[CML 006108] 劉暁波ノーベル平和賞受賞をスルーする左派の見識:林田力

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 10月 24日 (日) 19:27:05 JST


【PJニュース 2010年10月24日】ノルウェーのノーベル賞委員会は2010年10月8日、2010年のノーベル平和賞を中華人民共和国の民主・人権活動家・劉暁波氏に授与すると発表した。劉氏は中国共産党による一党独裁の見直しや言論・宗教の自由などを求めた「08憲章」の主要な起草者で、現在は服役中である。

劉氏の受賞は中国に人権状況の改善を求めるメッセージと受け止められている。これに対して日本の左派勢力の反応は鈍い。例えば日本共産党の機関紙・しんぶん赤旗日曜版2010年10月17日号では、平和賞受賞記事の大きさは鈴木章氏、根岸英一氏、リチャード・ヘック氏のノーベル化学賞受賞記事の僅か3分の1である。しかも記事はノーベル賞委員会の受賞理由と、劉氏の経歴、中国政府の批判を紹介するだけで論評はない。

翌週の10月24日号では「言論での批判 言論で対応を」と題し、党の見解を掲載した。そこでは「どのような体制であれ、言論による体制批判には、禁止ではなく、言論での対応が重要だ」と述べる。一方で「その国の政治制度や社会のあり方をどう選び、進めるかは、その国の国民と政治勢力が自主的に決めることであり、外部から介入するやり方は適切ではない」とも述べる。恐らく中国の人権問題を批判する人々は物足りなさを感じるであろう。
http://news.livedoor.com/article/detail/5092407/
http://www.pjnews.net/news/794/20101022_8
日頃は人権問題に敏感な左派が劉氏の受賞や背景となった中国の人権状況をスルーすることに対し、二重基準と批判する見解もある。しかし、日本の左派が劉氏の受賞に過剰反応しないことは賢明である。この理由は過去記事「チベット問題に日本が消極的であるべき理由」と重なる点が多い。
http://news.livedoor.com/article/detail/5047496/
加えて人権という観点では人権を守ることが最重要である。人権侵害の最大の主体は国家である。それは近代憲法が人権を保障するために国家権力を厳しく制限していることから明らかである。そして日本で生活する市民にとって人権侵害の脅威は日本政府であって、中国政府ではない。それ故に日本の市民が中国の人権問題よりも日本の人権問題に敏感になることは正しい姿勢である。

この視点に立てば、左派が中国の人権問題以上に、イラクのアルグレイブ刑務所やキューバのグアンナタモ収容所など米国の人権問題に敏感であることも正当である。戦後日本は米国に従属しており、日米安保条約に代表される対米従属路線によって平和憲法は歪められてきた。日本政府に大きな影響力を及ぼしているのは米国であって、中国ではない。結論として嫌中プロパガンダに同調して中国の人権問題を声高に批判するのではなく、国内や米国の人権問題を厳しく監視することが求められる。【了】



CML メーリングリストの案内