に危害を
加えてはならない。また危害を加えられるのを看過してはならない」。
第2条は「ロボットは第1条に反しない限り人間の命令に服従しなければ
ならない」。第3条は「ロボットは第1、2条に反しない限り自己を守ら
なければならない」。




CML メーリングリストの案内