[CML 005532] Re: 山崎 淑子さん Re: 小野洋子の言葉

hagitani ryo liangroo at yahoo.co.jp
2010年 9月 6日 (月) 18:58:15 JST


 ちょっと説明不十分かもしれないので、書き直します。
やや長くなりますが、ご笑覧ください。

日本語のハヒフヘホというのは、ハヒヘホの子音はhですが、フは別の子音です。
 
細かく言うと、ハとホは喉の音。ヒとヘも、少しちがいますが、一応同系の音です。

フは、両唇を接近させて、その隙間から息を通す音で、系統がちがいます。

日本人はhuという音が苦手です。日本語のフが邪魔して、喉の音でhuと言うこと
が困難になっています。
英語のwhoは[hu]ですけれども、たいていの日本人はこれを「フ」の音にして
いています。
英語の場合はそれで障害はないのですが、中国語なんかをやるときは、ネックに
なっているはずです。

ヘボン式がフをfuと書くのは、これだけ別の子音だから、区別しておこうとい
う、それなりの原音尊重主義によることで、耳が悪かったのではなく、 むしろ
よかったためです。

fuなら、唇と歯で出す音なので、喉で出すhとはちがって、日本語のフと共通点
があるわけです。


さて、

我々が、これこれしかじかに「聞こえる」という、聞こえ方には、必ずなんらか
の根拠があるものです。

それは万能ではないが、8割方は正当です。たとえば、stickをスティックなど
と言っても世界のどこでもなかなか通じないでしょう。ステッキと 言ったほう
が通じるはずです(キは無声音で、念のため)。waterは、ウォーターなどと
いってもだめで、ワラと言うほうが正確です。日本の学校 の英語教育というの
は、パンパンガールや子どものこうした感覚を否定して、あやまった杓子定規の
観念を植え付けるようなことばかりしています。日 本人が 英語が下手な理由の
ひとつです。

 英語なんか下手でもいいと思うかもしれませんが、今後、日本は観光立国を考
えざるを得ませんから、そのときのためにも、国際的に通用する英語を しゃべ
れたほうがいいです。

 さらに言えば、今後の日本人はディアスポラ(民族離散)を検討すべきだと思
います。もっと外国人が日本に住み、入れ替わりに多くの日本人が世界 のいろ
んな国に行って、日本の中にいてはわからないことを知ると、きっと、日本は開
放的で合理的な、いい国になると思います。

 その意味で、ネイティヴという言葉が氾濫するのは、いいことだと思えませ
ん。英米中心主義の偏った英語観だと思います。英語 はいまや、インドや東南
アジアやアフリカや中東の人とのコミュニケーションの道具としてのほうが、大
事ではないでしょうか。

 それなら、発音なんかどうでもいいかというと、そうではありません。私の知
るかぎり、インドや東南アジアや中東の人の方が、さまになる発音をし ていま
す。そのレベルを達成すればいいわけです。
 
 それに、アメリカ発音などといいますが、50の州のそれぞれが多様な方言をも
つ国に標準の発音なんかありません。英国だって、あんな島国のなか で、もの
すごく細分化しています。

 映画や歌などが証明しているように、英語はすでに私たちにとって、ひとつの
美です。これも否定すべきではないと思います。有名な中国語 の先生で相原茂
さんという人は、外国語を学ぶ目的は、その国の文化を知ること、その国の人と
コミュニケーションをすること、そして、自分の口から 変わった音を出してみ
る楽しみだ、と喝破しています。至言といえましょう。

 今後、日本中の家庭に中国語の辞書が置かれる時代がきます。中国語の発音の
むずかしさは、英語以上だ、と、言われています。以上か以下かわかり ません
が、たしかに難しいでしょう。で、そのときのためにも、現に私たちが使ってい
る日本語につい て、 正確な認識をもったほうがいいと思います。

 日本語は今後ローマ字を大幅に取り入れていくでしょう。英語その他の外国語
をカタカナで書くのは長ったらしいし、本来の音が表現できないからで
す。(長ったらしいことのひとつの原因はパソコンです。ヒラリー・クリントン
は、手書きなら9字ですから、hilary clintonと比べて、そう長たらしくないか
もしれませんが、これをカタカナでキー入力すると、 hirarii kurinntonnとい
うふうに、原語よりアルファベットの数が増えてしまうのです)

 漢字は残るはずです。漢語をローマ字で書いたら、英語などとまぎらわしく
て、わざわざローマ字書きを取り入れた意味がなくなるからです。

 読めればいい、書ける必要はない、というような文字というのは、消滅の運命
におかれるでしょう。
 ローマ字を入れて、漢字で書くことをやめてしまえば、漢字は死んだ文字に
なってしまいます。
 おそらく、大半の日本人は支持しないでしょう。

 漢字を簡略化するほうが、実際的だろうと思います。

 漢字の簡略化はふたつの方向があります。

 第一は、中国語の普及につれて、簡体字を混ぜて書く人が必ず増えます。簡体
字というのは、北京の共産党の発明ではなく、もともと伝統的に行われ ていた
行書や俗字をもとにしたものですから、決して不可解なものではないのです。

 第二は、訓読みをなるべく少なくすることです。
 中国の漢字は原則として1字に1種類の発音であり、ヘンやツクリを見れば発
音が見当がつけられま す。それなりの合理性があるわけです。だから、音読み
は残ってもいいのです。
 訓読みはそうではないので、日本語の表記の困難さの最大原因となっています。

 訓読みを少なくすれば、かな書きが増えます。
 そうすると、ことばが、どこからどこまでつながっていて、どこで切れるのか
がわかりにくくなります。
 そこで考えられるのが、分かち書きです。

 わかちがき というのは、 こういう ふうに 単語を くぎって まを お
いて かく かきかた です。
 英語も 中世までは 単語の きれめなど なしに かいて いました。
 日本語の 中世は そろそろ おわりに ちかづいて いる かも しれま せん

 なれない ひとは わかちがき を みると ことばが ぶつぎりに されて
いて すらすらと よめない と とまどう かもしれません。しかし  わか
ちがき せずに つなげて あちこちに 読点を うつ かきかた のほうが 
おおくの ひとを とまどわせているのです。ためしに 朗読  を させれば
 あっちこっちで つながりや くぎりを 無視た
よみかたを する ひとが おおい はずです。

 こうした 日本語の 表記の 改革は 今後 日本に すみつく 外国人が 
ふえるほど 重要性を もってくるだろうと おもいます。すこしでも  外国
人に とっつきやすい 日本語を 用意したい ものです。

 漢字は読めればいいと言いますが、それどころか、読むのも大変なのです。
 その一番の被害者は、外国人のほかに、低学年で不登校を始めた子どもたちで
す。駅で電車に乗るのにも不自由するのです。
 対策のひとつは、新聞を総ルビ化することです。戦前はそのおかげで、小学校
にも行けなくとも、読み書きを覚えた人がいたものです。

 漢字が子どもの知的発達の障害になっているという主張は、以上のようなもろ
もろのことを考えていない、一種の錯覚にもとづくものだと思います。 それ
は、特定のなにかをスケープゴートにすればいいのだ、という思考法につながる
恐れがあります。
 


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