[CML 005550] Re: 山崎 淑子さん Re: 小野洋子の言葉
hagitani ryo
liangroo at yahoo.co.jp
2010年 9月 7日 (火) 20:16:29 JST
田口さん、コメントありがとうございます。萩谷です。
私は音声学の勉強を大学でやったとかではありませんが、そういう研究者から
手ほどきは受けています。
以来長いこと、その人の言っていることも、理論の枠にしばられて、真実とは
ずれているとか
音声学者の書く文章は誰も読みたがらない、もっと読みやすく、面白く書けそう
なもんだ、とか、そんなことを考え続けています。
ヘボンさんと田口さんの耳がどっちがいいのでしょう。
基本的に、私は、かくかくしかじかの聞こえ方がする、というのには必ず理由
があると思っています。
なかには、ほんとに耳の悪い人もいるでしょうけど、だいたいの場合はそんな
ことを考えるより、その人なりの聞こえ 方をよく考えてみると、面白いです。
ヘボンさんは英米人だから英語流の聞こえ方をし、田口さんは日本語流でしょう
rとlの発音はできるが、聞き分けがむずかしい、まったくおっしゃる通りです。
英語はとくにそうです。フランス語やドイツ語や中国語なら、もっと易しいで
すが、それでも間違えることはあります。
rは、舌を硬口蓋(口の天井)に向かって巻き上げて、唇を突き出し、音をく
ぐもらせます。
唇が突き出るのと対称的に、舌先も、日本語のラ行音よりやや深いところに向
かって立てます。そのようにすると音が明確になります。英米人などの 喋ると
ころを見ていると、これはよくわかります。
l は、舌先を前歯につけて、舌の両脇から、ウというような声を出し、唇は
突き出しません。
tableなど、語尾のl なら、舌の付け根に近い方が盛り上がるので(なぜかわ
かりませんが)、オに似た暗い音になりますから、テイボーとき こえ ます。イ
ンクレディボー、ビューティフォー、アンタッチャボーなど、皆同じ。
rでは唇をとがらせるため、子どもは器用ではないから上下の唇がくっついて
しまい、RobertをBobertと言ってしまい、ついにBobと なります。それくらい、
唇の突き出しは大事です。ただし、アクセントのないところでは、そんなにハッ
キリ唇を動かしません。また、writeや wrongで、wを発音しないのは、rにす
でにそれが含まれているからです。
というふうに知っておくと、多少聞き分けに役立つとはいうものの、日本語で
植え付けられた、ラ行音は1種類という観念というより感覚は案外根強 くて、
両方の音をちゃんと区別できても、実際の会話のなかでは聞き間 違うことはあ
ります。知っている言葉は聞き間違いません。それだけです。
それでも、発音は正確にやったほうが、聞く側のためにはいいことです。
韓国語の子音の発音はよく知らないですけれども、濃音とか激音とかいうのが
あるとは読みかじりました。ちがったかな?
すごく魅力的な響きをもった言葉で、詩人の朗読を聞いたらドイツ語みたいで
した。中国語や韓国語の響きはヨーロッパ大陸の言語に似てい ます。
ヘボンさんたちには、ha hi などと フの違いが際立って聞こえたにちがいあ
りません。
焼き芋を吹いているときは、唇の音でフッフッフと言いますが、走った後で息
切れした人は、上昇した体温を逃がしたいから、口 をあけ、喉のほうでフッ
フッフといいますね。ハッハッハですか。とにかく、両者のちがいははっきりし
ています。
富士山を、hujisanとfujisanの両方で発音できるか、やってみると、日本人な
ら、fujisanならできるでしょうが、 hujisanと言うのはむずかしい人が多いは
ずです。
で、fuは唇性があるから、多くの外国人には日本語のフに近くきこえるでしょう。
おっしゃるように、位置が問題になってきます。それは舌の位置です。それと
その構えや動きです。
一致は無理だから、位置の近いものを、ということで。
フは口の一番前です。 fu も大体そんなところ。 huは、奥の方です。それ以
上奥は、アラビア語か中国語でないと使いません。アラビア語と中国語は、口の
前のほうか、中程か、奥かという違いに注意すれ ば、一般に言われるよりは発
音がわかるはずです。
それと、フとfuには、唇が関与するという共通点があります。ヘボンはこれに
着眼するのです。それが英語などを喋る人たちの感覚でしょう。
一方、日本人の感覚ではfは異質ですから、使いたくないのではないでしょう
か。なにしろ、そんな音は元来 日本語にはないですから。
ぞ、と、じょ、で思い出しますが、九州出身の知人は、全然を、じぇんじぇ
ん、と言っていましたが、韓国人もそう言います。我らが民族ということ を、
ウリミンジョクなんて言いまして、ミンジョクってのは民族なんですね。
foodとhoodには、英国式と米国式で差はないと思います(微々たる個人差はあ
るでしょうが、それは、たとえばアメリカ国内で複数の人に やっ てもらって
も、似たようなもんでしょう)。
それと、アメリカ英語とかイギリス英語というのが確固としてあるわけではあ
りません。今どきの辞書は両者の区別を明瞭にしすぎの感があります。
どちらにも地方差や、階層の差がありますから。私にはそういう細かい区別は
できませんけれども、辞書に書いてあるようにいかにも明快な違いがあ るとい
うのは、信用しないほうがいいです。
ローマ字を使って日本語を書くのは、第一に外国人のためですから、彼らに発
音がわかるようにしてやったほうがいいでしょう。 文部省が訓令式を奨励して
学校でそれを教えても、一般にはヘボン式が親しまれているのは、そういう理由
によると思います。でなかったら、誰もわざわざ 字を変えたくはないですよ。
(2010/09/07 12:34), 田口 wrote:
> 萩谷さんって音声学の先生ですか。勉強になりました。
> は・ひ・ふ・へ・ほ と各音を発しながら自分の舌と唇の
> 動きに意識を向けましたが、喉の震えには気がつきま
> せんでした。ハ行の五音 全部の口の形が違うことは
> 分かっていましたが。
> 英語の時間に習いました。FとVの音を出すときには
> 上の歯を下唇の内側につけろと。そのFの音と 「ふ」 の
> 子音を同じにされるのには私には大きな抵抗があります。
> 「ふ」が喉を振るわせなくても F よりは H に近く感じます、
> 私は。 food よりも hood に近く。 ま、似てる似てないは
> 各人の感覚ですからね。うちの息子が私似か妻似かを
> 語るようなものでしょう。
> しかし音声というのは不思議ですよね。韓国に行った
> ときに 「た」 も 「か」 も子音3種類、母音2種類の掛け
> 合わせて6種類もあったんですよ。その違いの聞き取りが
> 難しゅうございました。萩谷さん、ひょっとして韓国語・
> 朝鮮語がお出来になるんじゃないですか。一方 韓国の
> 友人達は 「ぞ」 と 「じょ」 の区別に難儀しておりました。
> 英語でも L と R の聞き取りは今でも出来ません。
> 発音しわけは出来るけど聞くときは同じにしか聞こえない。
> とにかくヘボンさんの耳は私のよりよかったようですね。
> ヘボンさんには 「位置」 と 「一致」 の違いは分かったかな。
> いやあ、CMLも学究的になってきましたね。興味のある
> かたは次のページで food と hood を聞き比べて下さい。
> 「ふ」 はどちらの頭に近いか。
> http://www.thefreedictionary.com/hood
> 単語のうしろの米国旗を押せば米式発音が、英国旗を
> 押せば英式発音が聞けます。しゃべる人が英米それぞれの
> どの地方の出身かは分かりませんが。
> ところで萩谷さん。 ヘボン式ローマ字がはびこっている
> ことをどう思われますか。 「ふ」 は fu のほうがいいですか。
> 田口
>
> ----- Original Message ----- From: "hagitani ryo" <liangroo at yahoo.co.jp>
> To: "市民のML" <cml at list.jca.apc.org>
> Sent: Monday, September 06, 2010 6:58 PM
> Subject: [CML 005532] Re: 山崎 淑子さん Re: 小野洋子の言葉
>
>
>> ちょっと説明不十分かもしれないので、書き直します。
>> やや長くなりますが、ご笑覧ください。
>>
>> 日本語のハヒフヘホというのは、ハヒヘホの子音はhですが、フは別の子音
>> です。
>>
>> 細かく言うと、ハとホは喉の音。ヒとヘも、少しちがいますが、一応同系の
>> 音です。
>>
>> フは、両唇を接近させて、その隙間から息を通す音で、系統がちがいます。
>>
>> 日本人はhuという音が苦手です。日本語のフが邪魔して、喉の音でhuと言うこと
>> が困難になっています。
>> 英語のwhoは[hu]ですけれども、たいていの日本人はこれを「フ」の音にして
>> いています。
>> 英語の場合はそれで障害はないのですが、中国語なんかをやるときは、ネックに
>> なっているはずです。
>>
>> ヘボン式がフをfuと書くのは、これだけ別の子音だから、区別しておこうとい
>> う、それなりの原音尊重主義によることで、耳が悪かったのではなく、 むしろ
>> よかったためです。
>>
>> fuなら、唇と歯で出す音なので、喉で出すhとはちがって、日本語のフと共通点
>> があるわけです。
>>
>>
>> さて、
>>
>> 我々が、これこれしかじかに「聞こえる」という、聞こえ方には、必ずなんらか
>> の根拠があるものです。
>>
>> それは万能ではないが、8割方は正当です。たとえば、stickをスティックなど
>> と言っても世界のどこでもなかなか通じないでしょう。ステッキと 言ったほう
>> が通じるはずです(キは無声音で、念のため)。waterは、ウォーターなどと
>> いってもだめで、ワラと言うほうが正確です。日本の学校 の英語教育というの
>> は、パンパンガールや子どものこうした感覚を否定して、あやまった杓子定規の
>> 観念を植え付けるようなことばかりしています。日 本人が 英語が下手な理由の
>> ひとつです。
>>
>> 英語なんか下手でもいいと思うかもしれませんが、今後、日本は観光立国を考
>> えざるを得ませんから、そのときのためにも、国際的に通用する英語を しゃべ
>> れたほうがいいです。
>>
>> さらに言えば、今後の日本人はディアスポラ(民族離散)を検討すべきだと思
>> います。もっと外国人が日本に住み、入れ替わりに多くの日本人が世界 のいろ
>> んな国に行って、日本の中にいてはわからないことを知ると、きっと、日本は開
>> 放的で合理的な、いい国になると思います。
>>
>> その意味で、ネイティヴという言葉が氾濫するのは、いいことだと思えませ
>> ん。英米中心主義の偏った英語観だと思います。英語 はいまや、インドや東南
>> アジアやアフリカや中東の人とのコミュニケーションの道具としてのほうが、大
>> 事ではないでしょうか。
>>
>> それなら、発音なんかどうでもいいかというと、そうではありません。私の知
>> るかぎり、インドや東南アジアや中東の人の方が、さまになる発音をし ていま
>> す。そのレベルを達成すればいいわけです。
>>
>> それに、アメリカ発音などといいますが、50の州のそれぞれが多様な方言をも
>> つ国に標準の発音なんかありません。英国だって、あんな島国のなか で、もの
>> すごく細分化しています。
>>
>> 映画や歌などが証明しているように、英語はすでに私たちにとって、ひとつの
>> 美です。これも否定すべきではないと思います。有名な中国語 の先生で相原茂
>> さんという人は、外国語を学ぶ目的は、その国の文化を知ること、その国の人と
>> コミュニケーションをすること、そして、自分の口から 変わった音を出してみ
>> る楽しみだ、と喝破しています。至言といえましょう。
>>
>> 今後、日本中の家庭に中国語の辞書が置かれる時代がきます。中国語の発音の
>> むずかしさは、英語以上だ、と、言われています。以上か以下かわかり ません
>> が、たしかに難しいでしょう。で、そのときのためにも、現に私たちが使ってい
>> る日本語につい て、 正確な認識をもったほうがいいと思います。
>>
>> 日本語は今後ローマ字を大幅に取り入れていくでしょう。英語その他の外国語
>> をカタカナで書くのは長ったらしいし、本来の音が表現できないからで
>> す。(長ったらしいことのひとつの原因はパソコンです。ヒラリー・クリントン
>> は、手書きなら9字ですから、hilary clintonと比べて、そう長たらしくないか
>> もしれませんが、これをカタカナでキー入力すると、 hirarii kurinntonnとい
>> うふうに、原語よりアルファベットの数が増えてしまうのです)
>>
>> 漢字は残るはずです。漢語をローマ字で書いたら、英語などとまぎらわしく
>> て、わざわざローマ字書きを取り入れた意味がなくなるからです。
>>
>> 読めればいい、書ける必要はない、というような文字というのは、消滅の運命
>> におかれるでしょう。
>> ローマ字を入れて、漢字で書くことをやめてしまえば、漢字は死んだ文字に
>> なってしまいます。
>> おそらく、大半の日本人は支持しないでしょう。
>>
>> 漢字を簡略化するほうが、実際的だろうと思います。
>>
>> 漢字の簡略化はふたつの方向があります。
>>
>> 第一は、中国語の普及につれて、簡体字を混ぜて書く人が必ず増えます。簡体
>> 字というのは、北京の共産党の発明ではなく、もともと伝統的に行われ ていた
>> 行書や俗字をもとにしたものですから、決して不可解なものではないのです。
>>
>> 第二は、訓読みをなるべく少なくすることです。
>> 中国の漢字は原則として1字に1種類の発音であり、ヘンやツクリを見れば発
>> 音が見当がつけられま す。それなりの合理性があるわけです。だから、音読み
>> は残ってもいいのです。
>> 訓読みはそうではないので、日本語の表記の困難さの最大原因となってい
>> ます。
>>
>> 訓読みを少なくすれば、かな書きが増えます。
>> そうすると、ことばが、どこからどこまでつながっていて、どこで切れるのか
>> がわかりにくくなります。
>> そこで考えられるのが、分かち書きです。
>>
>> わかちがき というのは、 こういう ふうに 単語を くぎって まを お
>> いて かく かきかた です。
>> 英語も 中世までは 単語の きれめなど なしに かいて いました。
>> 日本語の 中世は そろそろ おわりに ちかづいて いる かも しれ
>> ま せん
>>
>> なれない ひとは わかちがき を みると ことばが ぶつぎりに されて
>> いて すらすらと よめない と とまどう かもしれません。しかし わか
>> ちがき せずに つなげて あちこちに 読点を うつ かきかた のほうが
>> おおくの ひとを とまどわせているのです。ためしに 朗読 を させれば
>> あっちこっちで つながりや くぎりを 無視た
>> よみかたを する ひとが おおい はずです。
>>
>> こうした 日本語の 表記の 改革は 今後 日本に すみつく 外国人が
>> ふえるほど 重要性を もってくるだろうと おもいます。すこしでも 外国
>> 人に とっつきやすい 日本語を 用意したい ものです。
>>
>> 漢字は読めればいいと言いますが、それどころか、読むのも大変なのです。
>> その一番の被害者は、外国人のほかに、低学年で不登校を始めた子どもたちで
>> す。駅で電車に乗るのにも不自由するのです。
>> 対策のひとつは、新聞を総ルビ化することです。戦前はそのおかげで、小学校
>> にも行けなくとも、読み書きを覚えた人がいたものです。
>>
>> 漢字が子どもの知的発達の障害になっているという主張は、以上のようなもろ
>> もろのことを考えていない、一種の錯覚にもとづくものだと思います。 それ
>> は、特定のなにかをスケープゴートにすればいいのだ、という思考法につながる
>> 恐れがあります。
>>
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