[CML 005504] 草の根革新派市民の対立軸:林田力

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 9月 4日 (土) 15:14:17 JST


【PJニュース 2010年9月3日】草の根革新市民の政治スタンスは大きく三派に分析できる。草の根革新市民とは革新思想(護憲、平和主義など)を有し、社会民主党や日本共産党という革新政党に組織化されておらず、主として市民運動や労働運動をフィールドとする層を指す。

本記事では三派を中間派、革新右派、革新左派と名付ける。この三派の対立軸は政治的主張ではない。たとえば米軍普天間飛行場の移転に反対し、即時無条件閉鎖を主張する点は三派に共通する。対立軸は政治・政党に対するスタンスである。以下に説明する。

第一に中間派である。中間派の人々は草の根革新市民と社民党や共産党という革新政党が団結し、革新勢力の拡大を目指す。この発想が多数派を占めている。具体的な動きとして、「小池晃さんを応援する市民勝手連」があった。これは2010年7月の参議院選挙東京選挙区で日本共産党の小池晃候補を共産党の外から応援した運動である。
http://news.livedoor.com/article/detail/4985532/
http://www.pjnews.net/news/794/20100902_16
第二に革新右派である。この右派という呼び名は草の根革新市民の中の相対的なポジションを指したものであり、社会全体で見れば革新右派も左派に属する。革新右派の人々は革新の理念を実現するために民主党政権に期待する。

民主党政権は草の根革新市民の期待を裏切り続けたが、それは民主党内で新自由主義勢力(企業重視、対米従属路線)が巻き返した結果と分析する。それに対抗する友愛リベラル勢力(国民生活重視、対米自立路線)を応援する。

具体的には友愛を掲げる鳩山由紀夫氏やマニフェストの実行を主張する小沢一郎氏らである。革新市民は鳩山政権に好意的であった(林田力「鳩山政権への姿勢に見る左派市民の成熟」PJニュース2010年5月1日)。それは革新右派に負うところが大きい。

第三に革新左派である。革新左派の人々は社民党や共産党にも限界を感じている。社民党も共産党も体制内批判派と化している面があり、革新市民の真の代表として疑問を抱いている。そのため、独自政党を設立する動きがある。たとえば天皇制廃止や新農地解放、議員歳費を選挙民の平均年収とすることなどを掲げる「平等党」がある。また、議会制民主主義自体に絶望する声もある。

このように三派に分かれるが、問題は中間派による左右両派への厳しい批判である。その様子は影響力では比べられないものの、フランス革命期にエベール派やダントン派という左右両派を粛清して独裁を確立したロベスピエール派を連想してしまう。

中間派は革新右派に対しては、民主党は自民党と同じであり、民主党への期待は幻想に過ぎないと批判する。社民党や共産党が政治を動かすには非力であることから民主党に期待する現実論には、社民党や共産党を強くすることが革新市民としての筋論と説く。一方で革新左派に対しては主張の非現実性を批判する傾向にある。

確かに革新市民にとって民主党は信頼に欠ける面が少なくない。それ故に民主党ではなく、社民党や共産党を強くすることが筋との主張には正論の強さがある。しかし、中間派の思想も革新右派と同じく現実との妥協・御都合主義は免れない。

何故ならば社民党と共産党の団結や協働を説くこと自体が、両者の長い対立の歴史を無視した御都合主義であり、革新勢力を強化するための妥協案だからである。たとえば社民党も共産党も反戦平和という表面的な主張には差がないように見える。しかし、各党の主張の背後には歴史の積み重ねがあり、安易な同一視はナイーブである(林田力「共産党と社民党の大きな溝」PJニュース2010年3月22日)。

政治とは現実の中の闘いであり、御都合主義を一概に否定するつもりはない。御都合主義であることを認識した上で、それを追求することも一つの見識である。しかし、それならば民主党も巻き込んだ運動を目指す革新右派の御都合主義も認めなければフェアではない。自らの御都合主義は棚に上げ、考えの異なる層の御都合主義を批判することはアンフェアである。

そして現実論から革新政党に期待するならば、社民党や共産党の限界を説く革新左派の批判にも謙虚でなければならない。革新左派の批判を受け止めた上で、それでも現実解として社民党・共産党の団結・協働を目指すというスタンスならば理解できる。ところが、中間派が左右両派を批判する姿には独善という印象を受ける。この偏狭さが革新勢力の伸び悩みの一因と考える。【了】



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