[CML 006092] Re:前田朗さんの「みどり見解」へのご指摘に関して

杉原浩司(Koji Sugihara) kojis at agate.plala.or.jp
2010年 10月 23日 (土) 01:47:08 JST


前田さん

杉原です。「みどりの未来運営委員会」の見解に対するご指摘、ありがと
うございます。

私の理解では、見解の文章表現があいまいなため、アイヌの土地強奪に
も日本政府が「無主地先占論」を使った、と読まれているようです。見解
はあくまで、日本政府の「尖閣」領有が、「帝国主義列強が無主地先占
論によって先住民の土地を強奪した」のと同様の論理であることを指摘
していると思うのですが、「アイヌなど」との記述があいまいさをもたらし
ているように思います。

前田さんのご指摘にもあるように、アイヌの場合に関しては、ロシアが
「無主地先占論」を使ったということであり、日本政府には当てはまらな
いでしょう。ですから、見解から「アイヌなど」の文言を削除するような修
正がベターかと思います。

検討したうえで、記述を修正し、見解を掲載しているホームページには訂
正個所と新表現を明示するような対処を提案しようと思います。ご了解く
ださい。

私は勉強不足ですので、上村英明さんの著書など読んでみたいと思って
います。それでは。

                     杉原浩司

…………………………………………………………………………………………

前田 朗です。

10月21日

杉原さん

ごぶさた。

ユニークな声明をご紹介いただきありがとうございました。

声明の本筋ではないのですが、疑問点がありますので、質問です。


> そもそも、日本政府が領有権を正当化する
> 「無主地先占の原則」(所有者のいない島については最初に占有した者の
> 支配権が認められる)は、帝国主義列強による領土獲得と植民地支配の論
> 理であり、アイヌなど世界の先住民の土地を強奪した法理です。


この表現だと、日本政府がアイヌモシリ(北海道、および/または、千島クリ
ル、樺太サハリン)について無主地先占論を唱えたことになります。

私の知識では、そのような事実があったとは思えないのですが、日本政府はいつ
アイヌモシリについて無主地先占論を唱えたのでしょうか。ご存知の方がいらし
たら教えてください。

サハリンについては、1853年にロシア政府が無主地先占論に従って領有権を
主張しています。

1854年、プチャーチンとの交渉の中で、日本側は(川路聖謨だったかな)
は、エトロフなど千島について、名前がアイヌ語だから日本のものだとか、日本
に属するアイヌ民族が居住しているから日本領土だという主張をしています。

第1に、日本政府は千島に実効的支配を及ぼしていませんでしたから、無主地先
占論を唱えるはずがありません。

第2に、日本政府は千島にアイヌ民族が居住していると主張していたのですか
ら、無主地とは見ていません。それゆえ、無主地先占論を唱えるはずがありません。

私は札幌出身(かつ、侵略者「屯田兵」の子孫です)なので、このくらいのこと
は漠然とながら記憶していますが、正確なことはさずがに記憶していません。

千島以外に、サハリンや北海道について、日本政府が無主地先占論を唱えたこと
があるのでしょうか。

無主地先占論ではない形でアイヌモシリを侵略したのではないでしょうか。

以上が質問です。

日本は、先住民族であるアイヌ民族、アイヌモシリに侵略し、しかも日露交渉に
よって、先住民族の大地を勝手に分割したり、取り引きしたりしました。このこ
とを、今あらためて、人種差別反対ダーバン宣言や国連先住民族権利宣言に基づ
いて確認し、批判していく必要があります。

私の見解は下記に示しています(領土問題ではありませんが)。

前田 朗「旅する平和学――アイヌ先住民族の権利(1)〜(3)」『月刊社会民
主』2010年9〜11月号

なお、私の主張はオリジナルなものではありません。主に上村英明さん、阿部ユ
ポさんからの受け売りです。参考文献としては

上村英明『先住民族の「近代史」』(平凡社、2001年)




CML メーリングリストの案内