[CML 006066] Re: 【紹介】脱「領土主義」の新構想を(「尖閣」問題見解)

maeda akira maeda at zokei.ac.jp
2010年 10月 21日 (木) 11:35:38 JST


前田 朗です。

10月21日

杉原さん

ごぶさた。

ユニークな声明をご紹介いただきありがとうございました。

声明の本筋ではないのですが、疑問点がありますので、質問です。


> そもそも、日本政府が領有権を正当化する
> 「無主地先占の原則」(所有者のいない島については最初に占有した者の
> 支配権が認められる)は、帝国主義列強による領土獲得と植民地支配の論
> 理であり、アイヌなど世界の先住民の土地を強奪した法理です。


この表現だと、日本政府がアイヌモシリ(北海道、および/または、千島クリ
ル、樺太サハリン)について無主地先占論を唱えたことになります。

私の知識では、そのような事実があったとは思えないのですが、日本政府はいつ
アイヌモシリについて無主地先占論を唱えたのでしょうか。ご存知の方がいらし
たら教えてください。

サハリンについては、1853年にロシア政府が無主地先占論に従って領有権を
主張しています。

1854年、プチャーチンとの交渉の中で、日本側は(川路聖謨だったかな)
は、エトロフなど千島について、名前がアイヌ語だから日本のものだとか、日本
に属するアイヌ民族が居住しているから日本領土だという主張をしています。

第1に、日本政府は千島に実効的支配を及ぼしていませんでしたから、無主地先
占論を唱えるはずがありません。

第2に、日本政府は千島にアイヌ民族が居住していると主張していたのですか
ら、無主地とは見ていません。それゆえ、無主地先占論を唱えるはずがありません。

私は札幌出身(かつ、侵略者「屯田兵」の子孫です)なので、このくらいのこと
は漠然とながら記憶していますが、正確なことはさずがに記憶していません。

千島以外に、サハリンや北海道について、日本政府が無主地先占論を唱えたこと
があるのでしょうか。

無主地先占論ではない形でアイヌモシリを侵略したのではないでしょうか。

以上が質問です。

日本は、先住民族であるアイヌ民族、アイヌモシリに侵略し、しかも日露交渉に
よって、先住民族の大地を勝手に分割したり、取り引きしたりしました。このこ
とを、今あらためて、人種差別反対ダーバン宣言や国連先住民族権利宣言に基づ
いて確認し、批判していく必要があります。

私の見解は下記に示しています(領土問題ではありませんが)。

前田 朗「旅する平和学――アイヌ先住民族の権利(1)〜(3)」『月刊社会民
主』2010年9〜11月号

なお、私の主張はオリジナルなものではありません。主に上村英明さん、阿部ユ
ポさんからの受け売りです。参考文献としては

上村英明『先住民族の「近代史」』(平凡社、2001年)





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