[CML 005502] 菅首相に、8・31日米専門家協議報告と5・28日米共同声明の撤回を強く求める声明[北限のジュゴンを見守る会]
加賀谷いそみ
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2010年 9月 4日 (土) 11:34:07 JST
(転載歓迎)
菅首相に、8・31日米専門家協議報告と5・28日米共同声明の撤回を強く求
める声明
北限のジュゴンを見守る会(代表)・鈴木雅子)
2010年9月4日
菅政権は8月31日、「普天間飛行場の代替の施設に関する専門家会合報告書」
(以下「報告」)を公表しました。私たち、北限のジュゴンを見守る会は、何よ
りもまず、「報告」の作成を最大限の怒りをもって糾弾します。なぜなら「報告」
は決して作られてはならないものだからです。
沖縄の地元紙、沖縄タイムスは9月1日付社説で「地元に断りなく、勝手に設
計図をつくり、米軍基地を建設しようとする。しかも基地を使用する軍用機の飛
行経路をありのままに出さないで」と日本政府を厳しく批判していますが、私た
ちはそれに深い共感を覚えます。
普天間移設について「最低でも県外」を公約した鳩山前首相は「抑止力の必要
性」という後出しの理屈をつけて沖縄県民を裏切りました。そればかりか、政権
末期の5月28日、当事者である沖縄県民の頭越しに日米共同声明を発して、沖
縄の民意を正面から踏みにじりました。ですから沖縄県民は現在「新たな琉球処
分」に他ならない5・28日米共同声明の撤回を強く要求しています。しかし、
鳩山前首相を継いだ菅首相は就任早々、なんら検討することなく5・28声明の
無条件実行をオバマ米大統領に約束しました。そして今回の「報告」は同声明に
基づいて作成されました。
しかも決して作られてはならない「報告」は、米国政府が認めている垂直離着
陸輸送機MV22オスプレイの辺野古新基地配備をあえて隠し、甚大な騒音被害
が予想される飛行経路を正確に示さないなど、現地住民の生命と生活に直結する
重大な事実を伏せています。日本政府が専門家協議で新基地に自衛隊を常駐させ
ることを要求し、今もそれを主張していることにも触れていません。
さらに私たち、北限のジュゴンを見守る会は、絶滅危惧種である沖縄のジュゴ
ンを保護するために長期にわたって活動を続けてきた自然保護団体として、「報
告」が新基地の建設を「埋め立て」工法で行なうと明記していることに戦慄を禁
じ得ません。
「報告」と添付図表は、新基地の位置が辺野古崎をまたぐ形で辺野古沿岸域と
大浦湾に及ぶことを明らかにしています。その一帯はまさに、ジュゴンの食べ物
である海草(うみくさ)が豊富に成育する海域であり、そこを埋め立てることは
ジュゴンの生存の根を絶つことに他なりません。「報告」は「V」案について
「キャンプ・シュワブの東側の現存の海岸は埋立により消滅し、それに伴い、い
くつかの動植物の生息環境が失われる」と平然と記述していますが、私たちは、
膨大な土砂を投げ込んで微妙なバランスによって保たれている海の生態系を破壊
する計画を絶対に許すことができません。
「I」案も同様ですが、「埋め立て」はまずその工事によって海を殺すだけで
はありません。自然破壊は埋め立てられる区域に限らず、その周辺部にも広く及
びます。海流が変わり、砂が移動し、沿岸生態系の環境を激変させます。さらに
「埋め立て」に使う土砂の採取、移送によっても深刻な生態系被害が起こること
は、これまでずっと指摘されてきました。しかも基地が完成すれば、基地の生活
廃水や航空機の化学溶剤洗浄液によって海がさらに汚染されます。
今も新たな種の発見が続く自然の宝庫、大浦湾が致命的で回復不能の打撃を受
けることは火を見るより明らかです。その上、辺野古沿岸域のサンゴが広範に破
壊されることはそこで生育する魚類を消滅させ、海に依存する人びとの生活を破
壊します。
キャンプ・シュワブ内に移設に備えた管理棟などがすでに建設され、辺野古ビー
チの同基地との境界に米軍が強固な外壁を設ける計画が明らかになるなど、辺野
古住民が慣れ親しんだ辺野古崎や長島、平島の景観を一方的に奪い、何が何でも
辺野古に新基地を建設しようとする日米両政府の執拗な姿勢があらわになってい
ます。しかし、私たちはそのような事態にいささかもめげることなく、今後も、
ジュゴンの生息環境調査を続け、保護策を追求します。沖縄の自然と自然に依拠
する生活を守るため、辺野古新基地建設にどこまでも反対します。
私たちは、菅政権が「報告」を全面撤回し、5・28日米共同声明を破棄する
ことを要求します。普天間問題の解決は「世界一危険な基地」の移設ではなく、
宜野湾市民が求めているように、普天間基地の即時閉鎖・返還によってなされる
べきです。
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